2012年02月29日

●和文解釈入門 第285回

日本人が間違いやすいロシア語というと、複数・単数の使い分けなどいろいろあると思うが、根本的で、かつ最も重要なのは体の用法だと思う。これを教えるには日本語の時制についてもよく理解していないと教えられない。ロシア人の先生でも、日本語が会話程度というのであれば、基本的に語学は双方向のものなので、片方しかマスターしていない人には教えられないし、インフォーマント(発音の矯正、正しいロシア語とそうでないものの区別が出来る人)としての価値しかない。そういうインフォーマントを活用するためには学習者のレベルも中級以上が要求される。つまり自分の疑問をロシア語で聞いて理解できるレベルでないとそういうロシア人の先生方に質問ができないし、返ってきた回答が理解できないことになる。初級や中級者向けのロシア語会話を教えるなら、日本人でロシア語の体の用法を理解した人かロシア人で体の用法を日本語で体系的に説明できる人という事になる。

 体の用法というのは基本だから、マスターするのは早ければ早い方がいいし、間違った用法を覚えると思いこみができてしまうから、後から直すのが非常に大変である。初級の段階で基本的な文例を覚える必要性があるはずだが、今のロシア語教育にはこれが欠けている。初級の段階で徹底的に体の用法の違いを説明して、それを暗記させれば、一石二鳥のはずだ。

 露文解釈だけするなら特に体の用法についてマスターしようという気は起きないかもしれない。知らなくても何となく訳せるからだ。ところがプロで通訳やガイド(会話の和文露訳)をしようとすると、一言文章を訳そうとするたびに動詞が出てくるわけで、そうなると完了体か不完了体か決めなければならない。決まり切った(よく知っている)文脈なら、使う体はそのような文は丸暗記しているから自動的に出てくる。しかし、ちょっとでも知らない文脈が出て来たときに、それを丸暗記しようと思うと、同じ文脈のように見えるのに二つの体が出てくるような場合、両方使えるのかなと思いこむ場合もある。まったく同じニュアンスで両方の体が使える場合がないとはいえないが、普通はニュアンスの差というものが出てくるはずなのにそれが分からないままということになる。まああんまり細かく考えてはプロでやっていけないのかもしれないし、そのようなニュアンスを覚えてもお金にはならないことは確かではある。でもそうなると、正しく訳すというプロとしての自覚と責任はどうなるのだろう?

設問)「この時期は仕事にならない」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 2012年02月29日 06:26
コメント

Мне не до работы
в этот период.
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ご回答を訳せば、「この時期は仕事どころではない」となります。つまり自分が何かで忙しいから、つまり自分の都合と理解するのが普通です。ところが、設問は「この時期は仕事にならない」は自分の都合ではなく、自分以外の他の要因のためだと解釈されます。私の答えは、Это время бесполезно для дел.

Posted by ブーチャン at 2012年02月29日 10:02

В это время года работа идет неуспешно.
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お答えは、「この時期は仕事はうまくいかない」ですから、まあ正解としてもよいでしょう。

Posted by Ml at 2012年02月29日 19:20

① Сейчас не самое время для работы.
② Это время не подходит для работы.
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正解です。

Posted by メイ at 2012年03月01日 01:56
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