2012年06月06日
●和文解釈入門 第383回
何度か外務省とロシア大使館の両方の通訳の現場に陪席させてもらったことがある。経済関係の事案でそれほど重要性の高くない案件だったと思う。なるほどうまく訳すものだと感心した覚えがある。向こうは単に訳すのではなく、国家の威信がかかっているわけで、我々民間の通訳とは緊張感も全然違うなと思った次第。ところがロシア大使館の同じ通訳が、ロシアのトップクラスの会社の社長に付き添って来て、ある工場で通訳することになった。その頃私も技術通訳をしていたから、席に呼ばれた。別に通訳はしなくてよいが、工場見学のときに通訳になるかもしれないし、それがいつから始まるか分からないので待機せよというようなことだったと思う。ところが話が急に契約に関わることに話がそれて、あまり技術用語に関係しないところで、ロシア人通訳が何度もつまるし、何を言っているのか分からなくなることがいくつか出てくる。それで、日本側はフンフンとうなずきながら、私に聞いてくるので、その都度こういうことでしょうと通訳というよりは解説する羽目になったことがある。この契約については私も全く知らないし、その工場に来て、翌日のことだから事情が分からないのは、その通訳の人と同じである。ただビジネスの経験があるというだけのことである。通訳といっても、一つのことばかりやっていれば、その分野はうまくなるのは当たり前だが、世の中の人はそれで全体を測ろうとする。ロシア語も広くて深い。やればきりがないという事がよくわかる。
設問)「その病気の潜伏期間は10日だ」をロシア語にせよ。
Эта болезнь имеет десятидневную инкубацию.
--------------------------------------------
正解です。ただ日本語の「その」については、ロシア語には定冠詞がなく、文脈によって判断することになっているので、いちいちэтотなどとすることはないと思います。私の答えは、Инкубационный период болезни длится 10 дней.
潜伏期(間)はскрытый периодでもよい。
Инкубационный период болезни составляет 10 дней.
-----------------------------------
正解です。
Инкубационный период этой болезни длится 10 дней.
-------------------------------------------
正解です。