2011年07月22日

●和文解釈入門 第73回

セルゲーイ・マクシーモフСергей Максимовはロシアの旅行家で民俗学者でもあった。1860年にシベリアを旅し、1861年に函館(当時の箱館)にも10日ほど立ち寄っている。日本に赴く旅の途上ボルガ川で船に乗るのだが、От компании «Самолёт» отходил пароход «Телеграф».(船会社サマリョートから蒸気船「テレグラフ」が出航した)という文が目に入った。当時電信は発明されていたから、船名のテレグラフはともかく、船会社の名前がСамолётというのには驚いた。1860年には飛行機は発明されていない。どこからこの船会社は名前を取ったのだろう?考えられるのは、空飛ぶ絨毯ковёр-самолётである。このぐらい早いと言いたかったのだろう。
設問)「降りますか?」
「いえ、次の次で降ります」という会話をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 2011年07月22日 06:22
コメント

(1) Вы здесь выходите?
Нет, я выйду на
второй станции
отсюда.

(2) Здесьвы будете выходить?
Нет, я сойдучерез
следующую станцию.

(3) Вы тут выходите ?
Нет, я выйду на
последующей
станции.
-----------------------------------------
(3)以外は文法的には正しいと思いますし、意味も通じるでしょうが、こうはロシア人は言わないでしょう。(3)последующая станцияはそれに続く駅の一つということで、次の次という意味にはなりません。私の訳は、
- Выходим?
- Нет, через одну (остановку).
Вы выходите?とすると、同じグループの人に対してではなく、他人に対してとなる。одну (остановку)で、станциюでないのは、次の(次の)駅と次の(次の)停車駅は普通、急行、特急では必ずしも同じではないということと、вокзал(ターミナル駅), полустанок(無人駅)と駅にもいろいろあるからである。会話ではостановкуを省略する場合もある。остановкаはバスの停車場という意味もあるが、停車駅(公共交通機関が乗降のために止まる場所)ということで、例としては、イェロフェーエフЕрофеевのМосква – Петушки(モスクワ駅ペトゥシュキー駅間)という小説の中に、Граждане пассажиры, наш поезд следует до станции Петушки. Остановки: Серп и Молот, Чухлинка, Реутово, Железнодорожная, далее по всем пунктам, кроме Есино.(乗客の皆さま、この列車はペトゥシュキーまで参ります。停車駅はセールプ・イ・モーラト、チュフリーンカ、レウートヴォ、ジェレズナダロージュナヤで、その先イェーシノ以外は各駅に停車します)とある。

Posted by パラショーノク at 2011年07月22日 08:59

絶っっっ対、和文解釈のどっかで見た!と、探し回りました:
第9回のさとうさんのコメントでした。

(訳)
「降りますか?」
「いえ、次の次で降ります」
- Вы выходите?
- Нет, я выйду после следующей станций (или остановки).

最初の動詞が выходить と不完了体なのは、
・発話の時点は停車中と思われ
・発話者は行為の有無(降りるんかい?降りんのかい?)を確認している
と考えられるためです。
次が выйти と完了体なのは
ここではなく、次の次で降りる旨を表明しており、
具体的かつ新規なおかつ未来に属する事柄だからです。

これが走行中の車内で
「次停まったら降りるんですか」
と尋ねたのであれば
Вы будете выходить в следующей станции (или остановке)?
と、意向を確認するため быть を使った未来形が出るもの、と考えられます。

「次の次」は悩んだ挙句、明後日の流用でいけへんかい?と思いつきました。
停車中ならば、序数を使って下記のような表現も可能ではないか、とも考えました:
Я выйду во втрой станции (или остановке) отсюда.
この言い方であれば「次の次のそのまた次」
といった状況も表わせる強み?があるように思います。
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一応設定は電車が動いているときの質問という設定ですが、止まっていたとしても回答が変わるわけではありません。一番最後のほうはまだましです。остановкаを出してきたところは評価しますが、станцияもостановкаも前置詞はнаです。Я выйду.というのはЯ выхожу.より、時間的間隔が長い感じがしますし、なにか期待されていたこととは違う動作をしようという感じがします。この状況から何とか抜け出してやるというときには使えるでしょう。1番目の質問で不完了体現在を使っているのですから、答えにはそれをそのまま使えばいいのです。同じ単語の繰り返しを避けようという意識が働いたのでしょう。ただ同じ人が続けて言っているわけではありませんから同じ動詞を同じ体で使っても問題ありません。確認、つまり動作の名指しは過去の時制での不完了体の用法であって、現在(この場合は正確にいえば予定を示す未来)では使いません。Я буду выходить.は意向を示すという意味で正しい用法ですが、降りるかどうかというような直近の未来を示すというよりは、車内での長話のときに、行き先はどこですかと聞かれての返事ぐらいであまり使われるものではありません。現代は忙しいのです。実は私の書いた「そのまま使える!ロシア語会話表現集」の66ページにも同じような例文があるのですが、なぜостановкаなのか説明するスペースがなく、今回の場を利用して理由を説明させてもらっています。

Posted by コーシカ at 2011年07月23日 00:08

復活!
…と言いたいところですが、ここへきて甲状腺が反乱を起こしてくれて困ってます。

未来を表わす文における各表現の持つ時間的ニュアンスのご説明ありがとうございます。

時間的に近>遠とした場合:
・不完了体現在形(切迫) > быть の未来形+不完了体不定形(意向)
ないし
・不完了体現在形(切迫) > 完了体現在形による未来の表現(確実な未来)

と理解しました。

остановка で停車駅、というのも初めて知りました。
大分経ってしまったので「使ってみよう」のネタにさせていただきます。
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不完了体現在形(切迫)とありますが、これはдолжен (надо他)+ 不完了体不定形と紛らわしいので、やめた方がいいと思います。これは動作が行われる客観的確度が高いというだけで「予定」と私はしています(完了体の未来形は主観的確度)。1ヶ月後、1年後でも行われるという確信があればこの用法は使うわけで、必ずしも近い未来(その場合が多いとは言えますが)だけではありません。誤解を招く用語だと思います。ただ個人的に使うのは構いませんが。

Posted by コーシカ at 2011年07月31日 20:06

ご指摘ありがとうございます。

改めて第21回を参照し、自分なりにまとめてみました:
1. 不完了体現在形による未来の表現
→客観的に確度が高い未来(2.の完了体より気持ち強め):
 ・スケジュールに載っている等、周囲のお膳立てがあるゆえの確実な未来、という意味で
 ・特定の動詞でしか用いることができない
2. 完了体現在形による未来の表現
→主観的確度(自分で確実だと思っている)
 ・意向を含めずに確実な未来を表わす一般的な方法
3. 未来における意向を絡めて言う場合(未来において…したい!/…は絶対嫌!)
→быть の未来形 + 不完了体不定形
 ・相手の意向を尋ねる場合や
 ・もう…しない!という決意表明
4. もし…すると~等、条件を表わす場合
→быть の未来形 + 定動詞
5. собираться, намереваться / намерен, думать
→собираться 一番意味が広い:個人的なことから組織の決定まで
→намереваться / намерен 大事なことを決める時のみ
→думать あくまで個人的な決定、組織は主語に立てない

Posted by コーシカ at 2011年08月01日 22:51
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