2011年06月15日

●和文解釈入門 第41回

ТРКИというロシア語の能力をロシア側がチェックしてくれる試験があると聞く。この試験は受けたこともないし、詳しくはないが、試験問題を見た感じで言うと、できるだけロシア人になりきって、ロシア語そのものをロシア人のように自然に使えると言う事を目指しているようだ。つまりロシア人の発想をロシア語を通じてものにせよというのが究極の目的ではないかと思う。ロシア語を学習する上で、こういう試験というのは非常に励みになるのだろうが、我々の母語は日本語であり、常にロシア語と日本語、ロシア文化(特に大衆文化)と日本文化の違いが何であるかというのが頭になければならない。ТРКИでは日本語の重要性がスポンと抜け落ちているような気がする。ロシア語の発想というと聞こえはいいが、通訳をしないで済む人、ロシア人との意思疎通だけに専念すればいい人はこれでいいだろう。細かい日本語の訳語の吟味は不要で、ある程度感覚だけでやりとりすればいいからだ。勉強の負担も半分くらい減る。
ただ、通訳やガイドを目指すためにロシア語を勉強するというのは、ある意味でロシアと日本の文化の違いを学ぶのだという事を忘れてはならない。つまり、ロシア語を勉強してロシア人になるのを目指している訳ではないからだ。ロシア語と日本語は文化の違いもあって、訳がぴったりと合わないことも多い。通訳やガイドはこの違いをできるだけ埋めるように努力し、両民族の架け橋になるのだという意識が重要である。たとえば、「正座する」をロシア語でопуститься на пяткиと訳しても、どういう文化的背景からこの言葉が来ているのまでは分からない。常に日露の言葉と文化、習慣の違いを頭に入れておく必要があるし、日本人だから日本の文化に精通しているわけではないので、ロシア人と接するのであれば日露の文化(特に大衆文化)、習慣について学ぶという不断の努力が必要である。
設問)「お宅のお子さんたち部屋中駆け回っていますよ」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 2011年06月15日 13:14
コメント

(答)
Ваши дети бегают по комнате!

この後に、
Давайте им быть тише!!!
とでも続きそうですね。
走り回る、ですから不定動詞。
бегатьを引くと
бегать по дому 家中を駆け回る
とあり、по комнатеとしました。
>ТРКИ
ここ数年ご無沙汰していますが、ロシア語の実力を測るのに良い試験だと思います。
文法、読解、作文、聴解、会話の5分野すべてから出題されます。
問題は基本的に選択式ですが、
作文と会話だけは当日与えられるテーマに沿って、
すべて自分で考えなければなりません。
入門、基礎、1、2、3、4とレベルが上がっていきます。2から上は作文での露露辞典持込可。
そういう内容ですので結構実力に近いものが出るかと思います。
ただ問題もあります:日本での(世界でも?)知名度が圧倒的に低い、というのは否めません。
ロシアの大学に留学する際に語学力の目安となる試験、という性格が強いです。
僕は東海大高輪で何回か受けてきましたが、
問題の使い回しが見られました:確認できたのは作文の問題だけでしたが他にもあり得ます。
ここ3回は第2レベルに挑戦してますが、
会話と聴解が合格基準に未達でずっと足踏みしています。
各科目は6割強で合格、各レベルの合格には最低でも3科目以上の合格が必要です。
今年は久々に受けに行こうかと思いましたが、
あろうことか土曜受験をなくして、金曜か日曜での受験
というふざけた日程になったため、止めました。
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その通り正解です。私の答えと解説は、Ваши дети бегают по комнате.
不定動詞の過程を示す用法(現在進行形)。不定動詞も過程の動作を示すことが出来ると言う事にも注意されたい。進行形とか過程の動作というと、一つの方向の動作を切り取ったみたいものだけだと思っている人もいるかもしれないが、部屋の中を行ったり来たりするというのも過程の動作である。行ったり来たりという動作をひとまとめに捉えるのである。
一方定動詞は一方向にぐるっと一回りという場合にも使えるという事が、原求作先生の「ロシア語の運動の動詞」(水声社)に出ている。これは定動詞・不定動詞に関して非常に良い参考書なので精読を勧める。私も運動の動詞で疑問があればチェックするようにしている。ただ接頭辞のついた運動の動詞については記述がないので、Verbs of motion in Russian (Muravyova)を読んで補う必要がある。この本は私の持っているのは説明が英語だが、原作はロシア語のはずだし、非常に有名な本であり、何回か再版されていると思うのでナウカやネット探してみることをお勧めする。

Posted by コーシカ at 2011年06月17日 00:56
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