2011年08月15日
●和文解釈入門 第94回
類語の使い分けについてたとえで言うと、これが分からないと砂浜や浅瀬で泳いでいる分にはいいが、そうでなければ羅針盤を持たずに大海に乗り出すというのに似ている。
夫の事を「主人」というが、ロシア語でもхозяинをその意味で使う事がある。ただ俗語なので、日本語であれば「亭主」とか「連れ合い」、「旦那」あるいは「旦つく」という感じだろう。同じく日本語の俗語で「うちの」といえば夫の事を指すが、ロシア語でもмойだけでその意味を出すことが出来る。
状況や事情を露訳するときに、обстановкаやусловия(複数で使うのが普通)やобстоятельства(複数で使うのが普通)を思い浮かべるが、簡単な使い分けの目印を挙げておく。обстановкаは雰囲気的なもの、社会・政治的な状況に使われる。単独では軍事用語として戦況 (боевая обстановка) という意味になり、他にもледовая обстановка(氷結状況)、погодная обстановка(天候状態)、промысловая обстановка(漁の状況)、навигационная обстановка(航海の状況)など決まった言い方がある。условияは外的なもの、物質的なもので、長期的、常にあるという状況に、обстоятельстваは外的なもので一時的、具体的な状況に使う。состояниеはположениеと同義で「状態」という意味である。(全般的な)状況という場合にはположение дел, состояние делという使い方をする。Каково состояние дел в прибрежной торговле между СССР и Японией?(日ソ沿岸貿易の状況はどうですか?)。обстоновка на заводе(工場の状況)というのは工場の雰囲気についてであり、состояние работы(仕事の状況)は全般的な状況のことである。
на самом деле とв самом делеの使い分けが混乱している人も多いと思う。на самом деле (= в действительности)で、「本当は、実際は」という意味で、На самом деле это не так.(本当は違う)のように使い、в самом деле (= действительно)はсовершенно правильно(全くその通りです)という意味に使われる場合が多い。
設問)「不審物や持ち主の分からない荷物を見つけた場合は、ただちに警察にお届け願います」をロシア語にせよ。