2012年05月27日
●和文解釈入門 第373回
不完了体の本質は動作の基本的意味にあり、行雲流水のようなもので、回りの雰囲気に合わせるというニュアンスがある。それがよく現れるのが、動作の名指し(動作の有無の確認)である。これは過去の時制全般、未来の時制の疑問では分かりやすい。しかし、未来の時制では分かりにくので、便宜的に、動詞が中心的意味を担わないときは不完了体が来ると書いた。第346回にも書いたように、結果の現存というニュアンスがあれば、疑問詞との組み合わせでも完了体が来る。このように、疑問詞というのは本来意味の中心を担うはずなのに、そうではない例である。今回は疑問詞以外でも、動作主体の強調などの場合でも、結果の現存というニュアンスがあれば、完了体過去形が来る。こう書くと
例外ばかり覚えなければならないようだが、それは違う。動作の名指しでないものには完了体を使うのだというだけのことである。
否定文においても不完了体過去形は、動作(事実)の名指し(動作の有無の確認)であり、それに対して完了体過去形は期待、失望などの叙想的ニュアンスを持つ。ただ動作の主体を強調する(主体的意味を担う)場合で、結果の現存の意味があれば、完了体過去形が来る。
(教室にペンをお忘れになりませんでしたか?)Вы не оставляли ручку в аудитории?
(教室にペンをお忘れになったのはあなたではないですか?)Не вы ли оставили ручку в аудитории?
上の文では両方とも誰がペンを大学の教室に置き忘れたかを聞いているのだが、前者では単に動作の有無の確認を、後者では動作がすでに起こっていて(結果の現存)、動作主体そのものに注意が向けられているとはいえ、叙想的ニュアンスが感じられる。そういう場合には完了体が来るのである。
(僕はテレビをつけなかった)Я не включал телевизор.
(テレビをつけたのは僕じゃない)Телевизор включил не я.
この場合も前者は事実の確認であり、後者は動作はすでに起こっており、それに対する叙想的ニュアンスが感じられる。
設問)「長距離と短距離ではどちらが好きですか?」をロシア語にせよ。
Какой бег вам больше
нравится, на длинные
дистанции или на
короткие ?
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正解です。私の答えは、Вы предпочитаете длинные или короткие дистанции?
競技での~メートル走で使われるдистанцияは500 m、1,000 m、1,500 m、5,000 m、10,000 mとあるので、漠然と~走と言う意味で使う時は複数にするのが普通。車間距離という意味もある。
Что вам больше нравится, бег на длинные или короткие дистанции?
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正解です。