2012年02月06日

●和文解釈入門 第262回

ロシア人の酒好きは有名だが、ピョートル大帝も引けを取らない。スウェーデンとの海戦などに勝利してから毎年勝利の日を祝うのだが、それ以外にも名の日とか、軍艦の進水式とか祝うようになった。名の日というのはロシア人の名はキリスト教の聖人にちなんでつけることが多く、ミハイル(大天使から)、ソフィヤ(知恵)、ヴェーラ(信仰)、ナジェージュダ(希望)、ピョートル(ペトロから)もそうである。革命前は自分の誕生日より盛大に祝ったものである。

 ピョートルは皇帝だから祝い方も特別で、その日は外国人も招いて朝の4時ぐらいまで飲み続ける。しかも客が帰ろうとしても帰さず、出口には番兵をつけて帰らせないようにしたとある。ピョートルはハンガリーワイン(トカイのようなものだろうか)やアニスウオッカанисовка(これは今でも売っているがうまいとは思えない)が好きで、フランスワインなど飲んでいるのを見つけると、大きな杯に二本分の瓶のいろいろな瓶の酒を入れ(ある外交官はそのうち1本はウオッカだろうと推測している)、つまりチャンポンで飲ませ、寵臣のメーンシコフでさえ、泥酔して倒れ、かいがいしい奥方の看病で何とか息を吹き返したという。ピョートルは客が泥酔するぐらい飲めば、心から客が楽しんだことになりロシアの軍艦建造の成功を喜んでくれるという考えだった。

 彼は何かあると大鷲杯кубок Большого (Великого) орлаという1リットルも入る罰杯を人に飲ませた。中身はハンガリーワイやウオッカで、多くはそれらのチャンポンだった。その1リットルを一気飲みさせるわけである。ドルゴルーキー公(有名な外交官の父)はロシア人にしては珍しく酒の飲めない人だった。1710年に70歳を過ぎて再婚してから4日目のいつもの酒宴で、飲みたくないので幾分かは酒をこっそりこぼして知らんぷりをしていたが、それをピョートルに見つかり、750 ccの酒を一気に飲まされた。彼はその場で倒れ、その1時間後に亡くなったという。ピョートルは大いに悲しんだが、酒が悪いとは考えなかったし、皇帝というのは文字通り臣下の生殺与奪の権利を持っていると心から信じていた。

 同じような話で、クリュイス提督とゾンメル副提督はお互いいい歳をした年寄りだったが、ピョートルの開いた酒宴で飲み過ぎて、二人で殴り合いの喧嘩となり、殴られて倒れたゾンメルの頭からカツラが取れてカツラが行方不明になったという。カツラもピョートルが西欧から取り入れたもので、彼自身はカツラを好きではなかったが、冬の寒い日など礼拝に出席するときに、よくカツラを忘れたピョートルは手近にいる人から自分の頭の大きさに合うかどうかには関係なく、カツラをむしり取って自分の頭にかぶせ、礼拝が終わると相手に丁寧に返したという。彼にとってカツラは寒い時の帽子代わりだったらしい。

設問)「このブツブツ(発疹)は季節的なものですか?」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 2012年02月06日 05:44
コメント

Эта сыпь сезонная?
------------------------------------
「ブツブツ」をどうとるかですが、点一つならご回答の通りですが、問題になるようなもの普通は複数ではないかと思います。私の答えは、Эти высыпания связаны с временами года?
эти сыпиでもよい。固有名詞などはヤンデックスや英辞郎などで検索できるが、出来ないものに対しては発想の転換が必要である。私の回答は「季節的」を「季節に関係する」というふうにして露訳したものである。

Posted by メイ at 2012年02月06日 20:21

「このブツブツ(発疹)は季節的なものですか?」

Эти сыпи сезонное появление?

ふーむ、簡単そうで難しい。果たして、こんな風に言って通じるのでしょうか・・・???
使うべき動詞が見つけられない。
----------------------------------------
確かにЭти сыпи появляются (возникают, настаются)まではすぐ頭に浮かびます。しかし「季節的」をсезонно, по временам годаとすればよさそうですが、何となく直訳的な、作った感じがします。

Posted by ロンロン at 2012年02月06日 21:25

Сыпь зависит от сезона года?
----------------------------------------------
зависеть = быть следствием какой-либо причиныということで、因果関係があるかということです。季節的というのは季節に関係しているとは言えますが、季節そのものが原因というよりは、寒暖の差、花粉のような気がします。季節というのは四季であるということと、頭の中に春や秋というはっきりとイメージを持って聞くなら別ですが、普通は四季のどれかが分からずに、あるいは四季に関係することが分からなくて聞いているわけですから複数になります。主語もсыпиと複数にして、季節もсезоны года, времена годаと複数にすべきです。

Posted by Ml at 2012年02月07日 00:50

このブツブツが単数か複数かですが、これはいい機会かもと乳児湿疹について幾つか調べてみました。私が当たったものでは сыпь は単数で使われていたようです。調べた中で複数で使われていたものは、
http://www.womansterritory.ru/materinstvo/ot_0_do_1_goda/242-vysypaniya-na-kozhe-u-novorozhdennyx.html
で、Патологические сыпи на коже у новорожденных という小見出しで使われていて、種類の異なる複数の湿疹(сыпь)を指す場合に複数でした。
また、Сыпь может быть единичной и множественной …… というのもありましたので、単数で投稿しました。
--------------------------------------------
用例で判断するためには、用例を注意深く観察することが必要です。сыпьは「発疹というものは一般的に~である」という文脈では単数ですが、これはВолк - хищное живодное.(オオカミは猛獣である)などの代表単数という概念やものの本質を述べるときに使います。ところが設問は医者が患者に具体的に聞いていると見なすことができます。このような文脈では、発疹(日本語の他の一見抽象名詞に見えるすべての名詞に使えると言っていると言っているのではありませんが)は複数を使うのが普通だと思います。

Posted by メイ at 2012年02月07日 21:55
コメントしてください