2011年06月25日

●和文解釈入門 第50回

最近読んだ本の中にあった言葉を紹介しよう。「ロシア語での読み書き、それに話すことですら、あらゆるロシア人(の言うこと)をすっかり理解するというのとはわけが違う」Читать, писать и даже говорить по-русски – совсем не то, что вполне понимать всякого русского.
中心といえばцентрと思うかもしれないが、物理学で使う用語は別にして、他にもсерединаという言葉があり、この方がよく使う。参考のために両者の使い分けを書いておく。центрは一次元の物体(ひもやロープ)には使えない。二次元でも人工的な道路や橋などしか使えず、川など自然のものには使えない。しかもこの場合の中心は道路であれば幅方向(専門用語では横手方向、つまり長方形なら短い長さのほうの)の中心ということであり、серединаは人工的なものでも自然なものにでも使う事が出来、幅方向ないしは長さ方向(専門用語では長手方向)の中ほどという意味である。三次元のものでは、中空のものやガス状のものの立体的中心はцентрであり、中味の詰まったものの中心はсерединаである。さらに中空のもの(部屋など)の場合は床の中ほどと言う意味になる。центрは地理的中心など重要なものの中心と言う意味であって、центр Москвы(モスクワの中心)などと使うし、середина は重要でないようなもの、стоять в середине очереди(行列の中ほどに並ぶ)などと使う。両方とも海や湖などの水域には使えないので、その時はв центральной (средней) части Охотского моря(オホーツク海の中ほどに)などとする。центрには空間的な意味のほかに、センター(建物)という意味もある。抽象的な意味ではсредоточиеを使い、средоточие русского образования(ロシアの教育の中心)などとする。
設問)「すてんと滑って転んでしまったの」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 2011年06月25日 09:47
コメント

大変長らくご無沙汰しています。今もなんとかほんの少しずつですがロシア語に触れるようにしています。こちらもたまに読ませていただいています。豊富な知識をいつもありがとうございます。
ただ、私が投稿に挑戦するのはデンデラから抜け出してきた感はありますが… 
最近サイトが若返っていて元気をもらえますね。皆さん実力派で、見ていて嬉しくなります。
たまに仲間に入れて下さいね。

今回のような完全な口語は、ふだん практика のない私には一番苦手です。
ネットの助けを借りるのみです。回答します。

Я подскользнулась. 
(под が下向きの方向を示すことを考えてこちらを選びましたが、по скользнулась というのもありました。①違いは?②なぜ по と скользнулась が離れている? )


最近(第46回)本サイトで話題になっていた катастрофа と крушение ですが、最近の Рамблер-Новости にぴったりのがありましたのでコピペします。航空機事故についての全体の短い記事の中で、катастрофа が3回、крушение が1回使われていました。やはり катастрофа 優位のようですね。

<大見出し>
Число жертв авиакатастрофы в Карелии увеличилось до 46

<小見出し>
Число погибших в результате крушения самолета Ту-134 под Петрозаводском увеличилось до 46 человек

<記事全文>
Умерла еще одна пострадавшая в результате авиакатастрофы под Петрозаводском, сообщили «Интерфаксу» в Минздравсоцразвития РФ. «Скончалась еще одна пациентка, у которой были тяжелейше травмы и ожоги. Это произошло в 23:50 субботы», — сообщил «Интерфаксу» официальный представитель ведомства. Таким образом, число жертв катастрофы увеличилось до 46 человек.
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お久しぶりです。いろいろな人が投稿してくれればこちらのほうも張り合いが出ます。これからもよろしく。さて出題に対して答える前に、質問とコメントがあります。
1. デンデラとは何でしょう?
2. поとскользнуласьの間があいていたのは、単にスペルミスです。サイトの危険性は誤植をチェックする編集者がいないために(いても私の本も含め誤植が必ず出るものです)誤植があり、あるいはそのロシア人の勘違いや独りよがりで勝手にロシア語を作る場合もあるということです。日本語のサイトを見ればわかることです。поскользнуласьが正しい。
3. в 23:50 субботыですが、多分サイトのほうではв 23.50 субботыでしょう。時間にはピリオドを使うのが普通です。
 さてподскользнутьсяというのは手元の辞書にはありません。ただアカデミー版の最新版はOの途中までですから、はっきりとは言えませんがこの単語を見たり聞いたりしたことはありません。そうなるとпоскользнутьсяとなりますが、これはзаскользив, потерять равновесиеということで、すべって体のバランスを崩すということで、必ずしも転ぶとは限らないのです。私が露露辞典を読めというのはこの点です。特に基本語彙では露露辞典を読んだほうが語義が明確になる場合が多いのです。ただ完了体の過去形を使ったのは体を正しく理解していることですから、この設問のポイントは外していないことになります。私の答えと解説は、Я совсем соскользнула и упала.
絵にかいたような完了体過去の順次的用法である。соскользнутьは「滑り落ちる」という意味のほかにупасть, свалитьсяという意味があるので、これだけでもいいのだが設問の答えの方が意味が明確になる。Я совсем поскользунулась и упала.でもよいと思う。アオリストは出題したが、アオリストの典型とされる順次的用法はまだだったような気がするので出題してみた。今転んでも(そうなると後の動詞は文法的には結果の現存)、1年前に転んでもこのように完了体過去形を使う。このように動作が次々起こる時は未来(用法の名は例示的用法となる)でも過去でも完了体を使うと覚えよう。またпасть, упадать はこの意味では廃語で、упастьの不完了体はこの意味ではпадатьである。упастьの代わりにсвалилсяも使えるが、重いものや多数のものが倒れると言うニュアンスになる。

Posted by メイ at 2011年06月26日 18:35

和文解釈も早いもので50回を迎えました。おめでとうございます。
2006年10月のロシア語黒帯研究会に始まり、
新帯研、独習者のための質問箱、珍問奇問、間違いやすいロシア語と、
実に300回近くにも亘り、さとうさんは発信および読者参加型のコーナを続けて下さっています。
さとうさんの精力的かつご親切な問題提起とご説明により、
大変価値の高い勉強をさせていただけること、改めて感謝申し上げます。
今回は少しとは言え連続して投稿している最中に節目を迎えることができ、
一参加者としても嬉しく思っております。
今後ともお体にお気をつけられて、まずは100回までお続け下さるようお願い申し上げ、
またこのブログでのやりとりが、
さとうさんの次なるお仕事や後進の育成等々へと結実し昇華しますよう祈念し、
お祝いの言葉とさせていただきます。
ありがとうございます。

さて回答させていただきます:
(訳)
Я скользнула и упала.

ただ、歴史的現在ということも考えられますね。それなら
Я скользижу и падаю.
となるのでしょうが、それでは女の人が話している、という雰囲気が出せません(たぶん)。
どうしたものか

いずれにしても、すてんと転ぶ、という状況を
ドンピシャと伝える表現を見つけることは出来ませんでした…
そのかわり、「あいまいな、微妙な、きわどい」に当たる表現を見つけました(ЗиР698頁):
скользкий вопрос 微妙な問題
скользкие выражения 玉虫色の表現
скользкое положение 危なっかしい状態;デリケートな状態
скользкая тема 微妙な話;きわどい話
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こちらこそいろいろどうもありがとうございます。さて今回の設問のテーマは完了体過去の順次的用法です、この点をよく理解されており正解です。ただ設問の日本語を見る限り、文脈によっては可能でしょうが、歴史的現在ではないでしょう。それとスペルはскольжуです。

Posted by コーシカ at 2011年06月27日 00:03

丁寧なご説明ありがとうございます。
1.
デンデラですが、そうきましたか!
公開されたばかりの映画のタイトルです。『楢山節考』の続き的話だとか。
公式サイトから下記説明をコピーしました。

佐藤友哉の同名小説を映画化した「デンデラ」は、70歳になると老人を姥捨てする風習が残る山間部を舞台に、捨てられた老女たちが暮らす人里離れた共同体"デンデラ"で、彼女たちが困難な状況に立ち向かっていく姿を描いた、現代人への『生きることの賛歌』だ。

2.
подскользнулась ですが、いろいろなサイトで出てきたのですが、「滑る」状態がつかめなかったので投稿をためらっていました。その後、このタイトルの動画サイトを発見し、「すとんとすべって転ぶ」とはまさにこの状態なのではと回答する決心をしました。一応二つだけ貼り付けておきます。そして、この動画を見ていて、подскользнулась 一語で「すとんと滑って転ぶ」動作が表されているのではと и упала を付けませんでした。

http://wrs.search.yahoo.co.jp/_ylt=A3xTxj8n4AdOU7QAh2iDTwx.;_ylu=X3oDMTEyaXEyMW90BHBvcwM1BHNlYwNzcgRzbGsDdGl0bGUEdnRpZANqcDAwMTY-/SIG=11v6h68rs/EXP=1309239783/**http%3A//prikolo.ru/zhurnalist-podskolznulsya

http://wrs.search.yahoo.co.jp/_ylt=A3xTxiN24AdOS8EAGZ2DTwx.;_ylu=X3oDMTEybTRxOW12BHBvcwM0BHNlYwNzcgRzbGsDdGl0bGUEdnRpZANqcDAwMTY-/SIG=11pdd9jgo/EXP=1309239862/**http%3A//www.ochevidets.ru/rolik/20570/

そして、この投稿のために探していたら、下記を見つけました。やはり под ではなく по が正解のようですね。ということは口語的に間違って広まった言葉ですね。新ロシアになってからの言葉でしょうか。ともかく私は一度も聞いたことがありませんので、ロシアでは普通に使われているのだと信じて投稿したのですが… お陰さまで勉強になりました。

http://bugaga.net.ru/ege/rus/theory/?n=16

3.
>多分サイトのほうではв 23.50 субботыでしょう。時間にはピリオドを使うのが普通です。

ありがとうございます。ロシア語ではピリオドが正書なのですね。

Posted by メイ at 2011年06月27日 11:15

わ~い、メイさんや
おかえりなさいませ。

>それとスペルはскольжуです
ぁ~~~またやっちまった、ピーナッツ
(分かる人だけ笑ってください)

ありがとうございます。
歴史的現在はやっぱりないですか。考えすぎでしたね。
「文脈によっては」と、お書きのとおり、
講談や物語等で臨場感を出す場合ならともかく
今回はそこまで臨場感を出してどうする、という場面ですものね。

>デンデラ
あ~メイさんの造語やろなぁ、くらいに思っとったら
ちゃんと出典があるんですね!びっくりびっくり
萌え文化における「ぷに」という用語のように
従来にない言い方をする
(=辞書には載らないニュアンスを伝えようとする)ための造語かと思ってました。
露語サイトでも「萌え」、「アキバ系」関連が結構出てきます。
一応自分なりに理解している説明を加えますと

萌え:
ある特定の対象(アニメやゲームのヒロインないし女性キャラが多いです)
に対する強い執着、偏愛。
「○○萌え~」というように使われます。
最近では「○○は俺の嫁!」といったバリエーションも散見されます。
面白いのは無生物に対しても使われる、という所です
(そりゃまアニメやゲームのキャラは実在しませんから…)。
ネットを通じて広まったためか、
鉄道ファンがある特定の車両に対する愛着を表わすために使ったりもします。
僕が初めて耳にしたのは1998年ごろでしたから
かれこれ十数年(あるいは20年弱)生き延びている俗語です。

ぷに:
幼女ないし少女の頬(肌も含む?)の張りのある柔らかさを殊更に強調する表現。
弾力のある柔らかさを表わす俗語の擬音語「ぷにぷに」がさらに短くなったもの、と思われます。

まさかこのブログでこんなコメントをすることになろうとは…

Posted by コーシカ at 2011年06月28日 23:26
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