2011年11月18日

●和文解釈入門 第182回

 もともとアオリスト相というのは動作が単純で列挙的、瞬間的という意味だが、私が使っているアオリストの意味は、過去の動作について総括的に、また完結した出来事として述べるということであり、「過去における繰り返しのきかない唯一の行為」で、ある動作がある過去の一つの時点で事件が発生(その報告)するという、また現在と関係のない過去の具体的動作を示していると、このコーナーでは理解してほしい。私の言う典型的なアオリストの文と言うのは、Восстание произошло в Петербурге 14 декабря 1825 г.(反乱は1825年12月14日ペテルブルグで起こった)である。
過去のある時点から現在までの継続の意味は不完了体現在形で示すことができると第11回の回答で述べた。復習すると、С 1995 г. святой Георгий снова избражается на гербе Москвы.(1995年から聖ゲオルギーは再びモスクワの紋章に描かれている)などであるが、これは繰り返し(何度も何度も)という意味にも取れるかもしれない。その他に現在から未来への継続という意味でも不完了体現在形が使え、用法的には予定の意味である。今現在2011年として、С 20 января 2012 года запрещается курение в общежитиях.(2012年1月20日から寮での喫煙は禁止する)などは動詞によっては可能である。過去のある時点からある時点までの継続はふつう不完了体の過去形で示される。Храм существовал с 15 до 19 века.(寺院は15世紀から19世紀まで存在した)。
また過去の特定のある時点から開始したということはアオリストで示すことができる。В крупных размерах выпуск медных монет начал осуществляться с 1705 г.(大規模に銅貨の発行が行われ始めたのは1705年〔から〕である)。このような用例は始めたことが現在まで継続していないか、話し手がそれに関心がないということを意味する。またбытьの過去形 + 被動形過去はアオリストないしは、現在に至らない過去のある時点までの継続や状態を示すと考えてもよい。この用法では起点のみを示すことができる。例えば、Одна канцелярия была создана в июле 1713 года.(ある官房は1713年7月に設立された)。
бытьの過去形 + 被動形短語尾で思い出したが、Роман И. Ильфа и Е. Петрова, входящий дилогию «Двенадцать стульев» и «Золотой телёнок». Романы были написаны соответственно в 1927 – 1928 и в 1930 – 1931 гг.(2部作「12脚のイス」と「黄金の子牛」に入るイーリフとペトローフの長編小説。それぞれ1927~28年および1930~31年に書かれた)という文で、どうしてнаписаныの前にбылиが入るのだろう。この作品は現存するから、なければ結果の現存になるのにそうなっていない。たんにその年代に書かれたという意味のアオリストなのだろうか?そうかもしれないが、私の考えでは最初の文でその小説ということがすでに触れてある。だから不完了体過去形のような刺身のつまのような用法、つまり動作自体に文のアクセントがなくて(作品が現存する以上、書かれたという事は理の当然だから)、書かれた年代に文のアクセントが来るから、былиを入れたのではないかと推測する。
設問)「風がとても強くて屋根の瓦も飛ばされた」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 2011年11月18日 07:14
コメント

(1) Очень сильным
ветром сдуло
черепицу с крыши.

(2) Очень сильный
ветер снёс
черепицу крыши.
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設問を一つにしてまとめてしまえばこうなるのでしょう。最初のは正解です。二つ目のはсが抜けていますが、凡ミスでしょう。私の答えは、Ветер был так силён, что срывал черепицы с крыш.
「とても~ので~である」というтак + 形容詞, чтоの構文。英語のso~that~の構文に似ている。такой (такая, такое, такие) + 名詞, чтоの構文(英語のsuch~that~構文)であれば、У него такая труднопроизносимая фамилия, что язык сломаешь.(彼の名字はとても発音しにくくて、舌をかんでしまうほどだ。彼のは舌をかみそうな名字だ)とか、Его взяла такая досада, что он даже заколевался, ехать ли сейчас к начальнику.(上司のところに今行くか迷うほどの忌々しさが彼にはこみ上げた)
「~しすぎて~できない」слишком + 形容詞, чтобы(英語のtoo~to do構文)という構文の例は、Они слишком горячи, чтоб быть хитрыми и расчётливыми.(彼らはかっとなりすぎて、ずるく計算ずくで立ちまわることが出来なかった)

Posted by ラーポチカ at 2011年11月18日 08:39

アオリストか否かの判断はかなり文脈にありそうですね。書かれているような文章に遭遇したらまずお手上げです。ミスタイプを見つけました。диологию → дилогию 

Ветер был очень силен, и унес даже черепицу на крыше(с крыши).
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ありがとうござます。ミスタイプは直しました。на крышеはおかしいのでс крышиがよいでしょう。それ以外は正解です。

Posted by メイ at 2011年11月18日 21:58

Дул ветер очень сильно, и им и черепицу унесло.

「吹き飛ばす」は、動詞①унести もしくは、② сдутьを使用するのかと思いました。①の動詞のほうが使用頻度が高そうなので、上記の通り作成しました。
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どちらも使えます。「屋根から」が訳出されていません。それ以外は正解です。ただ少し理詰め(им)のような気がします。

Posted by ロンロン at 2011年11月18日 23:35
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