2012年02月16日

●和文解釈入門 第272回

被動形動詞過去というのはよく使われるが、被動形動詞現在というのはあまり使われないし、書き言葉なので、関係代名詞を使ったほうがよいと文法書にある。その通りだろうと思うが、技術関係ではпроверяемая деталь被測定部品やисследуемая жидкость被験液、исследуемый материал被験材があり、技術関係以外でもстепени внушаемости被暗示度、испытуемый человек(催眠術の)被験者、というように、これから検査される、実験を受けるという意味で日本語の「被」と非常にうまく対応する。もっとも日本語の被は被害者というようにこれからだけではなく、された後というように受け身全てに対応する便利な接頭辞であるから、事後という場合には被動形動詞現在は使えない。

 よく使われるものは形容詞化しているとも言える。その中でне-が接頭辞につくものは不可能を示すといえる。例えば、непроницаемая тайта(うかがい知れない〔うかがい知ることができない〕秘密)である。непроницамыйはнепостижимый (= невозможно понять理解できない)ということだが、他にもнельзя проникнуть(侵入できない)、つまりнельзя + 完了体動詞不定形が不可能を示すことは第233回の表でも述べている。このことから不可能という訳語が出てくるわけである。第56回で紹介した防水カメラводонепроницаемый фотоаппартもそのような意味で理解されたい。

 表現はвыражениеだが、文学、絵画、彫刻、音楽などの芸術的表現となるとизображениеとなる。「言い逃れ」は、酒を勧められてНикакие оговорки не принимались.(どんな言い逃れも効かなかった)などと使う。同じ言い逃れでもувёрткаというのがその場を逃れようとする作り話などで、оправданиеはすでに済んだことに対しての弁明である。頸飾りはожерельеだが、首輪はошейникである。形状はформаを使うが、技術用語ではпрофильも使う。профильというのは側面から見た形状ということで、人間なら横顔ということになる。滑車はблокで、複滑車はполиспаст、チェーンブロックはтальといい、ホイスト(電動式の軽量の品物の吊り上げ装置)はтельферという。
設問)「彼はタバコを1日10本喫う」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 2012年02月16日 07:19
コメント

Он курит по десять папирос в день.
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正解です。по десяти папиросが標準的とされていますが、asukaさんのは口語的用法で、会話ではこの方が普通です。ちなみに「ずつ」という意味のпо + 数詞の与格が来た場合でも、次に続く名詞は複数与格ではなく、複数生格になります。これが他のпоの用法や前置詞との違いです。папиросыとは懐かしい単語です。これは口付きタバコで、昔日本でも売られていました(朝日と記憶します)が、今はありません。ロシアでもБеломор(写真は私のサイトにあります)ぐらいでしょう。一見フィルタータバコのようですが、フィルターに相当する部分が長く、中には空気だけです。喫うときにそこをつぶして口に当てるので、口付きたばこというのです。昔話はそのくらいで、сигаретыを使ったほうが今や自然です。私の答えは、Он каждый день выкуривает по полпачке.

Posted by asuka at 2012年02月16日 21:37

Он курит 10 сигарет в день.
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в деньがなければ、これでいいのでしょうが、日本語とロシア語の発想の違いです。日本語ではいちいち「ずつ」を入れると文がくどくなりますが、ロシア語では入れないと不自然です。

Posted by メイ at 2012年02月16日 22:16

Он курит 10 сигарет в день.
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メイさんと同じ答えです。

Posted by Ml at 2012年02月17日 04:48

医者と患者の会話を読んでいたら、「一日にタバコを何本吸いますか?」 “Сколько сигарет выкуриваете за день?” となっていました。これは最後まで吸い切るかどうかを医者は無意識で頭の中に入れて質問しているのでしょうか。あるいは単にきちんとした答えを患者から引きだすために使われているのでしょうか。
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выкуриватьはпокуриватьと対になっているという見方もできます。医者にとっては一服か二服して捨ててしまうようなタバコの喫煙の仕方では、タバコのその患者への健康への影響を考えると、質問の意味がなくなるわけです。それで一般的にタバコは終わりまで喫うというということを前提としているわけです。我々日本人も1日何本タバコを喫うかという質問には、基本的にタバコをふかすとか一服か二服でやめるというようなタバコの喫煙の仕方念頭に置いているわけではなく、一通り1本喫い終わるのだというふうに理解するのが普通だと思います。

Posted by メイ at 2012年02月18日 14:13
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