2011年10月02日

●和文解釈入門 第135回

 ロシア語の会話がうまくなるには、ある程度ロシア語の作文をせざるを得ない場に身を置くことが大切である。それも自分の不得意な分野のものをやっておけばあとで話題が広がるし、如いては通訳やガイドの勉強にもなる。問題は露訳の種はその辺にごろごろ転がってはいるが、できた露文が正しいか、正しくないならどこがおかしいのが徹底的に見てもらわないとうまくはならない。作った露文に対して正解を示してもらうだけでは、あまり意味はないのである。和文露訳の答えが一つということはあまりない。作った露文がロシア語でそう言わないにしろ、どこを直せば通じるようになるのか、文法の誤りなのか、語結合がおかしいのかなど具体的に指摘してもらう必要がある。学習者がその点を自覚しさえすれば質問もより具体的となって、それが自身のロシア語能力のさらなる向上となって現れるのである。このコーナーの設問も、できるだけ通訳やガイドの現場でよく使われる表現を、それもできるだけ応用できるものを出題しているつもりである。こういう機会を利用してもらうに越したことはないが、匿名とはいえ投稿するには勇気がいるのかもしれない。それであれば回答例と解説だけでもいつか役に立つ事を願っている。
完了体は新規の事柄を示すために、その動詞本来の意味のほかにいろいろなニュアンスがつきやすい。不完了体はといえば、刺身のつまのようではあるが、動詞本来の意味が端然としてある。ここのところが体の使い分けの勘どころだと思っている。
設問)「なかったことにしましょう」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 2011年10月02日 05:45
コメント

(1) Давайте сделаем
как будто у нас ничего не было.

(2) Давайте предадим
всё забвению.
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(1)は目的語が要ると思います。となるとこの構文では無理でしょう。(2)はよいのですが非常に硬い言い方です。Давайте об этом забудем!のようにしたほうが分かりやすいと思います。この設問は決まり文句のようになっていて、私の回答は、Будем считать, что этого не было.
Будем считатьで善意、仮定を示す用法です。

Posted by カジューシャ at 2011年10月02日 07:16

「ロシア語の作文をせざるを得ない場に身を置くこと」 を今切に願っていますが…
このご時世&福島原発。なかなかです。

Давайте вернёмся на круги своя.

これは難しかったです。「なかったことにしましょう」は直訳できないので、考えられる選択肢は、「白紙に戻しましょう」なのですが、ロシア語だと "к самому началу " となり、これは本当に「なかったこと」なのか悩みました。なので、129回にならって、今回は慣用句を使ってみました。
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時事ロシア語というのは好むと好まざるにかかわらず勉強せざるをえませんが、ドジョウ首相のような一過性のものよりも(首相が変わればそれで終わりというよりは)、同じ首相が使ったこの表現の方がこれからも使えそうです。どうでもいいことですが、お書きの表現は諺ではありません。聖書由来のкрылатые слова(故事成句)の一つで、Возвращается ветер на круги своя.(кругиの力点はу)が元です。元の木阿弥、つまり元の状態に戻るとか、すべては繰り返されるという意味です。だから設問の意味で使えるかどうかは疑問です。

Posted by メイ at 2011年10月02日 20:24

やっぱりそういう決まった言い回しがあったんですね。それがわからず回り道して間違えてしまいました。直訳で挑戦したほうが傷が浅かったですね。とほほ。

Posted by メイ at 2011年10月03日 09:17
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