2011年09月10日
●和文解釈入門 第113回
繰り返しに不完了体現在形を使うというのは、現在の1点が含まれてさえいれば現在時制を使うからだという。この点について考えてみた。今午後2時だとして、毎朝9時に通勤するという文を考えると、朝9時はとうに過ぎているから過去であって現在ではない。しかし現在というのは厳密に言えば今この瞬間(時間の軸の今現在の1点)を指し、それは未来に向かって常に動いている。だから後19時間経てば午前9時になり、つまり繰り返しに現在の1点が必ず含まれるという前提が達成されることになる。だから過去の繰り返しでは現在時制を用いないのである。未来の繰り返しはどうだろう?未来のいつかという事がはっきりしていない以上、主語が存在するかどうか(それまでに死ぬかもしれないし、なくなるかもしれない)未確定であり、未確定である以上必ず現在の1点が含まれるということにはならないから、これにも現在時制は使えないことになる。
日本語の「~している」という構文は、始発の意味に現在まで継続しているという意味が加わった、いわゆる現在完了である。だから「彼は読んでいる」という文は、「彼は読んで、その状態が続いている」という意味だから、Он читает.となる。それでは「来ている」はどうだろう?「彼は来て、その状態が続いている」ということだが、これは完了(結果の存続)という意味で、Он идёт.とはならない。これだと「かれは来る(予定)」か「来るところ(来つつある)〔過程、現在進行形〕」である。だから「彼は来ている」ならОн пришёл. (Он приехал.)と訳さないと正しくないことになる。日本語の「~している」というのは「始発ないし完了 + 継続」という意味なので、日本語を聞いたときに動作をイメージ化できないと正しいロシア語にはならないことが分かる。「着く」、「行く」、「話す」、「言う」、「買う」、「書く」という基本的な動詞についても、「(今)書いている」と「(とっくに)書いている」では前者はЯ пишу.であり、後者はЯ (уже) написал.となる。「行くよ」や「行くところだ」も意志や予定(いずれも動作はまだ始まっていない)であり、ロシア語ではそれぞれЯ пойду.やЯ иду.に訳し分けなければならない。簡単な表現でもどちらの体を選ぶかは体の用法をよく理解していないとできないことになる。
設問)「踊れない日本女性というのは稀だ」をロシア語にせよ。
(1) Редко встречаются
такие японки,которые
не умеют танцевать.
(2) Редко кто не умеет
танцевать среди
японских женщин.
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(2)はктоだけで使うのは文法的におかしいと思いますし、редкаяと形容詞を使ったほうが簡単だと思います。私の答えは、Редкая японка не умеет танцевать.
「~しない~は稀だ」とか「~しない~はほとんどない」という構文で使える。これは作った文ではなく、1861年に函館(当時の箱館)を訪れたロシア人旅行家С. Максимовの感想の中にある。他にも「あそこで座礁しない船は稀だ」はТам редкое из судов не садится на мель.とか「1日に3度紅茶を飲まないロシア人はいない」は
Редкий русский не пьёт чаю три раза в день.となる。
(訳)
踊れない日本女性というのは稀だ
Редкая японка не умеет танцевать.
下記の例文を否定形にしたものが使えると思います:
Редкая птица долетит до середины Днепра.
ドニエプル川の中ほどまで飛んで行く鳥はまれだ。
(研究社1,962頁、редкий)
танцевать単体で、
「踊れる、ダンスができる」という意味があるようですが(研究社2,304頁、ЗиР764頁)
уметьを入れておいた方が誤解がないように思えます。
さて、正解は
おぅ、めずらしい。ドンピシャ!