2012年09月12日

●和文解釈入門 第481回

「こ」、「そ」、「あ」系を指示語という。文章における文脈指示には「あ」系は用いられず、直前の文に出てきたものを後続の文で言い換えて指示する場合、「この」は使えるが、「その」は使えないと研究社日本語教育事典(近藤安月子 + 小森和子編、2012年)にある。例として、「私は、水族館に行くといつもエンゼルフィッシュを見る。この(*その)魚は色彩が鮮やかで、見ていて飽きない」が挙げられている。我々は中学校から英語を習い始め、定冠詞のtheが名詞についていれば、所構わず「その」と訳を入れる習慣がついてしまった。そのせいかどうか知らないが、例文で「その」でだめだという感覚が分からなくなってしまった。若い人はどう感じるのだろう?

 露文和訳のときに、ロシア語は冠詞がないから、気軽に「その」は使えないことが分かる。上の例文をロシア語にすれば、エンゼルフィッシュскалярия (-и) を受けるのは、рыбаかона (они) だろうから、「その魚」ではまずいことになる。「この魚」にしなければ、日本語とおかしいということになるのだろう。それにしてもプロの翻訳者がここまで気を使って露文和訳しているのだろうか?日本人だから日本語ができるというのは、案外、大きな落とし穴かもしれない。

設問)「傷は命にかかわるものではなかった」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 2012年09月12日 05:57
コメント

Рана у меня оказалась не
смертельной.
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正解です。私の答えは、Ранение было неопасное для жизни.
「命にかかわる怪我」はтравма, несовместимая с жизньюという言い方もできる。「命にかかわる」は第259回でも取り上げた。

Posted by ブーチャン at 2012年09月12日 07:03

Рана была не опасна для жизни.
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正解です。

Posted by Ml at 2012年09月12日 22:48
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