2012年01月05日

●和文解釈入門 第230回

自分では人に対して好き嫌いは特にない方だと思うが、長く生きているとサラリーマン生活の中でどうしても合わないなと思う上司が二人いた。その中の一人は1年ぐらい一緒で、その後その人は他の会社に転職したが、1985年私がモスクワ駐在のときに空港にお客さんを出迎えたときに、偶然出会った。何といっても元の上司なので、こちらから声をかけたら、第一声は、「元気かい、田中君」だった。私の苗字はありふれたもので、別にわざと違う名字で呼びかけたとは思わないが、この人の頭の中では、昔の部下で、最もありふれた名字の奴とインプットされていたのだろう。それがたまたま違っていたというだけかもしれない。子供のころ北海道の函館で佐藤斎藤馬の糞と言われたことを思い出した。

 50年前の函館はまだ馬車が行き来していて、その落とし物も多かった。3月風の強い時は乾いた馬糞が空を舞い、冬のざらめ雪というのは、馬糞の色が混ざって、本当のざらめと区別がつかないくらいだった。つまりそのくらい多いものということで、他の佐藤さんや斎藤さんに含むところはないが、一応前もってお詫びしておく。ちなみにロシア語では1979年の映画Тот самый Мюнхгаузенの中のセリフに、(ドイツではミューレルという名字は名字がないのと同じだ)В Германии иметь фимилию Мюллер - всё равно что не иметь никакой.というセリフがあり、Мюллерの代わりにИвановで置き換えても使えるから佐藤でもよいかもしれない。

設問)「血沈が正常の2倍だ」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 2012年01月05日 07:57
コメント

Величина осаждения
крови два раза больше нормальной.
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構文的な問題はないのですが、血沈はこういう言い方はしません。これだと強いて訳せば血液沈殿値となります。私の答えは、Скорость оседания эритроцитов в два раза выше нормы.
血沈は赤血球沈降速度СОЭ (скорость оседания эритроцитов)で中性扱いであり、以前はРОЭ (реакция оседания эритроцитов) と称した。病院で聞くことがあるかもしれないが、医療ロシア語としてはやさしいとはいわないが、必要があれば覚えればよいという程度で、本質的な語彙ではないし、この設問のポイントでもない。こういう単語を調べるのはコツ(骨)が分かれば大して難しいことではない。インターネットで血沈を調べれば赤血球沈降速度の略であることはすぐ分かる。それを英辞朗などの和英辞典で調べればESR (erythrocyte sedimentation rate) だから、これを英語のままヤンデックスに入れて調べればロシア語が分かるという次第である。手間を惜しまなければインターネットだけで単語(多義語でなければ)の候補なら分かる。特に医療関係や科学技術関係の用語で意味が一つしかないような語彙は調べるのは簡単である。ただ私個人は専門の辞書を300冊以上持っているし、医療や技術関係の専門の通訳翻訳をするときにインターネットは参考にはなるかもしれないが、やはり頼りは専門の辞書ということになる。無料という事は、訳が正しいかどうかだれも責任はもたない、つまりすべて自己責任だという事でもある。

 今回のポイントは「正常」である。нормаはノルマとか基準と訳すように思うが、(正常である)в нормеとかнормальныйでも分かるように、正常という意味でも、特に医療関係では使う。(血清カリウムのレベルが正常に戻った)ならУровень калия сыворотки крови восстановился до нормы.となる。(胃液分泌は正常範囲である)はЖелудочная секрекция в пределах нормы.となる。医療関係で正常でない、つまり病変(異常、異状)はпатология, патологические измененияである。正常というのは「当たり前」という風に解釈して、(彼らの人生において悪いことは当たり前ではなくなる)Дурное в их жизни перестанет быть нормой, естественной состоянием.とも訳せる。

Posted by カレヤンカ at 2012年01月05日 09:35

Скорость оседания эритроцитов выше нормы в 2 раза.
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正解です。

Posted by Ml at 2012年01月05日 21:16

РОЭ(СОЭ) бывает два раза выше нормы.

РОЭ: реакция оседания эритроцитов
СОЭ: скорость оседания эритроцитов
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血沈に対して略語で答えるお知うのは私のより正解に近いかもしれません。これなら設問を過去の時制にしておけばよかったかもしれません。ただ二つ問題があります。一つはРОЭは今はもう使わないということと、бываетというのは「~ことはよくある、2倍高いこともある」ということで、設問とは違います。いずれにせよ設問のポイントはクリアしていますから大したことではありません。

Posted by メイ at 2012年01月06日 00:46

佐藤君を「田中君と呼んだ上司・・・」1980年代のK通商の人ですよね・・・・・だいたい想像がつきますよ。
今年もよろしくお願いいたします。
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ノーコメント。よいお年であることを祈っております。

Posted by F造船ツガンコフ at 2012年01月06日 09:45

設問)「血沈が正常の2倍だ」

Реакция оседания эритроцитов в два раза выше, чем нормальное состояние.

2日遅れで投稿いたします。
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чемの後をнормальноеとするか、выше нормальнойとした方がロシア語らしいと思います。ちなみにРОЭはメイさんにも書きましたが、今ではСОЭと言います。ロシア語略語辞典Словарь сокращений русского языка, Русский языкの第2版(1977年版)はРОЭでしたが、第3版(1983年)では、増補のところにСОЭ (ранее- РОЭ)とあります。ちなみにСОЭはОに力点が来て、中性単数の変化をします。念のため。

Posted by ロンロン at 2012年01月07日 17:12

血沈が正常の2倍だ
СОЭ=Скорость оседания эритроцитов вдвое больше нормального (показателя).

さて、正解は
「2倍」が引っかかるけどまぁポイントはクリア、かな…
СОЭは中性扱いなのですか!この辺は気を付けないと危険ですね
(もっとも間違えても露語話者相手ですから問題ないでしょうが)。

Posted by コーシカ at 2012年01月10日 00:55
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