2012年09月11日
●和文解釈入門 第480回
優秀な通訳というのは、語彙が豊富であるというのが前提だが、プロの通訳と言っても二つに分かれる。一つは、会社専属というか、その会社の、もっと言うと、その部署の関連の仕事の通訳しかしなくてもよい通訳である。こういう通訳は日常関係の政治経済一般はもとより、専門分野は狭いが、内容は細かく深い。外交官の通訳や、大手商社で営業兼通訳もする人がこういうタイプである。もう一つは小さい商社や、いわゆるプロの通訳で何でもこなさなければならないから、技術の基本的な語彙、医療、政治経済、スポーツなど広く浅く覚えており、いくつか得意分野(鉄鋼・機械などの)を持っている必要がある。語彙は広く深く覚えておくにこしたことはないが、あらゆる分野というのは実際的に不可能である。そこで、基礎的語彙をまず覚えることになる。政治経済なら、時事関係も含めて新聞で頻出する語彙であり分かりやすいが、技術的な語彙というのは、経験しないと分かりにくい。そのため悪循環というか、基礎的な語彙が分からないために、技術通訳に踏み出せないという人も、特に女性には多いだろうと思う。
技術通訳というのは分野も多様であるとはいえ、通訳の分野で中心となるのは、機械、鉄鋼、化学であり、その基本的な語彙を知っていれば、その上に、依頼される通訳の具体的な分野の語彙を押さえておけばよいというのが、私の持論であり、これは40年にわたる技術通訳の経験から言える。その基本的な語彙というのは、私の経験から言えば、千ぐらいだが、これとて全部丸暗記していなくてもよい。私だって時々はうっかり忘れることも多いから、そういうときには、「女性のための技術ロシア語」のもとになったものを見るようにしている。
設問)「彼はもうずいぶん前から車を持っている」をロシア語にせよ。
Он уже довольно
давно держит
свою собственную
машину.
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正解です。私の答えは、Он уже давно имеет машину.
状態の動詞でも過去から現在までの継続を示すことができる。「彼は車を持って5年になる」なら、Он имеет машину пять лет.