2012年07月30日

●和文解釈入門 第437回

昨日の朝7時半に電子書籍「和文露訳入門」の販売を開始したら、その2時間後に第1冊目が売れたとDL-MARKETからメールが入った。その3時間後にもう1冊売れた。どなたかは知らないが有難いことである。初日で2冊というのは望外のことで本当にうれしい。この調子で売れてくれるといいのだが。紙の本と違うのは、売れるとすぐ、メールで知らせてくれるし、その時点で何冊売れたかがすぐ分かることである。紙の本は半年ごとに出版社から連絡が来て初めて分かる。結構、1~2%廃棄処分のがあるのはくやしい。これは輸送途中で、傷んだり、水濡れしたりして商品になりそうもないものらしい。初めての電子書籍という事で、力点などにも改善の余地は確かにある。初めePUB形式を考えて、それなら下線で力点を示すというのは表示できないかもしれないし、力点を入れるのが簡単で、アポストロフィーを使ってしまった。読みにくいという指摘も分かる。力点というのは入れるのも大変だが、間違いがないかどうか全文267ページを10回以上も読み返してチェックしなければならない。力点なども、個人的には入れるのはどうかと思うのだが、この忙しい時代、学習者がいちいち辞書を引いてられないというのも分かる。代名詞のона, этоの類はいくらなんでも力点を打つのを止めようかと思う。оноはоный由来でво время оноのときは最初のоに力点が来るから入れないといけないだろうが。どの単語まで力点を入れてというのは難しい。主格は入れないとか、その上に著者の判断で(?)難しい単語だけ入れるなどこれも簡単には決められない。この校正(プリントアウトしないから推敲というべきかもしれないが)をしていると、スペルミスやこの文例が適切なのかと考えたりもするから、力点のチェックを忘れたりすることがある。その上、行のずれの確認など、手間がかかることおびただしい。

 研究というのには金がかかるが、ロシア語の本や文献も高くなってきているし、和文露訳の研究にはいろいろな分野の著作から適切な文例を集めなければいけないということもある。和文露訳入門には19世紀以前の古い文例は入れてないとは言うものの、現代で使う文には廃用のは使わないが、現在でも使えるものは昔の文例でも載せてある。今読んでいる本だって、コーニКони(1844~1927)という有名な裁判官、検事を歴任した人の著作集の古本をモスクワから取り寄せたものだが、革命前の裁判の実態を知るには不可欠な本だし、文章も非常に知的な感じがする。それと同時に「ネップ時代のモスクワ」という本や、「魔法の新聞」という児童文学など、人から見れば、まるで系統的とは思えないものを読んでいる。ただ、和文露訳用の文例を日常会話のみと決めつけることは愚かだ。通訳をしていれば、交渉の時のスピーチなど、人によっては非常に格調高い通訳もしなければならないし、日常生活で文句の言い方などあるから、ある意味、行きあたりばったりで読んで行くしかない。

 ロシア語のテレビやラジオの文例は使わないのかと聞かれたら、使わないし、まず見ないと答える。40年ロシア語をやっているので聴きとりはできるが、これはという表現を書き写そうとしたら、前置詞がнаかвかとか、格変化はどうかということに、99%間違いないと思っても、100%は書き写せるか自信がない。俗語表現もあるかもしれないからだ。それで、例文にするのは書いたものに限るということになる。それも基本的には編集者が編集した由緒正しい本からのものであって、ネットで書いてある文章は玉石混交なので、参考にはするが、例文としては怖くて使えない。それは日本語のブログやサイトの日本語を見れば分かるだろう。ネットのロシア語全てが格調高いとはとても思えないからである。ロシアの古本を日本にいながら手に入れることができるのは結構なことだが、金がかかる。いくらあっても足りない。金があれば現地調査にも行きたい。そういうことで、できるだけ原稿を電子書籍にして少しでも金に代えたいと思っている。原稿のままでは誰の役にも立たないからだ。これも研究費の一つとして、持っている原稿はすべて電子書籍にするつもりである。

設問)「自社製品でないユニットや部品はありますか?」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 2012年07月30日 05:47
コメント

Есть ли заменяемые узлы и части?
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ご回答だと交換用ユニットと部品ということで、設問とは違います。私の答は、Есть ли заимствованные узлы и детали?
この動詞からの派生語は「長老のお知恵拝借」заимствование опыта старожиловとか、「外来語、借用語」заимствованное слово などと使えます。
 設問は工場見学の際、ロシア人からよく出される質問で、設備の中の自社製品とそれ以外の割合を知りたがります。ソ連時代はソ連の工場の設備はほとんど自社で賄っていましたし、修理も下請けに出さす、自社でしていました。その時代は日本は系列を使っていたわけです。

Posted by メイ at 2012年07月31日 01:25

そういう文脈だったのですか。工場見学でそういうことを聞かれるとは知りませんでした。自社のユニットや部品で他社と共通規格のもの、相互交換できるようなものがあるかどうかを聞いているのだと思いました。それにしてもちょっと苦しいですが(笑)…。

Posted by メイ at 2012年07月31日 23:22
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