2012年02月01日

●和文解釈入門 第257回

前回の出題は二重否定と部分否定の組み合わせで、「なくはない」というのは「ある」ではなく、「あるかもしれないし、ないかもしれない」という八方美人的な表現法であり、経営トップや政治家の通訳をするときに、覚えておかなければならない必須の表現法である。このほかに「前向きに対処します」があるが、これをМы отнесёмся к этому положительно (позитивно).と訳すと、ロシア人は文字通り、何かしてくれると取る。昔は日本人の庶民もそう理解したが、今ではこれはМы принимаем это к сведению.(承っておく、話だけ聞いておく、フンフン)という意味であることは分かっているので、そのように訳さないと誤解を招く。ただまれにビジネスマンで文字通りにこういう腹芸を理解せずに、そのままの意味で使う人もいるので、通訳途中で、「ほんとにやるつもりですか」と聞くわけにもいかず(私はどちらかよく分からなかったことがあり、何度か尋ねたことがある)、通訳泣かせというか、人を見る目が問われる表現でもある。

 色はцветだが、自然界で「色が変わる」はменять окраскуとокраскаを使う。色合い、色の組み合わせという意味で、毛皮、羽根、花など自然界の色は単色という事はあり得ず、こういう微妙な色をокраскаと表現するのである。詩はстихиだが、стихотворениеは歌謡曲の歌詞のように短いものを言い、поэмаは叙事詩である。
裁判での告訴や告発はобвинениеだが、比ゆ的な意味で用いるときはобличение царизма(帝政の告発)などとする。
妖精はфеяだが、神話によってもいろいろある。гном地の精、дриады森の精、наяды泉や川の精、саламандра火の精、сильф空気の精、ундины水の精、нереиды海の精などである。

設問)「サウナは風邪にも筋肉痛にも関節痛にも効く」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 2012年02月01日 08:56
コメント

Сауна помогает от боли в мускулах и в суставах.
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風邪が抜けていますが、構文としては正しいと思います。最新のアカデミー版の露露辞典では、痛みは複数としての用例も挙げており、場所が違うので複数にすべきだと思います。мускулыはмышцыと同義ですが、前者は発達した手足の筋肉(複数形で)を指すことが多く、後者は医療専門用語でよく見ます。設問ではどちらを使ってもかまいません。私の答えは、Баня помогает справиться с простудой, с болями в мышцах и суставах.
「効く」というのには他に、Настой калины помогает при простудных заболеваниях.(ガマズミのエキスは風邪に効く)とか、От радикулита змеиный яд помогает.(ぎっくり腰には蛇毒が効く)とも言える。「病気が治る」ならВысокая температура в бане излечивает кожные заболевания.(サウナの高温は皮膚病を治す)がある。
ロシアのサウナбаняはミストサウナ、スチームサウナ、熱気浴などの湿式サウナであり、フィンランドの乾いたサウナсаунаとは異なる。
 「痛み」は抽象名詞で単数というふうに考えがちですが、病院の会話などでは、複数で使われます。それは最初に痛みがあるかと医者が聞く場合、痛みがあるのかどうか、あるとしたらどんな痛みかあるかが不明だからです。そういう場合は前にも書きましたが、可算名詞は複数において有無を尋ねるのです。その場合、単数複数の区別がほとんどない日本語の場合、一見抽象名詞のようなものが可算名詞扱いになるというのがなかなか理解できないのです。音楽музыкаは単数で用いますが、吹奏楽や楽器という意味なら複数形でも使えます。不可算名詞だと思うものの中から例外を実地でそれぞれ覚えるしか手はありません。「おなかが痛みますか?」という医師の質問は、У вас болит живот? ですが、痛みを名詞にすれば、У вас есть боли в животе? と複数になります。ところが、腹痛があるという答えは(そしてそれを聞いた医師の質問でも)単数となります。Когда появилась боль в животе?(いつおなかのその痛みが出た〔痛くなった〕のですか?)これは質問によってある部位(この場合はおなか)の痛みということが特定化されたためだと思います。

Posted by メイ at 2012年02月01日 22:20

1) Сауна помогает и от простуды, и от мышечной боли, и от суставной боли.

2) Сауна помогает и при простуде, и при мышечной боли, и при суставной боли.
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正解ですが、болиが2回出てくるのがくどい感じがします。会話では問題ないと思いますが、書いたもので見るとどうかなという気はします。болей мышечной и суставной とか、私の答えのようなвを使うとかの工夫が必要です。

Posted by Ml at 2012年02月02日 00:33

設問)「サウナは風邪にも筋肉痛にも関節痛にも効く」

Сауна помогает и от простуды, и от мышечной боли, и также от артральгию.

こんばんは。しばらく振りに投稿します。
動詞「действовать」か「помогать」のどちらを使うか迷いました。
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正解です。会話ではпомогатьが普通ですし、действоватьは「効果がある」という意味なので、хорошо, вредноと副詞によって意味が180度変わるので、使いにくい面もあります。

Posted by ロンロン at 2012年02月02日 01:09
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