2011年06月23日

●和文解釈入門 第48回

このような和文解釈入門を書くと言うのは、自分の体の用法についての知識を整理することにもなるし、投稿者の皆さんから回答をもらうと、いろいろな考え方があるなと自分にとっても非常に参考になる。こういう投稿者からの反応や回答というのは参考書では学べないもので自分にとって新たな(しかもタダの)勉強の手段だと思っている。Учиться, учиться, ещё раз учиться!(一に勉強、二に勉強、三四がなくて五に勉強)というのはレーニンが言ったか、好んだ文句とされる。レーニンは好きではないが、この文句は好きだ。意識的に間違ったことを書くつもりはないが、もし間違いがあってそれを理詰めに指摘していただければ、誤りを認めるのに吝かではないし、また一つ賢くなれるというものだ。
「新聞の第一面に」はна первой странице газетыでも, на первой полосе газетыでもどちらでもいいが、полосаには新聞のстолбец(段組の欄)という意味もあるので注意が必要である。「皮膚にできた腫れ」というのはволдырьでだいたい間に合う。пузырьというのは水ぶくれだけを指す。子供のおもちゃのコマはволчок, юла, кубарьとあるが、現代で使うのはволчокである。
設問)「前年同期比2%の伸びが見られる」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 2011年06月23日 06:48
コメント

さとうせんせい

Наблюдается прирост на два процента по сравлению с тем же периодом прошлого года.

よろしくおねがいいたします。
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かなりいい線を言っています。今回の設問はこれこそ和文解釈そのもので、「前年の相当する時期に比べて2%の成長が観察される」というような和文に言い換えられれば正解に近づことになります。asukaさんの回答を見ますと、設問のポイントпо сравнению сは押さえていることがわかります。ただ前年というのは必ずしも昨年ではありません。2000年の前年は1999年ということです。それとприростというのはувеличение в количественном отношении, прибавлениеということで増加分そのものを示しています。наというのは量的な差を示すわけで、この場合は増加分そのものの中身(2%)を示すわけですからприрост в 2 процентаとなります。一方ростには成長率という意味はなく、成長(伸び)そのものですから前年に比べて2%だけ増えたという意味なのでна 2 процентаとなります。細かいようですが、差だと自動的にнаを使うというわけではなく、比較しているかどうかを見極めることが大事です。私の回答と解説は、Наблюдается рост на 2 процента по сравнению с соответствующим периодом предыдущего года.
今回の設問はそれこそ和文解釈そのものであり、「前年の相当する時期に比べて2%の成長が観察される」という風に言い換えれば正解に近づくというものである。прошлыйは時間的にあるていど間隔がないと「前の」という意味では使えない。「前日」という意味でпрошлый деньとは言えない。в прошлый понедельник(前の月曜に)は正しい用法である。прошлый годは昨年という意味なので、これを前年という意味に使うのは意味が誤解される可能性が大きいと思う。по сравнению с の代わりに в сравнении с でもよいが、по сравнениюのほうがよく使われる。предшествующийも時間的な意味で「前の」の同義語だが、предыдущийは時間以外にも番号順の(ページ、ホテルの部屋、通りの家々、列車の号車、アルファベットの文字)などにも「前の」という意味で使える。今回の設問は経済関係(特に統計)でよく使われるものである。

Posted by asuka at 2011年06月24日 10:28

これはまだ簡単(たぶん…)。
さとうさんの『表現集』で見た気がします。

(訳)
Рост составляет 2 процента по сравнению с тем же периодом прошлого года.

さて、正解は

うぅ、やはりсоставлятьだけでは不十分ですね。
соответствующийを使うんですか~
すっきりした言い方ですね。

>ただ前年というのは必ずしも昨年ではありません
прошлый годだと漠然と「この前の年」となってしまうことにより、
昨年かもしれないし、もっと前かもしれない
という含みが出て、誤解を招く恐れがあるのでしょうか。
確かにпредыдущийを使えば誤りなく直前の年!となって間違いがないですから
こういった文体では好まれる、というだけかも知れませんね。

「前年同期比」という言い方は結局辞書のを参考にしましたが
(研究社1,479頁、период)
6月19日晩のNHK露語ニュースではこんな言い方でした:
Проведенное правительством исследование показало, что после бедствия 11 марта работники в Японии проводят в офисе меньше часов по сравнению с показателем годом ранее.
政府が実施した調査の結果、3月11日の震災の後、日本の労働者が会社で過ごす時間が昨年の数値と比べて数時間短くなっていることが分かった。

これを応用して、今回の回答を
Наблюдается рост на 2 процента по сравнению с соответствующим периодом годом ранее.
と表現することは可能でしょうか
(периодом годомと、きれいとは言いかねる文になってしまいますが…)
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可能だと思います。コーシュカさんの例は前年比という意味ですね。日本語でも前年比とか前年同期比というのは会話では使わないでしょう。経済用語や統計用語です。耳で聞いて分かりにくい、つまり書き言葉です。ただ講演などの通訳ではこういう書き言葉も覚えておく必要はあります。文章がしまるからです。прошлый годについては昨年以外の意味を認めると、混乱するからだと思います。常にいつの前年なのだ、つまり今の時点か、ある時点かとなり、前年には別の単語を充てたほうが誤解がないということで文体の違いではないと思います。言語で一番大切な正確な意味を伝えるということからでしょう。

Posted by コーシカ at 2011年06月25日 01:25

やはり正確さを期すための語の選択なのですね。
ありがとうございました。

Posted by コーシカ at 2011年06月25日 21:17
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