2011年07月24日
●和文解釈入門 第75回
2008年11月6日付読売新聞朝刊によるとサイコロの目の出る確率は目の数や配置などから重心が乱れ、偏った出方をするとの入曾精密の斉藤清和社長の話である。同社は人工衛星の部品やレーシングカーのエンジンの製作をしている。斉藤社長の話では2の目が最も出にくいとのことで、同社は世界一フェアなチタン製のサイコロ(1辺12㍉)を作って売り出しているというのはそういうことがあるからであるという。
司会者と言っても、テレビ、ラジオ、コンサート、会議、大衆芸能のはведущийだが、サーカス、大衆芸能、コンサートなどで面白おかしく司会をする人はконферансьеという。加工もобработка(加工業обрабатывающая промышленность、「もの作り」の露訳をこれに充てるロシア人の日本研究家японистもいる)ですべてよさそうなものだが、мясоперерабатывающая компания(食肉加工会社)というのもある。加工はобработкаが一般的で広い意味を持つが、переработкаはобработка сырья в полуфабрикат, готовую продукциюということで、原料を半製品ないしは製品に加工することである。他に石油精製とか消化(胃腸などのでのほかに、比喩的な意味でも使う)という意味がある。逆にпочтовый ящикは「(郵便)ポスト、郵便受け、新聞受け、私書箱」の3つ(郵便受けも新聞受けも普通は区別しない)の意味がある。しかも日本語のポストには郵便受の意味もあるからややこしい。
設問)「彼はやってきて、面白い話をし始めたものだ」をロシア語にせよ。
(1) Приходить ко мне и
начинать интересные
рассказы - это его
привычка.
(2) Приходив сюда, он
частно начинал
интересные
рассказы.
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(1)は設問の「~したものだ」という回想というか過去の不規則な習慣としてはおかしい、つまり現在の彼の個人的な習慣ということになります。(2)ですが、приходивという副動詞はないでしょう。приходя(不完了体副動詞), придя(完了体副動詞)という副動詞はありますが、これが繰り返しの文には個人的には使えないと思います。これは依然説明しました。частноはчастоの単純なタイプミスです。私の回答は、Он придёт, бывало, и начнёт рассказывать интересные истории.
часто + 不完了体過去形でも一見よさそうに見えるが、これでは「しばしば~した」という過去の客観的な事実を述べるだけで日本語の「~したものだ」という回想の意味が出せないと思う。回答例にある過去の不規則な習慣を示す小詞бывалоは、不完了体過去形、不完了体現在形(歴史的現在)、完了体未来形(時制の転用)と共に用いることができる。бывалоを伴わず完了体未来形(時制の転用)だけでも使える。そうなると例示的用法(何かあれば~する、~した)の一つである。例示的用法は完了体未来形しかない用法なので、時制が過去でも完了体未来形の形そのままで使う。それゆえ外見的には時制の転用と見なされる。
Бывало, по лесу зимой едем.(我々は冬森の中を動き回ったものだ)
Бывало, пекли блины.(クレープを焼いたものだ)
「彼は黙り込んだり、再び自分の話を続けたりした」という文をロシア語にすると、
Он то замолкал, то снова продолжал свой рассказ.
Он то замолкает, то снова продолжает свой рассказ.
Он то замолчит, то снова продолжит свой рассказ.
上記の3つの文が考えられるが、不完了体過去形には規則性(いつも)が感じられ、完了体未来形には「~したものだ」という不規則性が感じられる。不完了体現在形は歴史的現在の用法であり、実質的には完了体過去形の動詞が二つ続いている (замолчил и продолжил) ものと同じなので、いわゆる典型的な順次的用法であり、動作がほぼ連続して行われたというニュアンスになる。ちなみにпродолжатьは動詞の不定形も取れるが、продолжитьは取れないということを覚えておこう。この二つは厳密に言えば意味上は違う。продолжатьは不完了体であり、連続を意味するが、продолжитьは完了体で一旦休止して後再開するという意味である。例えば会議のときに昼休みで中断したとして、午後1時に会議を再開する場合は、日本語なら「始めましょう」でも、「続けましょう」出もいいが、ロシア語では、普通はПродолжим!となる。これにНачинаем!というと別な会議が始まるのかと思うし、Продолжаем!なら短い休憩の後なら使えるかもしれないが、普通は議論が議題からずれたりしたときに、続けましょうという感じである。
(訳)
彼はやってきて、面白い話をし始めたものだ
Он приходил (приехал ) к нам и заговаривал на интересные темы.
・不完了体過去形による過去における繰り返しと考えました
さて、正解は…
бывало を挿入して完了体による例示的用法ですか!
まったく思いつきませんでした…
完了体と不完了体で規則性/不規則性を表わせるというのも面白かったです。
> обработка と переработка
鋼材を旋盤でゴリゴリやるのは前者(加工後も金属であることに変わりはない)、
製鋼は鉄鉱石から鋼に変わるので後者(加工により鉱石から金属へと性質を変える)、
と覚えます。
あるいは英語を交えて、
前者は材料を推し量ることのできる程度の加工と考えて be made of ...
後者は性質を変える加工と考えて be made from ...
とも理解できそうです。