2012年09月16日
●和文解釈入門 第485回
前回のАякаさんへの回答で思い出したが、「~への手紙」というときは、письмо + 与格である。「お手紙ですよ」なら、Вам письмо.となる。詩人のエセーニンЕсенинには、Письмо матери(内容から見る限り「母への手紙」)とПисьмо от материという二つの詩があるが、Письмо материだと、материが生格なのか与格なのかによって意味が変わる。生格なら主体生格という意味上の主語で、手紙を書いたのは母となり「母の手紙(母の書いた、あるいは母の所有している手紙」、与格なら「母への手紙」(客体生格)になる。エセーニンの詩には他にПисьмо к сестре(姉・妹への手紙)、Письмо к женщине(女性への手紙)があり、このような誤解を防ぐため、特別に、кを用いる場合もある。ネットでエセーニンの詩をПисьмо к материとしているものがあるが、エセーニン全集(6巻、Художественная литература、1977年)の第1巻を見る限り明白な誤りである。意味を分かりやすくするよう変えたというよりは、内容から判断しての勘違いであろう。Письмо от матери(母からの手紙)も誤解の余地はない。このように意味を明確化するという前置詞の使い方もある。
設問)「代理店は自費で販促(販売促進)キャンペーンを行う」をロシア語にせよ。
Агентство производит кампанию
за ускорение
продажи за свой
счет.
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二つほどコメントしますと、кампания по + 与格であるとか、ускорение продажиだと販売時期を早めるというような感じがあります。私の答えは、Агент проводит кампанию по рекламе за свой счёт.
販促はкампания по стимулированию сбыта продукцииでもよい。