2011年07月25日

●和文解釈入門 第76回

トロイの発見で有名なシュリーマンは外国語を15マスターしたといわれている。その勉強法は、非常に多く音読すること、決して翻訳しないこと、毎日一時間をあてること、常に興味ある対象について作文を書くこと、これを教師の指導によって訂正すること、前日直されたものを暗記して、つぎの時間に暗誦することだと述べている。この中で「常に興味ある対象について作文を書くこと、これを教師の指導によって訂正すること」が一番会話の上達に効果がありそうだし、ロシア語を教える大学や学校でも生徒にこういうやり方をしたら非常に効率的な勉強法だと思うが、それに対応できる先生は少ないだろうし、手間もかかるし、多人数の生徒には対応しきれまい。せいぜいのところロシア語にした作文をロシア人に直してもらうぐらいだろう。それだとできた作文のロシア語がなぜだめなのかということを、元の日本語とのニュアンスとの違いも含めて日本語で事細かく文法も含めて説明できず、いわゆる正解だけがあって、間違いもこうはロシア語では言わないという一点張りのような気がする。問題なのは答えのロシア文がいわゆる正解に近いかというよりは(それも重要であはあるが)、原文の日本語をどのくらい文法的に正しく、また語結合や、類語の使い分けも勘案し、文化的な違いなどの説明も含めてロシア語に反映させているかどうかということであり、これは日本語とロシア語両方に双方の文化も含めて精通していないとできないはずだ。独立したロシア語の文としては正しくとも、肝心の日本語の原文から見れば露訳が間違っているという事は大いにありうる。無論作文の内容は生徒が本当に興味を持っている事柄であり、気まぐれな問いにつきあうという事ではない。
設問)会議の後で「そのままお待ちください」のカッコの中をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 2011年07月25日 06:02
コメント

(1) Прошу прощения.
Сейчас я приду.

(2) Подождите на
минуту. я сейчас
приду.
----------------------------------------
(1)、(2)の場合も間違いではありませんが、これでは主催者か同僚か知りませんがその人一人がちょっと席を外して、すぐ戻ってって来るというニュアンスです。設問の趣旨は、会議の後で、重大な発表があるとか、プレゼントを渡すとかそういう感じです。別にそのように取らなくてもいいのですが。私の答えは、Не расходитесь.
Останьтесь.だと相手が帰るそぶりを見せたときなどに、Оставайтесь.はこのまま残っていなさいという感じがする。

Posted by パラショーノク at 2011年07月25日 07:02

(訳)
(会議の後で)「そのままお待ちください」
そのまま席にいてください、と考えて
Будьте на месте.
Подождите на месте.
Оставьте себя на месте.
Сохраните себя на месте.
のいずれかではないかと考えました。
быть, подождать 以外が完了体の命令なのは
会議が済んだのに席にそのままというのは
新規かつ具体的な事柄と思われるからです。
подождать には対応する不完了体はないものの、
ждать の完了体的な意味合いでも使われるようですね
(研究社1,561頁、подождать)。
さて、正解は…
なるほど、解散せんとって、と考えるんですか~
確かに一か所からそれぞれの方向へ散りますものね。

>シュリーマンは外国語を15マスターしたといわれている。
ウィキペディアでは独語入れて14言語が挙げられておりました。
いずれにせよ
これは天才だからできたことだ!と結論を急ぐ人がいます
(だめですよ、そんな短絡では。アーク溶接やないんやから)。
シュリーマンの母語(独語)とマスタした言語の内容を見ると、そうでもないように思えます。

語族による分類だと5分類:
ゲルマン語:英、蘭、瑞
ラテン語:仏、西、葡、伊、羅
その他:希(ギリシア)、露(スラヴ)、アラビア(セム)、トルコ(テュルク)

宗教的背景による各言語の共通要素だと4つ:
イスラーム:トルコ語、アラビア語
西方キリスト教(新教):英、蘭、瑞
西方キリスト教(旧教):仏、西、葡、伊、羅
東方キリスト教:希、露

ですから、江戸っ子で日本史の考古学者が
上代日本古語(~奈良時代)、日本古語(平安時代~)、京ことば、船場ことば(大阪商人のことば)、大和方言(奈良弁)、筑前方言(博多弁)、琉球方言(うちなーぐち)、遠野方言(岩手県遠野)、伊達方言(岩手県平泉周辺)、朝鮮語、中国語、サンスクリット語が使えます!
というようなもので、
確かにすごいことではあるものの、
よくよく考えると欧州語を母語とする人なら誰にでも到達できなくはない境地だと思います。
日本語はバッチリ孤立語ですから、
シュリーマンと同じ言語をマスタというのはなかなか難しいでしょうけれども…

Posted by コーシカ at 2011年07月31日 22:44
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