2011年06月30日
●和文解釈入門 第54回
里見弴の「文章の話」を読んでいたら、「やさしいことはむずかしい」、「やさしいことのむずかしさを知ることはむずかしい」と書いてあった。ロシア語もその通りでこのコーナーの設問も一見やさしそうで、ロシア語にはなかなかできないものもある。それでいてできるだけ会話で応用できるものを出しているつもりだ。
罠はловушкаだが、これは総称語ではあるが、一応鳥や獣を対象とする。一方самоловというのは自動的にかかる罠だが、主に魚に使う。капканはトラバサミのようなものを指す。一方「罠にかかった」というときにはловушка, капканも使えるが、Он попал в провокацию агента КГБ.(彼はKGBのエージェントの罠にかかった)というようにпровокацияも使える。これを「挑発(扇動)に乗った」と訳すと文脈によっては誤訳になる場合がある。
設問)「彼女は朝起きると、湯を沸かし、顔を洗って、朝食を作る」をロシア語にせよ。
Встав по утрам,она кипятит воду, умывается и готовит завтрак.
поを使えば習慣を表すのではないでしょうか。
よろしくお願い申し上げます。
解答させていただきますのに一日遅れとなってしまいました。
昨晩は、До конца!の後Посидеть надо!になってしまいました。
さとう先生はこんな時どのように対処なさっているのでしょうか?
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昨晩は飲み会でしょうか?そうであれば私は(家で)酒を飲むのは止めたこともあり、一次会だけで帰ります。お疲れのところ投稿いただき恐縮です。по утрамについてはその通りですが、каждое утроでもутромでも文意は変わらないと思います。ただпо утрамのほうが繰り返しの意味が強く出るように思います。ご回答でвставと副動詞を使っていますが、書き言葉なので、できるだけ従属文を使ったほうが口語的だと思います。A, B и Cとすると、ABC三つしかないことになります。そうではなくDやEがあるかもしれないが、特に触れないという場合は、現実的には数がはっきり分かるというのはそんなに多くないと思いますので、A, B, Cとиをつけない方法もあるのです。私の回答は、По утрам она встаёт, согревает воду, умывается, готовит завтрак.
「~をして、~をする」というのは過去でも未来でも完了体を使うと書いたが、このように繰り返しは不完了体(現在ないしは過去、まれに未来において)を使う。「湯を沸かす」はставит чайник на плитуでもよい。現代社会ではガスレンジないしは電気レンジに薬缶を置くのが普通だからだ。これをкипятить водуとすると、理科か何かの実験で「水を沸騰させる」という感じがなくはない。第57回の本文も参照願う。
初めての投稿です。
Встав по утрам, она
кипятит воду, моется
и готовит завтрак.
По утрам когда уже на
ногях, она кипятит
воду, моет лицо и
готовит завтрак.
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ご投稿いただき感謝します。今回は30分遅れでしたが、かずさんと1番目がほぼ同じ回答です。テレパシーでしょうか。それとも副動詞を使うのが流行っているのでしょうか?ногяхがスペルミスですが、こういうのはよくあることです。文法的には1番目が正しいのですが、個人的には2番目のほうが副動詞を使っていないし、 на ногахを積極的に使おうという意欲を感じます。моет лицоは正しいのですが、誰の顔を洗うのかという感じがします。
うわぁぁぁ、だんだん進んどる~
遅れてもついていきたいので回答させていただきます!
(訳)
Она встает утром, варит воду, моет лицо и готовит завтрак.
毎朝の習慣なので不完了体、と考えました。
副動詞が話題になっていましたが、
Встав, она варит воду...
とやるんかな、と考えました。
「朝起きると」とあるので
После того, как ... を使うんかと思いましたが
これだと чтобы の場合みたいに、
主文と従属文で主語が同じ場合に動詞の時制が変わらへんのやないか
そうなると
После того, как вставать, она варит ...
と妙な文になるなぁ…と悩み、回答のような現在形の行列にしました。
さて、正解
え~~~
使われとる動詞が全然違う…
どう違うんやろ
варить(科学アカデミー1巻138頁)
Приготовлять пищу, питье кипячением.
Кипятить в воде ( в жидкости), приготовляя для еды.
Приготовлять на огне (обед, ужин и т. д.).
Изготовлять путем кирячения, плавления и т. п.
Производить сварку металлических предметов и их частей.
調理等の目的で煮立たせる、火にかけるという意味が強いようですね。
だから熔接という意味まで出てくるんですね。
варитьは「煮立たせてこしらえる」やと考えれば、
お湯を沸かすの露訳に適さないのも納得です。
согревать(科学アカデミー4巻180頁;引用者注―原典はсогреть)
Сделать теплым или горячим; нагреть.
Вернуть утраченную теплоту озябшему телу, рукам, ногам.
Утешить, ободрить участливым, заботливым и т. п. отношением.
Оживить, осветить (каким-л. светлым, радостным чувтсвом, мыслью).
なるほど~
こちらは「冷たいものを温かくする」ですから
お湯を沸かすという状況にぴったりですね。
ほっこりするいい語ですね。定義を引用しているこちらまで温かい気持ちになれます。
умываться(科学アカデミー4巻496頁;引用者注―原典はумыться)
Вымыть себе лицо, руки.
Смочиться, освежиться какой-л. влагой (дождем, росой и т. п.).
うん、まぁ「顔や手を洗う[湿り気をもらってさっぱりする]」という決まった言い方ですね。
覚えなしゃあない…
вымытьもよくわからんのでついでに見た結果
размыватьで「浸食する」という語を発見。いぇ~い、なほーとか!
мыть(科学アカデミー2巻318頁)
Очищать от грязи водой или водой с мылом, а также какой-л. другой жидкостью.
Стирать (белье).
Окатывать водой поверхность чего-л.; омывать.
Мочить, поливать.
「液体を使って汚れを落としてきれいにする」
というのが基本的な意味のようですね。
だから顔を洗うという文で使えへんこともないけど一般的かは微妙…といったところのようです。
必ず液体が絡んでくるというところがミソですね。
下着がбельёというのも面白いです。
ロシア人にとって下着は真っ白いものなんですね~