2011年07月08日

●和文解釈入門 第60回

メーカーや商社の人で貿易関係の人は英語がうまい。そのため技術用語のロシア語も英語由来だと勝手に考える人がいるのは大いに困る。最新式のものは英語から入ったものもあるから、英語が分かればロシア語も類推できるものもなくはないが、ロシア語の技術関係の基本用語は英語とは無縁のものが多い。ポンプはнасосといい、помпаは一般的ではない。応力(ものを破壊しようとするとそれに対してこわれまいと抵抗して働く力)はнапряжениеといい、これはロシア語では電圧も意味する。英語ではstressであり、ロシア語のстрессは文字通りストレスという意味になる。
和文露訳という観点からロシア語の学習を考えると、分野毎の基本的な日本語の語彙を徹底的にロシア語に換える練習をするべきだ。例えば、「水」について、日本語の水とロシア語のвода について意味と差異について、露和辞典でもよいが、できれば語結合辞典などを活用して派生する形容詞、名詞(水素なども)も含めて徹底的に覚える。その過程でロシア語の自己研鑽(自修)の方法を学び、なんとか露露辞典を使えるまでに持ってゆくというのが最終的な目標となる。同時に、一通り文法を覚えたら、日本人には分かりにくい運動の動詞や体の用法をマスターする。これが理解できていないで、自分でロシア文を作ろうとすると、日本語のテニヲハや敬語を無視したいわゆる外国人の日本語のようになってしまう。
設問〔女店員が買い物客に、「次の方、どうぞ」〕をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 2011年07月08日 05:47
コメント

(1) Продавщица говорит покупателям,
"Пожалуйста, следующий".

(2) Продавщица обращается к покупателям и
говорит, "Давайте,
следующий".

(3) Кассирша говорит
следующему покупателю, "Давайте сюда,пожалуйста".
----------------------------------------------
二日ほど父の法事で函館に里帰りをしていたので返事が遅れました。お詫びします。(1)と(2)は買い物客を単数にすれば正解です。行列に並んだ次の(通常)一人の買い物客に言っているわけです。(3)はкассиршаは女店員ではありません。レジ係です。ソ連時代ははっきり分かれていましたが、最近はスーパーがロシアでも多いので、みなレジ係のようなものです。日本のスーパーとは違い、ロシアのレジでは買ったものを読み上げるということはないように思います。それと現在形の不完了体を用いていますが、これは歴史的現在という用法という意味で正解です。それと次の買い物客は男性とは限らないし、もっというと女性の確率が高いと思います。私の回答と解説は、Продавщица – покупателю: говорите.
不完了体命令法の着手の用法の復習。その場ですることが当然であるという、いわば場の雰囲気によってなされる動作の要請に対して、合図のような感じで使われる。例えばНачинайте!(始めなさい)とかСадитесь!(おかけ下さい)など。第7回の回答参照願う。普通の店で行列に並んだときによく聞かれるので、ロシアに行ったときには耳を凝らしてみたらよいと思う。こう言われたら、買い物客はチーズ一つとか、魚の缶詰1個など具体的な注文をすることになる。無論スーパーのレジで、お金を払うだけというときにはСледующий (Следующая), пожалуйста.となるだろう。

Posted by パラショーノク at 2011年07月08日 06:26

Продавщица извещает следующего покупателя, что давайте теперь ваша очередь.
---------------------------------------------
買い物客が単数になっているのはいいのですが、いくらなんでもизвещатьは硬すぎます。「女の店員が次の客に通知します」という意味は分かるものの非常に奇妙なロシア語です。それとдавайтеの後にカンマかピリオドで文を切らないと、теперь以下とはつながらないでしょう。

Posted by パラショーノク at 2011年07月08日 14:12

Следующий, пожалуйста.
Чья очередь? Пожалуйста.
よろしくお願い申し上げます。
-----------------------------------------
最初の文が自然で、正解です。ただ買い物客というものは女性のほうが多いとは思いますが。二番目の文は不自然だと思います。行列で並んでいて、こうは言わないでしょう。仮にこう言うとしたら、同じく並んでいた買い物客のはずです。

Posted by かず at 2011年07月08日 16:35

Продавщица обращается к покупателям и
говорит "Следующий,
пожалуйста."
---------------------------------------
これが回答された中では一番いいと思います。ただ理詰めというか、説明しすぎのような気もしますが。

Posted by パラショーノク at 2011年07月08日 17:09

Продавщица обращается к покупателю,
стоящему на (первой)
очереди и говорит,
что теперь я готова
вас обслуживать.
--------------------------------------------
非常に理詰めで、ある意味SFの世界です。こういうような丁寧なロシア語を話すロシア人の店員にこれまで会ったことはありません。

Posted by パラショーノク at 2011年07月09日 10:22

おふとんから投稿。本日はこれにて打ち止めとします。

(訳)
Следущий(-ая), пожалуйста.

第6回で出てきたочереднойを使うんやとばかり思っていましたが、
следующийで「次の人」という意味もあるのですね。
Следующий, войдите.
次の人、入ってください。
という例文もありました(研究社2,120頁、следующий)。

さて、正解は
え、前の「女店員が買い物客に」も設問なんですか。うっかりしておりました…
まぁそれも含めんと女性店員が言っているというニュアンスは出されへんもんな

それはさておき
女性店員が買いもの客に話しかける際に、なぜговоритьが出てくるのが不思議です。
欲しいものを店員に伝えて取ってもらい、代金を払って購入、
というロシアによくあるパターンのお店、という設定だからでしょうか。
--------------------------------------------------
その通りです。スーパーだったらこういう会話は成り立たないわけです。

Posted by コーシカ at 2011年07月11日 01:39

ありがとうございます。

「ロシアによくあるパターンのお店」で思い出しました。
プロの工事業者が(建築)金物屋さんではなくホームセンタで道具を買うのはなぜか
という問題について、ある金物卸商さんが興味深い洞察を述べて下さいました:
・金物店ではどこに何が陳列ないし在庫されているかわからない
・仮に商品のある場所が分かったとしても、値札がついていないことが多い
・買いに行くのは大抵が社長、金物店から言われた価格が予想以上であったとしても
 高いから要らない、とは社長としての面子があるので言いにくい
・対してホームセンタはどこに何があるかも売値もはっきりしており、
 冷やかしだけで店を出ることもできる

また別の材料商の営業さん曰く
・ホームセンタは現金払ないしカード払いなので
 材料商の与信に通らないような経営状態の業者が利用する

日本の金物店vsホームセンタについての余談です。
恐らく、いずこも同じ秋の夕暮れ、でしょう。

Posted by コーシカ at 2011年07月13日 22:36
コメントしてください