2012年06月01日
●和文解釈入門 第378回
(石油とガスの生産は1924年からそこで行われている)という文を正しいロシア語にすれば、日本語の直訳のように、不完了体現在形を用いて、Добыча нефти и газа ведётся там с 1924 г. となる。日本人とすれば違和感がないのかもしれないが、ロシア語文法を勉強している身には何か変だなと思う。この文は過去のある一点から現在に至るわけだから、アオリストと結果の現存(存続)が一緒になったような用法である。いつの時点から動作が始まったかは、結果の現存でも示せるが、(彼は工場で3年働いている)Он работает на заводе три года.というような期間を示すことができない。和文露訳の観点から言えば、理屈は関係なく、こういうものだという用法だけ理解しておけばいいのかもしれないが、自分としては納得がいかなかった。
原求作先生は「ロシア文法の要点」(水声社)の中で、(この大学で私が働き出してから8年経つ〔経った〕)Прошло восемь лет с тех пор, как я начал работать в этом университете.のначалもしばしば脱落してработаюとなると書かれており、そうであればначатьの過去形という、一種の結果の現存(存続)の用法から発展したという風に考えられる。これなら説明がつく。ただ不完了体現在形の場合は現在までの期間やいつからその期間が始まったかを示す語句がないと、繰り返しや動作の一般化と区別ができなくなる可能性がある。
一方、同じように過去から現在までの継続を示すことができる被動形動詞過去短語尾や完了体過去形では、動作がいつから始まって現在に至るかを明示しようとする場合、с + 生格(例えば、с 1895 г.〔1895年から〕)と使うよりは(例外もあるが)、в + 前置格のように過去のある一点を示す語句(в 1895 г.〔1895年に〕とかдва дня назад〔2日前〕など)を使うことになり、期間そのものをすぐには明示できないという事になる。こういう文で完了体過去形の場合は、アオリストの用法であって、結果の現存の用法ではなくなる。それゆえ期間そのものを明示したい場合は、この不完了体現在形の用法を用いる事になったのだろう。この用法では過去から現在に至る反復も示すことができる。(1992年から5月1日は春と勤労の祝日として祝っている)С 1992 г. 1 мая отмечается как Праздник весны и труда.
設問)「夜中オシッコに起きますか?」をロシア語にせよ。
Вы вставаете мочиться по ночам ?
Вы идете за малой нуждой по ночам ?
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最初のは встаётеとすれば正解です。二つ目は、トイレに行きっぱなしはまずかろうと思いますので、ходитеとしなければ間違いです。設問は頻尿関係の医者と患者のやり取りです。私の答えは、Вы встаёте ночью мочиться?
Встаете ли вы ночью мочиться?
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正解です。
Встаете ли вы ночью, чтобы помочиться?
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設問は繰り返しですからпомочитьсяとすると、具体的な1回の行為と解釈するのが普通です。мочитьсяとすべきです。不定形の例示的用法に主文の動詞には繰り返しの意味で不完了体を、不定形には例示的意味を持たせる用法もあります。(この敷地内に入る時は毎回特別な入構許可証の提示が要求された)При входе на эту территорию каждый раз требовали предъявить особый пропуск. しかし、基本的に例示的意味というのは、何かあったら~するということで、不規則な繰り返しです。設問は規則的な繰り返しを聞いているわけで、мочитьсяでなければおかしいように思います。