2011年08月09日
●和文解釈入門 第91回
衣服は男なので(こういう言い訳は私の世代ではまだ許されると思うし、個人的に衣服自体に関心がないので)日本語自体があまり分からないが、分かる範囲で書いて見る。もっと詳しい人がいれば訂正願う。背広の上は男ものをпиджакと言い、女性用はжакет(日本語でもジャケットといえばこの意味らしい)という。ズボンはбрюкиだが、これはスーツのズボンを指し、женские брюкиならスラックス(無論男性用のスラックスもある)である。штаныはズボン下(股引、ステテコ)という意味もあるが、ダブダブのズボンという意味もある。штанинаズボンやズボン下の片足で、спускать ноги в штаниныは「ズボン(下)に足を通す」という意味である。パジャマはпижамаだが、イメージとしてはトレーニングウエア(上下)で、寝台列車でロシア人がよく着ている。最もこの頃はпижамаはいわゆるパジャマになったという話もある。このトレーニングウェアの上のような上着はкурткаといい、特にイメージがわかない時の上着を訳す時に使える。室内着はблузаで男女とも着る。女性ならブラウス(блузкаでもよい)と訳せる。セーターは女性用は一般的にкофтаであり、джемперは男物のVネックセーター、女性用の短い袖のプルオーバーを指し、свитерはタートルネック、ないしは、とっくりセーター(カシミア、毛糸製)で、водолазкаもタートルネック、とっくりセーター(木綿、化繊製)を指す。пуловерは主として男物の襟明き丸首セーターである。カーディガンは女性用はтрикотажный, вязаный жакетで、男ものはблузаであり、трикотажный, вязаный жилетやбезрукавкаはベストである。трикотажныйとвязаныйの違いは、ともにニット(メリヤス)製だが、前者が機械編みで、後者が手編みということである。
設問)「新幹線は20分おきに出ている」をロシア語にせよ。
(訳)
新幹線は20分おきに出ている
その1 Поезды, Синкансэн, отправляются каждую двадцать минут.
その2 Поезды, Синкансэн, отправляются по двадцати минут.
うぉぅ、またも鉄分の濃いネタ!
じゃなくて
・「…おき」で悩みました:по+与格で「…づつ」かなと思ったら、
辞書は対格を使いなはれ、という用法が多かったです。
・動詞は反復ないし多回的用法と考えられるので不完了体現在で決まり
と考えました。
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鉄道の文例が多いのは私が鉄道ファンということではなく、日常生活に鉄道は密着しているので、使う機会が多いだろうということでわざと例文に入れているのです。поездыは列車(汽車)ということなので、新幹線を知らないロシア人にはもう一工夫説明が必要だと思います。каждыйを使うというのはいいのですが、それだと複数にする必要があります。「ごとに」という意味ではпо + 複数与格のはずです。ただその場合по двадцати минутが正しく、по двадцати минутамは間違いとされます。対格ならпо двадцать минутのはずです。私の答えは、Суперэкспрессы ходят (через) каждые двадцать минут.
ходить (= двигаться в определённом направлении, по определённому маршруту; ехать, плыть,лететь) は「バス、飛行機、船で決まったルートを運行する」という意味で使う。つまり環状線(普通は時計回りか、反時計回りかの一方向である)でも使えるということになる。主語を単数にしてСуперэкспресс ходит (через) каждые 20 минут.というのも稀に見る。これは例えば時刻表において3台の列車が全く同時に出発するということはないということからかもしれない。каждыйは複数しかない名詞以外は普通は複数形とならないが、数詞と一緒に「~ごとに」という意味のときはкаждые + 数詞(対格) + 名詞(その数詞の要求する格)となり、意味上は副詞句扱いである。だから「21日ごとに」はкаждые двадцать один деньとなる。それでは「21秒ごとに」や「21分ごとに」はどうなるのだろう?каждые двадцать одна секунда (минута)になるのだろうか?каждый минуту(毎分)、каждую секунду(毎秒)のように副詞句で用いられる場合は対格にするのが普通である。そうなると主格ではおかしいことになる。それで、私見だが、каждый третий день(3日に1回)というように順序数詞を使ってみたらどうだろう。каждую третью секунду(3秒に1回)という言い方はあるのでそれを応用して、каждую двадцать первую минуту (секунду)なら文法的にも無理のない表現のように思うが如何?研究社の露和にあるような「1日おき」をкаждые два дняとするのは、文法的には正しくとも、実際はчерез деньを使うのが普通である。
衣服の説明ありがとうございました。よくわかっていないのでこの際と思ってкуртка、джемперなどネットで見てみました。курткаの概念は、あってないようにも思えるほど様々でした。いつもкуртка、курткаと言われるたびに「どのкурткаなんだ、はっきりしてー」と思ってしまいます。жемперは文字通りジャンパーだと思うと大違いでおもしろいですね。
回答です。
Поезда “Синкансэн” отходят через каждые 20 минут.
この場合はчерезが入っても入らなくても同じということなのでしょうが、辞書(研究社)では каждые два дня (1日おきに), через каждые два дня (2日おきに) となっていました。 каждые два дня は「2日のうちに一度」、через каждые два дня は、「2日過ぎたのち」に一度と、厳密には意味が変わるようですね。ということは、この場合でも、каждые 20 минут は、20分のうちに発車するのですから、「20分-出発に要する時間」 ???
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衣服もロシア語はロシア語ですから一応調べましたが、なにせ日本語のほうが心もとないため、ロシア語を写真や説明で分かった気になっても日本語でどうなるかは不安な面もあります。一応大丈夫だろうと思われるものを載せました。生地や衣服の類語はできれば女性の方(あるいは男性でもその方面に詳しい方)に頑張っていただき、その成果を教えてもらえればありがたいのです。類語については一人で何もかもできるわけがありません。せいぜい日常用語や自分の専門の技術用語(鉄鋼、船舶、工具、化学)ぐらいはなんとかできても、それ以外は日本語の用語の理解自体が表面的なものです。ただやるからには、こう思うだけではだめで、根拠や典拠をしっかりさせ、かつ責任を明らかにすることが必要です。さて回答は正解です。каждыеとчерез каждыеについてもおっしゃる通りだと思いますが、ロシア語学者のВсеволодова女史の説では、「3時間ごとに」という意味でкаждые три часаとчерез каждые три часаは同義である。ただ前者が(本来)直接的に相対時間прямой относительное времяを示し、後者がそれに続く相対的時間последующиее относительно времяを示すのであるが、意味上の差異は見られないとあります。ただчерез каждые 60 часов эксплуатации(60時間の稼働毎に)のчерезを外すことはできないと書いています。каждые три часаは厳密にいえばある時は1時間後、ある時は2時間後、またあるときは3時間後と文法的にはなるはずですが、実用上そういうややこしい理解はせずに、через каждые 3 часа(3時間おきに)と同じ意味になるということです。ただ後ろに限定詞がつくような場合ではより厳密な(文例は技術関係でしょうから)用法が求められるのだという風に私は理解しています。
ありがとうございます。
Суперэкспрессですか~すっきりしていていいですね。
高速列車высокоскоростные поездыと言うよりも簡便ですね。
каждыеは辞書の例文を見直しても確かに複数でしたが、
理由までは分かりませんでした。ご説明ありがとうございます。
поで「…毎に」を表わす場合の使い分けについては
岩波が一番コンパクトでした(岩波1,286頁、по、定義32)。
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弾丸列車пуля-поезд, поезд-пуляでもよいと思います。