2011年06月21日

●和文解釈入門 第46回

ここでは完了体の未来形と書いているが、同じ内容を完了体の現在形とか完了体の現在未来形などと書く人もいる。Я не пойму.(理解できない)と書けば、このコーナーでは未来形の現在の用法だし、完了体の現在形というなら無論現在の用法である。現在未来形では現在の用法となる。一方、Я уеду в Москву через год.(私は1年後モスクワに行く)なら、未来形の未来の用法であり、現在形の未来の用法であり、現在未来形の未来の用法となる。用語の問題ということであって、学習者にとって本質は変わらない。
事故はнесчастный случайで、交通事故はДТП (дорожно-транспортное происшествие〔警察官などが現場で使う書き言葉〕)やавтодорожное происшествиеという。Погиб в ДТП.(交通事故死〔した〕)など。また多くの犠牲者を出した「大事故」はкрушениеとкатастрофаがあり、どちらも一応使えるが、前者は鉄道事故関係(脱線、衝突など)で使われるのが多く、後者はそういう制限はない。航空機や船舶の事故は後者が使われる可能性が多い。また名詞との語結合も違っている。крушение поездаと生格が後につくのと、катастрофа с поездомのようにс + 造格である。ただ形容詞で「鉄道の」というのはжелезнодорожная катастрофаとだけいい、крушениеにはつかない。крушение自体がほぼ鉄道事故(爆発や火災の事故には使わない)という意味で冗語になるのを防ぐ意味合いからかもしれない。
復習のためидти/пойтиの未来形の用法の違いをよく示した例文を見つけたので、紹介する。Я пойду в аптеку. До аптеки я буду идти 15 минут.(薬局まで行って来る。薬局までは歩いて15分だ)。このようにいきなりбуду идтиとは使えないことが分かる。
設問)「がんばれ、助けが来るぞ」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 2011年06月21日 16:11
コメント

(訳)
Держи! Тебя помогут!

えーと
Держиは全く根拠がありません…
(どこかで聞いたような気はするのですが…)
переживатьでは他人事みたいですし、устоятьもどうだか…
Держи!とすることで、
(助けが来るまで)そのまま頑張っとる状態を保ちなさいよ!
という含みになる…はずです。

помогутとすることで
1.不定人称文により、どんな事柄が行われるかをもっぱら強調する
 (城田文法379頁)
 →完了体も具体的な事柄を表わしますから
  この場合さらに相性が良いように思います。
2.完了体現在形によって確度の高い未来を表わす
 (第10回の一覧のb)

>事故
ニュースでは(NHKに限らず)аварияをよく聞く気がします。
露露で見てみますと
Повреждение, выход из строя какого-л. механизма, машины, транспортного средства и т. п. во время действия, движения.
Неудача, неожиданное нарушение в ходе какого-л. дела.
(科学アカデミー1巻21頁)
となっていました。

難破というのをкораблекрушениеと書いてあったのを見たことがあります。
ちょっと(だいぶ?)硬いかな…
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難破でкораблекрушениеというのはなかなかいいところに気がつきました。こちらも勉強になります。さて回答のほうですが、Тебя помогутというのは文法的におかしいわけで、Тебеと与格にする必要があります。помочьというのは、厳密にいえば救助というよりは援助です。私の回答と解説は、Держись! Спасение идёт.
設問はидтиの過程、ないしは予定の用法。これは文脈によって判断する必要がある。ただそれは露文解釈の話で、和文解釈ではそこまで考えることは特にないというのはお分かりだろう。こういうロシア語が出てくればそれでいいからだ。このспасениеはто, что (кто) спасаетということで、救い主、救助隊という意味である。спастиから派生した名詞には、спасатель(〔救助を職業とする〕救助隊員、救助船)とспаситель(偶然救助に当たった救い主、キリスト教の救世主)、спасание(救助)と、спасти/спастисьの両方から派生した、спасение(救出、救助、救助隊)がある。держисьと命令形がтыに対応しているのは相手が一人というよりは、複数に対してで、軍隊などでの複数の兵隊に対する命令で、一種の人称の転用である。Пали!(撃て)。

Posted by コーシカ at 2011年06月22日 02:04

>Тебя помогутというのは文法的におかしいわけで、
>Тебеと与格にする必要があります
ぁ~
完全に頭から抜け落ちてました…
そうでした!

>Держись!
なぜсяが要るのか調べ直してみました。
他動詞と自動詞の違い、ですね。
これも基本的な間違い…

>помочьというのは、厳密にいえば救助というよりは援助
ほんと、そうですね。だから
оказывать гуманитарную помощь.
といった使い方もしますものね。
NHKニュースで結構耳にしましたが、どう聴いても"グマニタールヌユ"とは聞こえず
"ゴムニタールヌユ"としか聞こえないのが不思議です…

せっかくなので不定人称文にこだわってみます:
Держись! Тебя спасут!
と言えば構文としては成立しそうですが、
こういう言い方はあまりされないのでしょうか。
また教えてください。

第47回の回答は考え中です:
「確率」と「措置を取る」をどう言ったものか確認中です。
возможностьとпредпринимать мерыかな~
もうちょっと考えて、まとまったら投稿します。
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тебяとなると助ける相手は一人となります。設問の場合は自分も含めてですから(無線や携帯電話での連絡でなければ)、Насとなるべきです。それとТебя спасут.というのは「救助されるよ」、「汝は救われる」という意味で、皮肉に考えればキリスト教徒の場合、この世でか、あの世でかはっきりしません。遭難者同士の会話ならНас спасут.でいいのですが、電話などでなら、Держитесь! Мы идём. Мы спасём вас.でも問題ありません。

Posted by コーシカ at 2011年06月23日 00:40
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