2011年10月14日

●和文解釈入門 第147回

ロシア文学に興味ある人のためにこれから何を読むべきかについて、「19世紀ロシアの作家と社会」、R. ヒングリー、川端香男里訳、中公文庫、1984年が参考になりそうなので紹介する。本書は1825年から1904年のロシア文学について作家及び社会を扱ったものである。ソ連時代に出版されたものとしてはソ連国内でこのようなものは出版できなかったからというだけでなく出色の出来である。ただソ連崩壊後Энциклопедический словарь росийской жизни и истории(ロシアの生活・歴史百科), Беловинский Л.В., ОЛМА-ПРЕСС, 2003(6000項目)なども出てきているので、ロシアの実社会を知る上でその重要性は薄れてきてはいるが、文学という面に限れば一読の価値はある。本書は1977年版の翻訳である。著者はアレクサンドル2世の治世の時代にロシアソ連文学の精華が生まれたとしており、具体的にはそれは1856年から1880年の期間で、13の長編小説(レフ・トルストイの「戦争と平和」、「アンナ・カレーニナ」、ドストエーフスキーの「罪と罰」、「白痴」、「悪霊」、「カラマーゾフの兄弟」、ゴンチャローフの「オブローモフ」、トゥルゲーネフの「ルージン」、「貴族の巣」、「その前夜」、「父と子」、「煙」、「処女地」)を挙げ、このほかにその前に出たプーシュキンの「エヴゲーニー・オニェーギン」、レールモントフの「現代の英雄」、ゴーゴリの「死せる魂」の3作を挙げている。この後に出たレフ・トルストイの「復活」、ソログープの「小悪魔」、ベールィの「ペテルブルグ」、ショーロホフの「静かなドン」、パステルナークの「ドクトルジバゴ」、ゴーリキーの「フォマー・ゴルジェーエフ」や「アルターモノフ家の事業」、ピーセムスキーの「千人の農奴」、ゴンチャローフの「断崖」、レスコーフの「僧院の人々」、サルトィコーフ・シシェドリーンの「ゴロヴリョーフ家の人々」はいい作品であるにせよ、上の13作に比べればそれほど評価しないという。個人的にはトゥルゲーネフのロシア語は美しく、ロシア語の勉強にはなると思うが、今日的な意味のある作品とすれば、トゥルゲーネフを入れるなら、「ドクトルジバゴ」、「僧院の人々」、「静かなドン」、「小悪魔」を入れた方がよいという気がしないではない。ソ連時代の作家が二人だけとさびしい限りだが、個人的にはプリスターフキンПриставкинの「黄金を帯びた黒雲が一夜を共にしたНочевала тучка золотая」もいい作品だと思う。
 短編ではチェーホフが断然トップであり、戯曲(劇作品と訳している)では、チェーホフとオストローフスキーを挙げ、その他の作家の個々の作品ではグリボイェードフの「知恵の悲しみ」、ゴーゴリの「検察官」、トゥルゲーネフの「村の一月」、レフ・トルストイの「闇の力」、ゴーリキーの「どん底」を挙げている。回想録ではゲルツェンの「過去と思索」、ゴーリキーの「幼年時代」、「人々の中で」、「私の大学」、「回想」、レフ・トルストイの「幼年時代」、「少年時代」、「青年時代」、ドストエーフスキーの「死の家の記録」、アクサーコフの「家族の記録」と「孫バグローフの少年時代」、詩ではネクラーソフの「ロシアは誰に住みよいか」、チュッチェフ、フェート、マイコーフを挙げている。いずれにせよこれからロシア文学を本格的に読もうとする人にとっての一つの指針であることには違いない。
 それといつもひっかかるのは「貴族の巣」дворянское гнездоという題名である。確かに直訳すればそうだろうが、泥棒の巣でもないのだから、いい加減、正しい訳語である「貴族の屋敷」とでもするべきではないか?それと「静かなドン」も、日本語らしい七五調のリズムを考えるなら「静かなるドン」の方が響きがよいと思う。
設問)「取りあえず火曜という事に、でも時間はさらに詰めましょう」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 2011年10月14日 05:34
コメント

Пока назначим нашу
встречу на вторник, а
время уточним
попозже.
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назначимだと一方的に申し渡している感じがします。一応相手と時間についても合意したというのが設問ですから、私の答えは、Мы предварительно договорились на вторник, но время ещё уточним.
このпредварительноは「一応、暫定的に」という意味です。

Posted by カジューシャ at 2011年10月14日 07:20

В принципе мы
договорились
встретиться во
вторник, а время
уточним позднее
дополнительно.
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だいぶ良くなりました。ただただ日付や時間の指定にはвではなくна + 対格を使います。それとпозднееはдополнительноがあるから不要です。в принципеですが、この場合は会話ですから問題ないのですが、これを書き言葉で「原則的に」という意味では普通使いません。メールや手紙ではкак правило, обычноを使うようにしましょう。

Posted by カジューシャ at 2011年10月14日 08:34

レール説をいろいろ考えていたら,設問への回答が遅れてしまいました。

Сначала договорились о дате, во вторник, а время, давайте уточним потом.

あまりにも簡潔化した会話なので,どうしても少し付け足すことになってしまいました。また決まり文句があったりしますか?「とりあえず」をどうとるかも難しく,「他の予定が入るといけないのでまずは日にち(火曜日)を押さえておいてから…」ととりました。それで сначала でいいかと思ったのですが во всяком случае というのもありかなと思いました。
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指定の意味ではвではなくнаを取ります。Сначала догорились...というのは「初めは取りきめました」ということで、「初めに取りきめましょう」ならともかく、おかしい感じです。

Posted by メイ at 2011年10月15日 00:56
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