2011年06月21日

●和文解釈入門 第45回

 実際のプロになるには諺пословицы и поговоркиや故事成句(名言)крылатые словаもある程度押さえておいた方がよい。実際に通訳の現場で自分が使う諺は10もないと思うが、聞いて分かるのは多いに越したことはない。露和辞典にも解説はあるが、ロシア語の諺に相当するような日本語のことわざを付している例は少ない。ないのならよく使うものは自分なりに訳をつけておく必要がある。諺に関しては「諺で読み解くロシアの人と社会」(栗原成朗、ユーラシアブックレット、東洋書店)が手頃だが、標題の通り、外国由来の諺(健全な精神は健全なる身体に宿るВ здоровом теле - здоровый дух.など)は入っていない。通訳やガイドはロシア本来の諺しか使いませんというわけにはいかないのだから、個人的にはСловарь русских пословиц и поговорок(ロシア諺辞典), В. П. Жуков, Русский язык, 1991 を勧める。これは収録してある諺の項目が1200で、ロシア語の日常で使われる諺を収めたものでは一番詳しいと思う。一通り目を通し、「故事・俗信」ことわざ大辞典」(尚学図書編集、小学館、1982年、約43,000項目)を使って自分で訳語をつけ、自分の和露の語彙集(コーパス)に入れてある。故事成句(名言)についてはКрылатые слова(故事成句), Н.С. и М.Г. Ашукины, Художественная литература, 1987(1500項目)がよいと思う。これも自分なりの訳をつけてコーパスに入れてあるから、何かあれば取り出せる。
 ロシア人も日本人も同じ人間とは言え、ロシア語の諺の意味は分かるのに、対応する日本語の諺がない場合がいくつかあることに気がついた。露和辞典で和訳ではなく解説してあるというのも、全部が全部でないにしろ理由がうなづける。例えばЖенский ум лучше всяких дум.である。日本では「女の浅知恵」の類の諺はたくさんあるが、女性の賢さを誉める諺は見当たらない。これも御先祖さまの民族性の違いからだろう。
ロシアも日本も使う数字はアラビア数字だが、筆記体では少し違うものもある。7では縦の線に横棒が入るし、4では右側の横の線が縦の線から右に出ない。ロシア人に知り合いがいたら書いてもらうとよい。
助数詞はロシア語では日本語ほど使わないが、крыло(飛行機の機), машина(飛行機の機), сабля(騎), хвост(魚の尾), штука(個、匹), штык(兵)は本でもよく見る。例を挙げると、16 боевых крыльев(戦闘機16機)、с двумя эскадрильями (8 машин)〔二つの飛行大隊(8機)とともに〕、Были выдвинуты казачьи корпуса общей численностью в 14 400 штыков, 10 600 сабель, при 53 орудиях(総数兵14,400、10,600騎、砲53のコサック部隊が前進した)、Сколько счёом? Двадцать три хвоста(「何匹だ?」「23尾」)、500 штук собак(500匹の犬)などである。もっともこのごろの日本では何でも「~個」一本やりのようだから、日本語でも助数詞が廃れつつあるというっても過言ではないように思う。
設問)見舞いの言葉である「(早く)元気になってください」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 2011年06月21日 06:44
コメント

さとうせんせい


Выздравливайте скорее!


よろしくおねがいいたします。
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惜しい。スペルミスです。まあ耳で聞く分には関係ありませんが。私の回答はВыздоравливайте! (Поправляйтесь!, Вставайте скорее!)
祈願とか呪詛は不完了体命令形で示す。Убирайся!(出て行け)などもこのような促しの用法の一つ。ちなみにвыздоравливатьはпоправлятьсяよりも断固とした感じが出る。

Posted by asuka at 2011年06月21日 13:19

うぉ、先を越されてしまった。
でも気にしない:

(訳)
Выздоравливайте!

さとうさんの『会話表現集』50頁にありました。
研究社でвыздороветьを引いても出てきました(303頁)。
岩波、ЗиРにはありませんでした。
露露にもありませんでしたが、定義が分かりやすかったです:

Стать здоровым, оправиться от болезни; поправиться.
(科学アカデミー1巻256頁)

Стать вновь здоровым.
(オージェゴフ93頁)

それはさておき
なぜ不完了体の命令なのか、を考えてみました:
1.第34回の回答に、不完了体の命令を否定すると
 好ましくないことを行う勿れ、という含みが出る(したがって強い命令)とあり、
 その逆にあたるのではないか、と考えました:
 病気という好ましくない状態から脱してください。
2.また、不完了体で切迫感を出せる、というのも
 いつかの解説で書かれていたのを思い出し、
 "早く!"とお尻を叩くような含みが出るのではないか、と考えました。
3.病気などというものは治ってもらわなくては困るものであるので
 治ってもらって当然、という空気が不完了体を導くサインとなる、
 とも思いました。
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人に先を越されても、結局は自分のための勉強ですから、気にせず投稿ください。そうでなければ語学はうまくなりません。設問になぜ不完了体命令形が来るのかというのは、Заходите к нам!と同じように、「促し」という用法ですが、この用法は名前はそうなっていますが、強制ではありません。つまり好きな時に来てくださいということです。病気も自助努力だけで治るものはほとんどありませんし、時間の指定をできるものでもありません。神様や悪魔など人間の力でどうにもならないような場合に本来不完了体命令形用いられるのだと思います。ただ不完了体も不定形では、繰り返しによる規則正しさから派生したと思われる切迫感というのが出てきますから、時制や法(命令法や不定法などの)によって用法が異なる場合があるというふうに理解しています。

Posted by コーシカ at 2011年06月22日 01:36
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