2012年08月23日
●和文解釈入門 第461回
この頃聞いていて、違和感を感じる言葉に、「勇気をもらった」、「感動をもらった」がある。NHKのアナウンサーも使うのだからまともな言葉のようだが、「勇気がわく」とか、「感動を分かち合う」という言葉はあまり耳にしない。ただ自分は使わないにせよ、現代の言葉使いが乱れているから直せと主張するつもりはない。これも時代の流れだと思うからだ。勇気や感動が授受できるものだという意識は、バーチャル時代の賜物だと思う。つまりコンピューターゲームで、武器や技がポイントにより、あるいは売買で手に入るなら、という発想かもしれない。もっとも「感動(勇気)を与える」というのには違和感はないが、与えるのはあくまでも人間ではなくて、その行為である。「勇気(感動)をもらう」というのはこの発想の転換から生まれたのかもしれない。
設問)「今年の冬は30年ぶり(30年来)の寒さです」をロシア語にせよ。
Эта зима очень
холодная за последние тридцать
лет.
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まあ意味は分かってもらえるような感じはします。た正確に言えば、この30年間でとても寒い冬というのと、30年ぶりの寒い冬では意味が違います。前者は30年間で何回もあり得ますが、後者はこの一回だけです。私の答えは、Таких морозов, как в эту зиму, не было уже 30 лет.
「ぶりに」はОн не был в Берлине восемь лет.(彼は8年ぶりにベルリンに来た)とか、
За три года первый раз решил в парк пройти.(3年ぶりに公園の中を通りぬけることを決心した)となる。これは英語でfor the first time in 10 years(10年ぶりに)というのに発想が似ている。この他に、「~ぶり」には не было уже + 時を示す名詞の生格が使える。具体的な数字なら「~年ぶり、~年来」と言えるが、Такой тёплой зимы не было уже много лет.(このような暖かい冬は長年なかった)などという。много летをнесколько летに代えれば、(このような暖かい冬は数年来のことですね)とも訳せる。
морозыと複数にする時は厳寒の日々(季節)という意味であり、零下の寒さを指す。日本ならхолодаと複数形にすれば寒波という意味になり、その方が訳としては近いかもしれない。
В этом году наступил мороз впервые за последние 30 лет.
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正解です。
В последние 30 лет такой холодной зимы не было.
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вは不要だと思います。в + 対格(時間)はза + 対格(時間)と同義で(正確に言うとвのほうが в одни день, в одну минуту共使えますが、その期限のうちのいつかにという意味で、в этот день, в ближайшие три дняという意味でも使われますので、その期間を丸々使ってという意味ではзаの方がよいと言えます)、「期間内に~する」つまり完了体とともに使われます。「~の間~である」であれば、時間を示す名詞句を対格で用います。в を使って、丸々その期限でと言いたければ、в течение (продолжение) + 生格という表現があります。