2011年10月16日
●和文解釈入門 第149回
「不完了体路線・線路説(レール説改め)」に新たな展開があったので追記する。бытьの未来形 + 不完了体不定形で「~するつもりである」の意味の用法は未来時制における着手と考えればよい。路線や線路を例に使うなら、駅からある路線の電車に乗り、あとは身を任せて目的駅まで行くという事になる。この用法は口語的用法で標準的にはсобираться 他 + 不定形を使う、つまりどの不完了体動詞でも使えるというわけではない。これは駅というのはどこにあるわけではないが、駅に行きさえすれば路線は最低一つはある。完了体未来形で意志を示せる場合があるが、それなどは車を使うようなものだろう。車は道路がなければ走れないという制約はあるというものの、自宅から目的地まで基本的に自由に行けるという点が電車などとは大いに違うから体の用法もこれに似ていると言える。この他にも、この不完了体の用法は電車の後方に線路を見るのではなく、いくつかの既に存在する路線を見て、そのうちの一つに乗り換えると考えてもよい。高村光太郎の詩に「僕の前に道はない。僕の後に道はできる」というのがあるが、新たに線路を敷設するというならそれは完了体の考えで、不完了体においては、路線は路線でもあくまで既存の路線ということになる。
タイム誌で中国の愛国主義復活についての記事を読んでいたらCCPというのがやたらに出てくる。暑さで頭が朦朧としているのかと思い読み返してみたら、前の方にChinese Communist Party(中国共産党)とあるではないか。СССРの亡霊かとか、C (caresは心配事、苦労の種という意味)一つないだけで随分違うな(経済がうまくいっているな)などと考えてしまった。
Шила (шило) в мешке не утаишь.という諺を一見すると意味が似ているからといって、直訳して「嚢中の錐」と訳すと誤訳になる。嚢中の錐は才能のある人はたちまち外に現れるということだから意味が違う。この諺は日本語の「隠れたるより現るるはなし」のように悪事露見という意味で使われることが多い。ちなみに嚢中の錐はВидна птица по полёту.とか、Золото и в грязи блестит.となる。「これは序の口」をЭто еще цветочки, а ягодки впереди.と訳しても間違いではないが、ロシア語の諺はもっとひどいことが起こるという意味なので、そういう意味でない時にはЭто ещё преддверие.などと訳し分ける必要がある。諺は取り扱いが難しく、形は似ていても日本語とロシア語では用法が違う事が多々あるので露露辞典や、できればロシア語の諺辞典で意味と用例をチェックしておく必要がある。
スケジュールはграфикだが、расписаниеは時間と場所、行う事の手順をかいたもので、これをスケジュールと訳してもよいが、時間割、時刻表といったところである。
設問)「何が書いてあるのか分からない」をロシア語にせよ。
(1) Я не понимаю что
написано.
(2) Я понятия не имею
что тут написано.
(3) Нельзя понять
что тут написано.
-----------------------------------
чтоの前にカンマを入れたほうがよいと思います。みな正解なのですが、この中では(3)が設問の意味をよく体していると思います。初学者の方に申し上げますと、設問については読んでからイメージすることが大切です。設問では何を書いてあるのか分からないものがある、つまり被動形過去の現在時制の用法にある結果の現存である。分からないは理解できないとも訳せます。そうなると、Я не понимаюというのは、繰り返しの否定でもありますし、一般に動作の否定を意味します。これでも構わないのですが、完了体にすると、不可能の意味となり、この場合は具体性が出て、意味が強くなります。私の答えは、Не разберу, что написано.
完了体未来形の否定で不可能の用法の復習。
Мне не понятно о чём написано.
第148回に続き、投稿いたします。
出来る限り投稿を続けたく存じますので、
ご教示いただけますよう何卒宜しくお願いいたします。
---------------------------------------
оの前にカンマを入れたほうがよいと思います。設問は二通りに解釈できます。一つは悪筆で読めないというものですが、お答えは字は読めても書いている内容が分からないというもので、これも正解です。私の答えはどちらのの意味でも取れると思います。通訳する場合は書いているものが現場にあるわけですから、どちらに訳せばいいか一目瞭然のはずです。
CCCPの亡霊,笑えます。たしかに時々CC…と続く略称に出会うとつい連想してしまいます。
Непонятно написано.
----------------------------------------------
чтоをнаписаноの前に入れないとнепонятноです。Непонятноеとすれば文法的には正しいくなります。