2011年08月05日

●和文解釈入門 第87回

начинать/начать, кончать/кончить, продолжатьの後に続く動詞の不定形は不完了体が来る。これは「始める」という動詞はこれから続いていくという事を前提にしているからだろうし、「終える」という動詞はこれまで続いていたものを終了させるという意味合いからだろう。「続ける」も同様である。「続ける」という意味では完了体のпродолжитьは不定形を取らない。これはпродолжатьの完了体形というよりは「再開する」とでも訳した方がいい動詞である。午前中に会議をして、昼食でいったん休憩となり、午後から続ける時に、日本語では、「始めましょう」という場合もあるが、ロシア語ではПродолжим.というのが普通である。無論会議の途中で、議事を一旦中断した場合などはПродолжаем.でもいいのかもしれない。つまりпродолжитьというのは、継続ではなく、一旦切れてからの再開という意味である。
設問)「嵐が近づいてきた。船は港へと急いだ」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 2011年08月05日 06:10
コメント

Буря приблизилась.
Пароход поспешил
к порту.


Буря приблизилась.
Судно поспешило
заходить к порту.
-------------------------------------
「嵐が近づいてきた」だから過去の進行形だと思います。それとзаходить в портです。ただ完了体と完了体を続けるというのは正しいアプローチです。私の答えは、Приближался шторм, корабли спешили в порт.
前にпри-という接頭辞のついた運動の動詞(運動の動詞は定動詞・不定動詞の14組のみという学者もいる)は進行形が作れないと書いたが、これをприという接頭辞がついたすべての動詞と勘違いしている人がいる。приのついた運動の動詞というのは、平たく言えば定動詞にприをつけた動詞で、多く見積もっても14である。приближатьсяは運動の動詞ではない。「近づいた」を完了体でとると、嵐がそこに迫ったという瞬間を示しており、そういう風に文脈を理解するのは無理があると思う。嵐が近づいてくるので、嵐に遭わないように港へ急ぎつつあるという理解が普通だと思う。近づくというような動詞は意味上進行形で使われることが多いように思う。

Posted by パラショーノク at 2011年08月05日 06:34

Буря приблизилась.
Судно поспешило
направиться в
сторону порта.
-------------------------------------
文がくどくなっており、前の、特に最初の文のほうがいいと思います。

Posted by パラショーノク at 2011年08月05日 08:08

(訳)
嵐が近づいてきた。船は港へと急いだ
Шторм приблизился. Корабль устремился на порт.

構文は順次的用法で完了体過去やろな
と考えたまでは簡単でしたが、類語の選び出しに手間取りました…

「嵐」は、海上でのそれ、との記載のあった шторм を選択:
Ненастье, сопровождаемое сильным разрушительным ветром,
часто с дождем или снегом.
(科学アカデミー1巻127頁、буря)
снегって、嵐に付いてくるちゅうことはこの場合は雹かい?と調べると、
やっぱり雪でした。雹は град で、霰も同じのようです。
雪と嵐の豪華キャストでお送りするあたりは北国のことばならでは

Сильный ветер, буря (обычно на море).
(科学アカデミー4巻732頁、шторм)

「急ぐ」は結構あって大変でした…
結局、交通機関について、との記載のあった устремитьсяが生き残りました。
露和を見ると違うような気もするけど、ええもん!
前置詞は на+対格でええのんか、к+与格の方がええのと違うんか、
がちと不安です…
Быстро идти, двигаться, стараясь успеть куда-л.,
как можно скорее быть где-л.
(科学アカデミー4巻388頁、торопиться、定義2)

Стремительно двинуться, направиться куда-л.; броситься.
(科学アカデミー4巻526頁、устремиться、定義1)
--------------------------------------------------
私の答えは不完了体を使うというものです。на портはおかしい。そういう語結合は普通ではあり得ません。в портでしょう。устремляться/устремитьсяについては一点を目指すという意味ならвを、方向という意味ならнаを使います。устремлять глаза на кого, на что(目を~のほうに向ける)、устремлять глазами в пространство(空を見つめる)、устремлять пристальный взгляд в одну точку(じっと一点を見つめる)で、名詞との相性もありますし、これはсмотреть в что, на чтоの応用みたいなものです。見るという意味ではна + 対格は全体を眺めるという感じで、в + 対格は一点を見つめるという感じです。

Posted by コーシカ at 2011年08月05日 21:53

>「嵐が近づいてきた」だから過去の進行形だと思います
>私の答えは不完了体を使うというものです
過去進行形とは思いつきませんでした!
確かに完了体で済ませてしまうと「嵐が近付いた」というニュアンスになりますものね。

>на портはおかしい。そういう語結合は普通ではあり得ません。
>в портでしょう。
ご指摘ありがとうございます。動詞の要求前置詞は何か、に気を取られておりました…
手許の辞書にて改めて確認しました。確かにおかしいです:
入港、出港はそれぞれ
Входить (Заходить) в порт.
Выходить (Уходить) из порта.
となっておりました。
「港へ」でна порт が成り立つなら、その反対の「港から」は с порта となり、
そうなると"港の表面?から出てきた??"ということになってしまいますものね。

>устремляться/устремитьсяについては
>一点を目指すという意味ならвを、方向という意味ならнаを使います
ありがとうございます。
в か на のどっちを取るのかは
куда「どちら」で十分なんか、где「どこ」まで言わんとあかんのかによって変わってくる、
と理解します:
・куда「どちらへ」の場合は на+対格
 (目標への到達することがメインで、それが何かまでは問題にしない)
 その反対の「どちらから」の場合、с+生格(どの方向から来たのかが問題)
・где「どこ」の場合は в+対格
 (特定の目標への到達がメインで、方向は2の次)
 その反対の「どこから」の場合、из+生格(出所が問題)
・к+与格で接近を表わすと聞きました、意味は強いて言えば「どちらまで」が近そうです
 (あくまで近接で、中に入り込んでしまうのか、表面に触れるだけなのか等は問題にしない)
 反対は「…(のそば)から」となるので、от+生格
 (どの方向から来たのかを問題にするも、
 出発対象と接していたのか中に入り込んでおったか等は不問)

ただし、これはあくまで動詞がなぜその前置詞を取るのか、という視点でのまとめです。
名詞がвを取るかнаなのかは、名詞の意味を考えるのはもちろん、
やはり場数を踏んで覚える(露語の発想に慣れる)しかなさそうです。
-------------------------------------------------
根本的に誤解していることがあります。куда(どこへ)は方向を示し、где(どこで)は存在している場所を示します「。日本語の「どこに」は場所と存在の両方を示すことができます。ですからкудаはв/на + 対格と対応し、гдеはв/на + 前置格と対応します。быть は状態の動詞ですから必ずв/на + 前置格がきます(無論意味上では日本語のどこへに対応する場合もあります Я был в Москве.は「モスクワへ行ったことがある」と取るのが普通ですが、文脈によっては「モスクワにいた」という意味もあります)。от/к/уの対応は「接触しなところから(へ、で)」という意味で、分かりやすく言えば人間(ないしはものの近く)などです。на + 対格/с + 生格/на + 前置格は表面から(へ、で)、в + 対格/из+ 生格/в + 前置格は内側から(へ、で)というのが原則的な意味の違いです。от меня というのは「私(のところ)から」という意味で、私の体の中からということでもないし、私の体の表面からという意味でもありません。前置詞については、смотретьのように、вとнаが共に使える場合、さらに細かく意味がわかれるときもあるということで、「見る」という動詞の例を他に援用する(拡大解釈しよう)というのは考えものです。まず基本を押さえることが大事です。

Posted by コーシカ at 2011年08月06日 20:47

>私の答えは不完了体を使うというものです
そや!「嵐が近付いた」を事実の名指しと考えりゃええんか。
まず嵐が近付いて、それから船が港へ急いだ
と、両者に因果関係あるのか、たまたま連続しただけなんかわからん言い方よりも
嵐がもうそこまで来ました!さぁ困った、とりあえず港へ急げ
と考える方が自然ですものね。
------------------------------------------
事実の名指しというのは、具体的な過去の目印を示さず「~したことがある」とか事実の有無だけを指摘する用法です。設問ではたしかに具体的な過去の目印はないのですが、嵐が近づいてきているので船が避難を始めた。船が港に向かっている最中にも嵐が港に迫りつつあると取るのが普通だと思います。「嵐が近づいたことがあった」という文だけなら、事実の有無の確認ですが、これに付帯状況(船が避難した)とつけば、事実の名ざしとはいわないでしょう。

Posted by コーシカ at 2011年08月06日 21:09

詳細なご説明ありがとうございます。
「…へ」「…から」に相当する前置詞の違いについてもよくわかりました。

>кудаはв/на + 対格と対応し、гдеはв/на + 前置格と対応します。
そうでした!
куда は方向、где は点と覚えておりましたが、
格のことをすっかり忘れておりました…

>事実の名指しというのは…事実の有無だけを指摘する用法です。
>設問では…船が港に向かっている最中にも嵐が港に迫りつつある
>と取るのが普通だと思います。
なるほど。
そうなると確かに当てはまりませんね。

ありがとうございました。

Posted by コーシカ at 2011年08月07日 21:27
コメントしてください