2011年07月20日

●和文解釈入門 第71回

в связиの力点はиにあると書いたが、「~に関連して」というような理由を説明する場合はそうだが、Залог успеха в тесной связи прмышленности и сельского хохяйства.(成功の証は工業と農業の密接なつながりにある)というような「結合」という意味ではяに力点が来る。
技術関係からロシア語を始めると、用語はともかくとして構文は不完了体の現在形で済む場合が多いので、完了体の使用が多い生の会話とのギャップに悩むことになる。一方文学から入ると、ロシア語の多様な構文を勉強することにより露文解釈は上達するが、日本語をロシア語にするという発想や経験がないために和文解釈は一向に上達しない。こういう人にとってロシア語は所与のもの(ロシア文学のロシア語はある意味構文的語彙的に間違いのない絶対的なもの)だからである。しかし19世紀のロシア文学を現代の会話に活かそうとすると、古めかしい表現とそうでないものを峻別する別の知識が必要になることは言うまでもない。また回りからもあれだけ露文が読めるのだから、会話もできて当たり前と見られてしまうというジレンマもある。いずれにせよ自分の不得手の分野を克服するように勉強をするように頭を切り替えないとロシア語はそれ以上上達しない。このコーナーの第10回の表は、ある程度どの部分が自分の弱点なのかを知るための道しるべとして作って見た。参考にされたい。
設問)「灯りをつけたまま寝た」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 2011年07月20日 06:25
コメント

(1) Я уснул, оставляя
лампу включенной.

(2) Я лёг спать,
забывая погасить
лампу.

(3) Я заснул без
отключения лампы.

(4) Я лёг спать,
оставляя лампу
зажжённой.
---------------------------------------
(1)、(3)、(4)が構文的には正しいのですが、лампаはアラビアンナイトのランプか、現代では電球электролампаという意味が普通なので、そこのところを直したほうがよいと思います。それと(2)のзабываяですが、不完了体副動詞というのは同時の動作を示すわけで、忘れながら~するという日本語でもロシア語でも非常におかしいものです。ここはзабывでしょう。忘れたзабылが現存していると考えたほうが、忘れつつあるよりは論理的です。私の答えは、Заснул, не выключив свет.
ないしはЗаснул, оставив свет включенным.としてもよい。設問を初めは「電気をつけっぱなしで寝た」としたが、同じ意味のもっと標準的な言い方に変えた。一つのポイントは「灯りを消さないで寝た」としてもよいことである。要は発想の転換である。これまで副動詞を極力使わないように言ってきたので、使うのは気がひけるが、Нет правл без исключений.(例外のない規則はない)ということである。「まま(で)~する」というのは副動詞を使う例外で、これ以外では文が長たらしく説明的でくどくなるような気がする。美は簡潔にありКрастота в простоте.である。「スイッチを入にする、オンにする」はПоставьте выключатель в положение ВКЛ.で、スイッチはвыключательでありвключательではない。オン(入)はВКЛ = включёнであり、オフ(切)ならВЫКЛ = выключенと電気製品に書かれているのが普通。「スイッチを入れる(オンにする)」はвключить/включатьで、「スイッチを切る(オフにする)」はвыключить/выключать (отключить/отключать)である。отключить/отключатьというのはナイフスイッチрубильник(折り畳みナイフのような感じでオンオフをする電源の元のスイッチ、インターネットに写真が載っているので参照乞う)のようなものを一気にオフにするような感じである。よく意識を失うという俗語でもこの動詞が使われることがある。灯りという意味で電気という言葉を日本語では使うが、ロシア語でもЭлектричество погасло.(電気が消えた)とかИ всё в комнате, ярко и недвижно освещенной электричеством.(煌煌とじっと動かず電気が照らしていた部屋の中の全てのものも)などの表現をする。

Posted by パラショーノク at 2011年07月20日 08:17

以前さとうさんのコメントのどこかで、「приを使うと書き言葉だし、硬くなる」と書かれていた気がしたのですが、今回は全体が非常に短文だし、単純明快かなぁと思い、投稿してみました。
「ゆうべ電気をつけたまま寝ちゃったわ」という感じです。

①Я спала при свете.
②Я спала со светом.
-----------------------------------
спалаはこの場合「寝ていた」ですから不適当だと思います。Я читаю при свете лампы.(電球の明かりで読む)と言いますし、при электрическом светеは「電灯をつけて」ですからいいようなものですが、日本語の「まま」というのは「直前(当面)の状態に何ら修正を加えない」(新明解国語辞典)ということですから、この意味が出ないのではないかと思います。приというのは、「その状況下で」「~のときに、~の時代во время, в момент」ですから、これを「まま」とは訳せないと思います。この設問では変更していない、つまり灯りを消していないとか、灯りをつけた状態が維持されているというふうにしないと原文の意味を忠実に訳したことにはならないと思います。
со светомのほうはこのような語結合は「光とともに」という意味では見つかりませんでした。語結合辞典には載っていません。使わない方がよいと思います。

Posted by メイ at 2011年07月21日 11:34

日本語は難しいですね。こうなってくると日本語の問題のような気がしてきました。私の日本語がおかしいのでしょうか。私は最初この設問を見て、「寝た」という意味を、まず「一定時間寝た」と理解しました。私は逆に、“лечь спать”や“заснуть”は、「床に就く」とか「寝入る(眠り込む)」と説明的に話して、「寝た」とは言いません。“лечь спать”や“заснуть”を「寝た」と言う場合には、何か他の条件をつけて(「何時に」とか「がまんできなくなってとうとう」など)話すようにしていました。
今回の設問は「灯りをつけたまま寝た」なので、この場合の条件である「灯りをつけたまま」というのは「灯りがついている状況のもとで一定時間寝ていた」という意味にとりました。日本語の「まま」は手元のデジタル大辞典では下記のような説明がついていました。二つの動作が並行して一定期間行われる場合にも「まま」が使われるような気がしますが。「寝た」の取り方がネックでしたか ((^_^;)。だんだん自分に自信がなくなってきました。皆さんはどちらが多いですか?

★(多く完了の助動詞「た」に続けて「…たまま」の形で用いる)ある動作や状態が保たれた状況で、別の動作がなされる意を表す。「物音ひとつしないまま、時は過ぎた」「テレビをつけたまま、眠ってしまった」
---------------------------------------
寝たの原形「寝る(よ)」、「寝ます(から)」と言えば、これから寝るという動作なわけですから、лечь спатьやзаснутьでないとおかしいとも思われます。これはспать = находиться в состоянии сна(眠っている、寝ている)とは違うという主張にもなります。ただ日本語の寝るは眠るの同義語で、「目をつぶり、横になる状態を示す」、「心身の動作が休止し、目を閉じて無意識の状態に入る」という寝入るという動作の意味の二つ(状態と動作)があるために解釈の違いが出てくる可能性が出てくるのだと思います。それと設問は灯りがついていたときにテレビを見ていたか、読書していたか、あるいはすでに寝ていたかは知りませんが、そのまま寝入ったととるか、寝続けたととるかで、後者ならспалでよいことになります。そういう点を踏まえて訂正し、お詫びします。ただいずれにせよприだと「状態が保たれている」だけを意味していて、「別の動作がなされている(ないしは状態が変わっていないことを確認する)」という意味が抜け落ちているということがいえると思います。

Posted by メイ at 2011年07月21日 16:45

「寝る」だけをとってみれば、日本語のほうがあいまいで、ロシア語は非常に綿密に定義されていますね。じつは今まで、“лечь спать”や“заснуть”が出てくるたびに、面倒だなぁと思いつつ訳していて気になっていた動詞でした。日本語を学ぶロシア人にとっても「寝る」という動詞を自在に操るのはかなり難しそうですね。「寝る」「寝ます」も状況によってはあいまいになると思います。そろそろ寝なければという暗黙の了解ができているような状況では、「さあ、寝るよ」は動作を意味しますが、昨夜徹夜で起きていて、「今夜は(朝までぐっすり)寝るよ」と言った場合は両方(動作にも状態にも)にとれないでしょうか。一度日本語教師にどういうふうに教えているのかを聞いてみたいものです。面倒な取り違いにお付き合い頂きましてありがとうございました。
-------------------------------------------
寝るには眠るという意味が含まれていて、動作と状態という分け方もできるでしょうが、例えば、子供に「寝なさい」と「眠りなさい」では、前者では「横になって目をつむる」でも、「(すでに横になっていて)目をつむる」と使えますが、後者は「目をつむる」だけのような気がします。和文解釈をするには、ロシア語のみならず、日本語についても確実な知識が要求されます。私が広辞苑や新明海など国語辞典を露和辞典と同じ頻度で引くというのも同じ理由です。日本人だから日本語を確実に理解しているということではありません。同じことはロシア人についても言えます。最後に信頼できるのはロシア語の辞書かロシア人のロシア語学者(国語学者)となります。いずれにせよ「寝る」について理解を深める機会を提供していただいたことに感謝します。

Posted by メイ at 2011年07月21日 22:30

(訳)
灯りをつけたまま寝た
その1:あまりに疲れていて灯を消すのも忘れて寝入ってしまった場合
Без выключения освещений я заснул(а).

その2:暗いのが怖い子供が灯を点けたままでないと眠れない場合
Без выключения освещений я спал(а).

その1の場合、過去の具体的1回の動作
(疲れのあまりたまたま消し忘れたまま寝入って朝になってしまった)
と考えられるため、完了体過去を使っています。
消し忘れてそのまま朝になったことがメインで、寝入ったはついで、
と考えて不完了体過去を取ることも不可能ではないでしょうが、
過去の習慣と誤認される恐れもあるため、完了体過去が適当と思われます。

その2の場合は習慣の線が強く、
「寝る」は付帯的意味しか持たないであろうと思われるため、
спать を用いました。

両方の文で照明が複数を取っているのは、
部屋の照明がひとつかそれ以上なのか判然としないためです。

さて、回答は
んぎゃぁぁぁ、副動詞ですか!!!
せっかく頭からぶつかっていったのに変化で土が付いたような気分…
確かに副動詞過去を使うとすっきりしますね。

「眠り込む」と言われてぱっと思いついたのが заснуть。
パラショーノクさんがお使いの уснуть とどう違うねん、と辞書を引きましたが
…困った、定義はまったく同じ:
Погрузиться в сон.
(こういうオージェゴフみたいなことをしてはいけません、ほんまにもう)
何か違いはあるんやろけどなぁ…
------------------------------------------------
まずосвещениеを普通複数では使わないと思います。動名詞を使うと簡潔にはなりますが、硬くなって意味のニュアンスが取りにくくなりますので、諺や技術文(前後の文脈で細かく定義されている)は別ですが、日常会話では一般的に避けた方がよいと思います。заснутьとуснутьは同義語です。違いはуснутьは不完了体がないこと、「静かになる、がらんとする」という意味がないことぐらいでしょう。

Posted by コーシカ at 2011年07月22日 02:28

>освещениеを普通複数では使わないと思います
知りませんでした。
単数のみ、複数のみの使い分けも多読で見極めるよりなさそうですね。

заснутьとуснутьの違いについてのご説明、ありがとうございました。

Posted by コーシカ at 2011年07月22日 23:10
コメントしてください