2012年05月10日
●和文解釈入門 第356回
未来時制においてбыть動詞の未来形 +被動形動詞過去短語尾は、動作主を明示したくない場合に使える。動作主があれば動作を示すが、なければ、結果の存続から派生して、動作ではなく、質的状態の意味を持つ。過程を無視して結果を重視するときにこの用法を使う。
(請負業者は全てに必要な取り扱説明書を作成し、発注者に引き渡す)Подрядчиком будут разработаны и переданы заказчику все необходимые нгструкции по эксплуатации.
この文には動作主があるので、未来時制における動作を示すとともに、二つの文の主語を一つにまとめるということと、順次的な用法として被動形動詞過去短語尾が未来時制で使われている。不完了体未来形では未来での繰り返しを除いて、これを表現できない。
(ご要望は設計書類作成のときに考慮します)Ваша просьба будет учтена при разработке технического прокета.
(技師には全ての作業の検査と査察ができるようにする)Инженеру будет предоставлена возможность осмотра и инспектирования всех работ.
(スペアパーツの件はどう片をつけますか?)Как будет решён вопрос с запасными частями? – 解決済みにすることに文のアクセントがある。
(高圧線の建設は8カ月後に終了します)Строительство линии высоковольтной передачи будет завершено через 8 месяцев.
ся動詞の不完了体未来形も動作主を明示しない場合に使えるが、状態ではなく、動作やその過程のニュアンスが出てくるとき、動作の繰り返し、文の論理的アクセントが動詞に来ない場合に使う。
(下請けの人に住居を確保する件はどう片をつけますか?)Как будет решаться вопрос обеспечения персонала Подрядчика жильём? - 文のアクセントはКакに来ている。
(その施設の最終検収〔立ち会い試験〕は設計指標達成後に行われる)Окончательная приёмка объекта будет осуществляться после достижения им проектных показателей.
(口銭はどのように支払われるのですか?)Как будут выплачиваться комиссионные? – 未来における繰り返し、それとКакに論理的アクセントが来ている。
(作業の指導はどのように〔今後〕行われるのですか?)Как будет осуществляться руководство строительством? – 文の論理的アクセントはКакに来ている。
(全ての作業は労働安全要求事項に基づき〔これから〕行われる)Все работы будут выполняться в соответствии с требованиями техники безопасности.
(テスト実施期限が近づくに伴い、そのような材料の明細〔リスト〕を貴社に渡します)По мере приближения сроков проведений испытаний будут вручаться вам ведомости таких материалов. – 過程なので不完了体以外は使えない。
不完了体未来形3人称を使っての不定人称文でも表せる。用法的にはся動詞と同じだが、不定人称文は現在の時制では受け身の代わりとして広く用いられるのに対し、未来の時制での使用は、ся動詞に比べるとそれほど多くない。これは未来というものが基本的に不確定であるのに、さらに主語を明示しないという用法が不確定さを増すと考えるからではないかと思う。
(お迎えが来ますか?)Вас будут встречать? – 動作の有無の確認
(わが市にも繊維コンビナートが建設される)В нашем городе будут строить тексильный комбинат.
設問)修理スペック(仕様書)にある指示「バルブを組み立て、元の場所に設置すること」をロシア語にせよ。
Смонтировать
арматуры(клапаны)
и установить их на
прежнее место.
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ほぼ正解です。арматураというのは弁管類のことで、逆止弁、スライド弁などのバルブのほかに、T字管、ベンドなどのバルブ周りの異形管なども指す総称名詞です。ですからこれを除けば正解です。私の答えは、Собрать и поставить на место клапаны.
体言止めになっているが、命令法であることは明らかで、それに即した露訳が求められている。そのため不定法の命令を用いての完了体の順次的用法が適当と考える。バルブ(弁)の複数形はклапанаでもよいが、専門用語であり、аに力点が来る。поставитьの代わりにустановитьでもよい。第80回の設問の復習。
Произведите сборку трубопроводной арматуры и поставьте ее на место.
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ほぼ正解ですが、арматураは総称語で、弁管類なので、клапаныを使うべきだということと、修理リストの中では、不定法を使うのが普通です。会話でいうのであれば、Соберитеとする方が多いと思います。произвести сборкуは書き言葉のような気がします。
Вакуумная лампа будет собрана и установлена на прежнем месте.
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вакуумная лампаは真空管のことです。bulbとvalveの間違いでしょうか。それを弁に代えれば、意味は通じるでしょうが、修理リストでは、やはり命令法と不定法の組み合わせを使うべきです。このような被動形動詞過去短語尾をбытьの未来形と組み合わせて用いる方法は、ビジネスの交渉で、修理をする側が使います。組み立てて、元に戻した状態にしておくので心配するなという感じで、これを会話で使いこなせれば大したものです。完了体の順次的用法については分かっているようなので、それが今回の狙いですからクリアしたことになります。
Собрать вентиль и установить его на прежнее место.
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正解です。ただバルブはклапанが普通です。вентильとклапанの違いについては、第261回本文を参照ください。