2012年07月21日

●和文解釈入門 第428回

(171) *「福翁自伝」、福沢諭吉、岩波文庫、1978年
福沢諭吉(1835~1901)の自伝。初版は1888年。痛快な書である。幕末に3回洋行している。「外国人に一番分かりやすいことで、字引にも載せないということがこっちでは一番難しい」ので洋行のときに外人に尋ねまくったというのは今にも通用することである。2回目の洋行のときにペテルブルグまで行った竹内下野守一行の諭吉に、ペテルブルグに残れとロシア側の接待役から勧められたとか、competitionを競争と訳したのは諭吉が最初だなど書いてある。子供に対して手を下して打ったことは一度もないというのも彼らしい。

(172) *「懐往事談」、福地源一郎(桜痴)、世界ノンフィクション全集50所載、筑摩書房、1964年
 福地源一郎(1841~1906)による1859年から68年の幕府瓦解に至る間の見聞記。当時外国奉行輩下として通訳・翻訳に従事した。維新後岩倉一行の米欧使節にも参加した。1894年初出。品川に外国の外交団がいたため買い出しの通訳などで品川に駐在したが、当時品川は江戸ではなく、出張費が出たと書いている。また品川で泊ったところは妓楼だったという。江戸の森山多吉郎主宰の英語の塾長であり、後に樺太問題でロシアの軍艦内部にかかっていたオランダの地図で樺太は北緯50度で日露の境界になっていることを川路らに告げ、領土問題における日本の主張の論拠となったと森山が福地に告げたという。神奈川運上所(横浜税関)に勤め、横浜でのムラヴィヨーフ使節の露人士官と水兵暗殺などのときも横浜勤務であった。この時奉行の問責、死者の墓造営を要求したのみで、賠償金はオールコックが勧めたが、ムラヴィヨーフは拒否した。このあたりは一つの見識であろう。これ以外の暗殺の被害者については各国が賠償金を幕府からせしめている。平易な文語体で読みやすい。福地は公使館付だったので、英国公使館東慶寺襲撃では現地にいた。堀織部正の自殺についてもプロイセン1国との条約と思っていたところが、オイレンブルク一行はプロイセン、ドイツ関税同盟、ハンザ都市、メクレンブルク公国を代表しており、この点について外国事務担当の閣老安藤対馬守に厳しくとがめられ、性格的に生得小心翼翼の人だったため腹を切ったのではないかと福地は述べている。福地は人物評が得意のようで、「福地は躁跳多弁の漢なり」という上司の柴田貞太郎の弁を紹介しており、各国公使についても、オールコック英国公使は最初は威嚇だったが、後に温和政策へとか、ド・ベルクール仏国公使は喜怒哀楽激しいが、門閥の出故、威儀を正すのを喜ぶとか、ポルスプルック蘭国公使は幕府がオランダを軽んずる故に英仏と連合して威嚇外交をなす。ハリス米国総領事は懇切丁寧と述べている。幕府は鎖国のため外交に不慣れで、ペリー来航時には、ドンケル・クルチウスオランダ商館長を、その後ハリス、ハリスの帰国後はロッシュ仏国公使を重用した。薩長はパークス英国公使に頼った。

(173) 「甦る幕末」、朝日新聞写真部(後藤和雄、松本逸也偏)、朝日新聞社、1987年
 ライデン大学写真コレクションからの幕末の写真集。パークス襲撃犯の浪士二人のさらし首の写真、ヒュースケンの遺体の写真、草鞋を履いた馬の写真もある。

設問)「寒さには強いほうですか?」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 2012年07月21日 06:38
コメント

Вы вообще легко
переносите холода ?
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холодаは見かけはхолодの複数ですが、単なる寒さではなく、長く続く寒い季節、寒波、寒気を指します。ですから寒いという感覚(寒さ)はхолодの方が適切だと思います。私の答えは、Как вы переносите холод?
その答えはЯ хорошо (плохо) переношу холод (жару)〔寒さ(暑さ)には強い(弱い)です〕となり、полёт, качкуを入れ替えると、飛行機に、船に強い(弱い)となる。операциюとすると手術には体力がもつかどうか(大丈夫か)というふうにかなり広く使える構文である。

Posted by ブーチャン at 2012年07月21日 09:06

Вы хорошо переносите холод?
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正解です。

Posted by メイ at 2012年07月21日 16:43

Вы хорошо выносите холод ?
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正解です。

Posted by asuka at 2012年07月22日 03:31
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