2011年07月01日

●和文解釈入門 第55回

物事の核心に触れたがる人は知識欲汪盛だが、物事を白黒だけで判断しようとする、つまり結論を追うのに忙しく、物事には灰色のゾーンというものが概して多いのだということを忘れがちである。でもこういうタイプはロシア語に関しても講師を質問攻めにするが、そういう質問に懇切丁寧に答えるいい講師に巡り合えれば伸びる。問題意識を持つとのいうのはそう簡単なことではないからだ。ここでいう問題意識は社会的なということではなく、もっと単純に、物事に対しどんな疑問でもそのままにしておかないという気持ちの持ちようである。
完了体と不完了体と形が同じ動詞двувидовые глаголыがいくつかあるが、私のコレクションでは今のところ380ほどある。-оватьや-евать型の動詞が多いが、多くは書き言葉で使われるものである。比較的使われるものは、拙著「アネクドートに学ぶロシア語文法」136ページに書いておいた。間違えてはいけないのは、これらは完了体と不完了体の形が同じというだけで、用法は別々である。和文解釈では体の用法をあまり考えなくても使えると喜ぶ人もいるかもしれないが、使う文脈によりどちらの体かは分かるのである。こういう動詞でも-сяがつけば不完了体だけで使われるという動詞も多い。例えばиспользоватьもそうで、использоватьсяは不完了体しかない。つまり受け身の意味で使われる時はこういう形の-ся動詞は不完了体となると考えてもよい。この他に逆に完了体しかない動詞、不完了体しかない動詞と言うのもある。それぞれ同書の117ページと111ページに書いておいた。
設問)「失敗と間違いはだれにでもありうる」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 2011年07月01日 14:17
コメント

「失敗と間違いはだれにでもありうる」
У любого бывает неудача и ошибка.

Неудача и ошибка с каждым могут случиться.

いつもありがとうございます。
先生の「アネクドートに学ぶロシア語」は奈良の2大本屋では完売でありませんでした。
来週大阪で入手いたします。
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わざわざご足労感謝申し上げます。完売といっても多分元々1冊しか置いてなかったのではというような気がします。構文自体はどちらも正しいのですが、неудача, ошибкаと単数になっているのが問題です。総称名詞ではないので、こういう場合は複数形を使うべきだと思います。厳密にいえば「ありうる」ですからмогутを使ったほうが設問の答えには近いと思います。私の回答は、Неудачи и ошибки могут быть у каждого.
基本的な「~には~がある」という構文(у + 生格....主格)を応用したもの。英語ではhaveを使うが、ロシア語のиметь + 対格は書き言葉なので、日常会話では使わない。またこれも第21回の回答で説明したテーマとレーマを組み合わせての出題である。неудачи и ошибки у каждогоとすると「各人の失敗と誤りは(ありうる)」と「ありうる」がレーマになってしまうので避けた。またдом у нас = наш домというふうにもとられる可能性があるのを避けたという意味あいもある。

Posted by かず at 2011年07月01日 19:16

ありがとうございます。
実は、複数形か迷いました。
У каждого свои недостатки. の文章がウラ覚えで残っていましたので。
総称名詞かどうかで決まるのですね。
私は文法もきちんと勉強していないので、一つ文章を作るにも迷いが出てきて、結局あまりフィットしていなくても文法的に確実な文章しか使えない状況です。
これから、着実に疑問点を一つづつ解明していきたいと思います。
よろしくお願い申し上げます。
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単数複数について日本語にはほとんどないものなので難しいと思います。第49回のコーシカさんへの回答にこれに触れたものがあるのでご参考ください。

Posted by かず at 2011年07月02日 12:23

形が同じでも体は両方。この機会に見ておきます。

さて、引き続き追いかけます。
(訳)
Ошибка и неправильность бывают у всех.

設問を見て、
さとうさんの『そのまま使える!ロシア語会話表現集』の53頁にある
よくあることです。 Всё бывает.
を思い出しました。
確認のため辞書を引くと
一般的、習慣的事実としての存在・事象・生起を表わす
とあり、不完了体のみの動詞である旨、記述がありました
(そら動詞の意味考えたら道理やな)。
人について表わす際の格支配も
Это болезнь часть бывает у детей.
この病気はよく子供に起こる
を参考に у кого を使用しました。

さて、正解は…
うわ、複数ですか!
一般的複数ということは
世の中に色んな失敗やら間違いがあるけど、それは誰にでも起こるんやで
という意味ですね。納得です。

それに失敗は неудача…
露露でошибка 引いたら載っとるやろという腹積もりでしたが、
見つかったのは неправильность。
う~~~ん、これでは堅いやろな
と一抹の不安は拭いきれませんでしたがやはり…

могут бытьなのは
мочь と бывать との相性が悪い
(というより後者を不定形で使うことがあまりない?)
から、という気がしました。
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かずさんとは一度お目にかかっているようです:
メイさんに教えていただきました。
お久しぶりでございます。

Posted by コーシカ at 2011年07月09日 15:14
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