2012年06月28日
●和文解釈入門 第405回
日本語の動詞にはには辞書形(終止形)とます形があるが、二人称であれば、「明日来る?Ты придёшь завтра?」と「明日来ますか?Вы придёте завтра?」のようにтыとвыに対応した訳が可能だと思う。同じことは敬語を使うか、使わないかでも同じである。日本語では人称による動詞の活用はないが、敬語による人称暗示機能というものはある。「お買い物ですか?」と言えば、対応する主語はвыということになる。このような点を、これまで和文露訳では日本人であれば当然分かるとでも考えたのか、教えて来なかったように思う。
露文和訳において、выがあれば、「あなた」と訳すのが定番だが、「あなた」は日本語では目上には使えないと考えた方がよい。目下や同輩への丁寧表現である。同輩の人に使うにしても、切口上的な、冷たい感じを受ける。未来時制の文に対しても、「~だろう」と、現在時制ではないと、訳している本人は正しく理解しているつもりだよということを示すだけのために、日本語の語法を無視した、国語学者や日本語学者が聞いたら憤慨するようなことを学校でも教えるのはいかがなものか。日本語では「~だろう」は推測であって、未来時制を示すものではない。「明日買い物に行く」と「明日買い物行くだろう」は意味が違う。日本語では辞書形(終止形)で、現在の繰り返しと未来の意志を示すというのは素人でも分かることだ。若い人に変な日本語を教えて、日本語を勝手に崩すのは許されることではない。語学をやるのであれば、母国語に鈍感であってはならないはずだ。
和文露訳と言えばロシア人の先生に任せきりで、そういう先生は日本語が堪能とはいえ、敬語を教えるほどではないし、教わる方の生徒にせよ、敬語の知識がそのロシア人の先生とどっこいどっこいだからということもある。和文露訳はロシア語が話せるだけでも、日本語が話せるだけでもいけない。両方の言語を分析的にとらえ、生徒のあらゆる質問に答えるだけの覚悟が要ると思う。これは覚悟であって、全部の質問に答えられるということではない。生徒の質問に答えられるよう先生の方も必死の努力が必要だということである。だから授業では生徒にロシア語に対していかに疑問を持たせるかというように、授業を持っていくかかが大切である。疑問は成長の素である。
設問)「この回のジャンプでベスト(の記録)を出したのはだれですか?」をロシア語にせよ。
Кто добился самого
лучшего результата
в прыжке этой игры ?
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この回というのはこの大会という意味ではなく、第1回予選とかそういう意味です。добилсяというのはこの大会でというのなら、まだ分かりますが、設問の答えとしては不適だと思います。私の答えは、Кто показал лучший результат в этой серии прыжков?
Кто показал(поставил) лучший рекорд в прыжке этого периода?
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рекорд = высший показатель, достигнутвый в спортивном состязанииですから、рекордにлучшийをつける必要はないと思います。ただつけている例は少ないながらもあるので、間違いとはいえません。ジャンプの回については私の答えを参照ください。