2011年06月22日
●和文解釈入門 第47回
これまで挙げた類語の使い分けはほとんどが思いつきで書いているようなもので、基本語はほとんどない。基本語をやろうとするとやはり片手間ではいかず、書くのにある程度スペースもいるからだ。ある程度頭の中でまとまったら、順次(つまり順番はバラバラ)に紹介する。
「地名」はгеографическое название だが、географическое имяともいう。ただ後者はいかにも学術用語のようで硬い感じがする。「題名」や「タイトル(表題)」はназвание, заглавие, заголовокが類義語だが、用法は少し違う。название, заглавиеは本などの文学作品(音楽作品についてはあまり使わない)のタイトル(表題)という意味だが、названиеに書名(作品の内容に関係のない書名でもよい)だが、заглавиеは作品名(作品の内容を簡潔に表した)という意味もあるが、「各章の題名」という意味でも使える。だからУ сценария ещё нет названия.(この脚本には題名がない)という文章ではзаглавиеは普通使えない。заголовокは新聞の記事、写真のキャプション、スローガンのようなタイトルや題名に使い、文学作品の書名という意味には用いない。
設問)「感電する確率を下げるためのさまざまな防護措置が取られていない」をロシア語にせよ。
さとうせんせい
Не приняты различных мер для того, чтобы снизить процента удара электрическим током.
変な文ですが、送らせてください。
よろしくおねがいいたします。
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意味は分かります。とにかく文を作って投稿する姿勢が大事です。かなりいい線までいっているのですが、主語がありません。存在を否定しているわけではないので否定生格にはならないと思います。つまりне принятыならразличные мерыとなるはずです。否定文であれば被動形短語尾より不完了体を使ったほうが自然です。被動形短語尾だと「未だに~されていない」という感じがします。よく見るのは文の末尾において....не принят(а, о, ы)という形で強調構文のようなニュアンスです。それと回答は「さまざまな措置」であって、「防護」が抜けています。私の答えは、Для снижения вероятности поражения электрическим током не применяются различные меры защиты.
一番良く使う技術関係の構文で、不完了体の受け身を使うもの。こういう不完了体の現在形を用いる構文を一般的用法узуальное употреблениеといい、「一般的に~である」という意味で、繰り返しに近い用法である。不完了体に-сяをつけると全ての他動詞が受け身になるわけではない。状態を意味する動詞では不可である。概ね動作を示す他動詞の不完了体となる。三人称複数形を使っても同じ意味は出せる。例えばДля снижения вероятности поражения электрическим током не применяют различных мер защиты.で、肯定文であればразличные меры защитыが来る。その場合見かけは同じだが主格が対格となるというだけである。他動詞の目的語は他動詞が否定されるときに、その目的語が抽象的な意味なら生格に、具体的な意味なら対格に置くのが会話では普通であるが、ただ具体的な意味でも生格が見られ、このへんはどちらでもよいようである。例えばне оставлять мечты о реванше(復讐の夢をあきらめない)など。этоは抽象的というニュアンスで理解され、Я этого не понимаю.(私はそれが分からない)というように生格となる。
設問の回答にはиспользоватьсяを使ってもよい。использоватьは完了体・不完了体が同形の動詞だが、использоватьсяは不完了体のみである。これは使われる文(上記のような)を見れば分かる。感電はпоражение (удар) электрическим шоком (током)であり、感電による怪我はэлектротравмаという。「感電する」はполучить удар токомとかпоражён электрическим токомという。「彼は感電死した」はЕго убило током.
のんびりマイペースで投稿させていただきます。
(訳)
Разнообразные защитные средства для уменьшения вероятности поражения электрическим током не применены.
今回は戸田和露を見ながらの回答となりました。
我ながら悪文…もうちょっと短こできんもんかな
感電はподвергать электричествуかな~
と軽く考えながら辞書を見ると…全然違いました!
поражение электрическим токомとは…
改めてロシア語の厳密さを見せられた思いです。
さて、ここまで書いてasukaさんの回答とさとうさんの解説を拝見します。
うゎ、受身ですか…
英文の技術的な文体でもよく使われますね。
やはり印欧語同士で発想が似ているのかもしれませんね。
今回の構文はいずれ使わないといけないので練習します:2つとも自作です。
Для снижения вероятности внутренного облучения ликвидаторов применяются новые меры защиты.
作業員の内部被曝の確率を下げるため、新たな防護措置が取られる[こととなった]。
→実際に取られる措置がひとつだけであっても
мерыと複数で使うものなのでしょうか。
К новому теплоэлектростанции теперь в ходе сооружения применяется газовая турбина, вместо нынешней паровой (турбины).
Благодаря этому обмену, тепловая энергия преобразовается непосредственно в электричество и эффективность превращения улучшается с приблизительно 30 процентов на 50 или более.
現在建設中の新たな火力発電所では、
従来の蒸気タービンに代わってガスタービンが採用された。
この変更により熱エネルギーを直接電気へと変換できるため、
変換効率は30%程度から50%以上に向上した。
自分で書いてて不安になったのは次の点です:
・現在建設中という言い回し
・変換がどうしても2回出るので後の方をпревращениеにしました。
でも意味が違ってきてしまう気がしないでもないです…
・向上でулучшатьсяが使えるかどうか
・数値Aから数値Bへ、でс+生格 ... на+対格という言い方をするのかどうか
よろしくお願いいたします。
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まず設問の訳ですが、意味は分かるものの頭でっかちです。主語が長ければ主語を後ろに置いたほうが文として座りがいいし、結論も早くわかるので聞くほうも気が楽です。
次の文は作業員をликвидаторыとしていますが、放射能を消滅させる人ならそうでしょうが、そうはできないのが現状でработникиでしょう。手段(措置)が一つと分かっているならмераです。しかし一つかどうかよくわからない(不定である)というのが普通でしょうから前に似説明したように複数形を使うのです。
最後の文ですが、преоборазоваетсяという活用はありえません。преобразуетсяです。
「建設中」は普通はстроится (строятся)を使います。строящиеся объектыは建設中の物件という意味です。находиться в стадии постройкиというのも使えますが、硬い感じがします。
「効率」は厳密に言うならкпд = коэффициент полезного действияです。улучшать коэффициентという語結合はあります。
「~から~へ変わる」というのは基本はот (с)+ 生格до + 生格です。数字の場合はсが多いようです。наは差を示すので「まで」という意味では使わないでしょう。Это улучшает результаты с 3 процентов до 5 процентов.(これにより結果は3%から5%へ向上した)
技術関係にご興味をお持ちなようですから、Русско-английский словарь научно-технической лексики, Кузнецов, Русский язык, 1986を勧めます。3万語は収載されていて、例文(露英)も豊富です。ただ昔の本なので販売されているかどうかは保証の限りではありません。
さっそくお返事ありがとうございます。
>主語が長ければ主語を後ろに置いたほうが文として座りがいいし、
>結論も早くわかるので聞くほうも気が楽です
改めて正解の文を見ると、
мерыとдляが切り離されていても問題がないのですね。
読んどっても違和感ないし。
英語で同じ文を考えたとしても
Various measures are not taken to reduce the probability of electrical shock.
となり、すっきりしますものね(単純な比較はできませんが…)。
It is ... that ... のように、文の中でも大切な要素を先に言う、
という傾向が英語もロシア語もあるように思いますから、
和文から訳す時もそれを頭に置いておきたく思います。
>手段(措置)が一つと分かっているならмераです。
>しかし一つかどうかよくわからない(不定である)というのが普通でしょうから
>前に説明したように複数形を使うのです
なるほど~そういう理由ですか。ありがとうございます。
ликвидаторではそうなるのですね。
それでニュースでもработникが主に使われているのですね。
最後の文はご指摘を受けて書き直してみます:
К строящемуся новому теплоэлектростанции применяется газовая турбина, вместо нынешней паровой.
Благодаря этому обмену, тепловая энергия преобразуется непосредственно в электричество и коэффициент полезного движения (турбины) улучшается с приблизительно 30 процентов дл 50 или более.
>露英科学技術語彙辞典
ナウカで検索すると在庫がありました。
前回の類語辞典の件もあり、本当にあるかは微妙なところです…
ヤンデックスでもさっと見ましたが、類書で新しいものは特に出ていないのか、
古本屋さん等々でそのものズバリが結構見つかりました。
ありがとうございました。
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на стороящейся новой теплоэлектростанцииでしょう。применятьはпри-がついていますが、кを取るのは人だけです。в/на + 前置格を取ります。こういうのはУчебный словарь сочетаемости слов русского языка, Денисова/Морковкин, Русский язык, 1978というよい学習辞典があります。ロシア語をまじめにやればお金もかかるのです。これは多分第2版が出ていたと思います。このような学習辞典は前頁読破すべきです。詳しくは私のホームページを参照ください。применяетсяと不完了体現在形にしていますが、この動詞は予定の意味ではこういう風には使えないと思います。否定にする分にはいいのですが、肯定文なら結果の現存ならпримененаでしょうし、まだならбудет примененаとなるはずです。不完了体の現在形は一般的にこういうものであるとか、繰り返しの意味しかないと思います。効率は長い語彙なのでкпдと書くのが普通です。
ありがとうございます。
内容の訳出ばかりに気を取られて、動詞の体まで頭が回っておりませんでした…
>語結合
あ~
これは辞書の例文をよく見たら気付けたかもしれません。
『語結合学習辞典』の第2版、ですか。ネットでも見ましたが見当たりませんでしたよ。
でも母校・京都産業大学の図書館にそのものズバリが所蔵されているので、
休みを利用して閲覧に出かけるのもいいですね(これから暑くなることですし)。
それより何より、さとうさんの『基本熟語500』を頭に入れる方が先決という気もします。
青い鳥はうちにも居るんですから…
さて、もうちょっとだけ噛みつかせてください:
・件の文中でのприменяетсяの体の用法について
さとうさんのご指摘を受け、改めて第10回の一覧を確認しました。
完了体現在形による未来の表示を使って
На строящейся новой теплоэлектростанции применится газовая
турбина...
と表現することは可能でしょうか
(実際にはこのように言わない、ということなのでしょうけれども…)。
будет примененаでは意向になってしまって、
確度の高い未来を表わすには弱いのでは、と考えました
(ガスタービンを採用、なんて大きなことは未来において変わったりしたら大変ですから)。
ただ、いっそのことприменятьсяにこだわらず
Компания ТЭС собирают снабдить свою теплоэлектростанцию в городе Зеленовске газовой турбиной, вместо нынешней паровой (турбины).
とでもした方が良いようにも思います。
この場合も、ガスタービンを設置する、という具体的1回の動作なので、
完了体が適すると考えます。
планироватьはわりあい先の予定だったか計画を指す、
と書かれていたのを思い出し、今回はもう少し意味の強そうなсобиратьсяを使いました。
(引用はじめ)
b) 実現する確度の高いもの(…中略…) → 完了体未来形
…(中略)…
これはロシア語も同様で、完了体未来形は推測ではなく確度の高い未来を示すのである。
…(中略)…
使おうと思う動詞がその[引用者注 - 不完了体現在形による予定の用法が可能な]30の動詞群に含まれていない場合は、完了体未来形を使うか、собираться, думать, планироватьなど + 不定形(完了体なら具体的1回動作、不完了体なら繰り返し)を使う。
(引用おわり)
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применитьсяというのはприспособиться(適応する)という意味で、使われるという受身の意味はありません。受身の意味でつかわれるのは不完了体だけです。完了体で受身になるのは被動形過去だけです。被動形過去の未来に意向というよりは、確実な未来での実現ということでしょうから、確かに私もсобиратьсяか重要な事柄ですからнамерен(намереваться)を使ったほうがよいと思います。собираютはスペルミスです。собираетсяのはずです。
ありがとうございます。
>применитьсяというのはприспособиться(適応する)という意味で、
>使われるという受身の意味はありません。
>受身の意味でつかわれるのは不完了体だけです。
>完了体で受身になるのは被動形過去だけです。
やはりそうなりますか。
わかりました。
>собиратьсяか
>重要な事柄ですからнамерен(намереваться)を使ったほうがよいと思います
ありがとうございます。
和文解釈で練習しながら色々な語の使い分けを見に付けられれば…
と思います。
>собираютはスペルミスです。собираетсяのはずです。
うぉ、しまった、そうでした!!!
構文(というか使い方)が同じかは微妙ですが、
Кажется, дождь собирается.
ですものね。
最近こういうミスが多いように思うので気をつけます。
長々お付き合いありがとうございました。