2011年05月04日

●和文解釈入門 第25回

工場には前置詞としてнаがつくのは、17世紀や18世紀の頃の工場は回りになにもない開けた場所で作業したからだ聞いたことがある。旅行家で作家でもあったセルゲイ・マクシーモフの19世紀半ばに出版された「シベリアと流刑」の中で、東シベリアの工場について同じページにна заводе とв заводеが入り混じって出て来るし、в плавильную фабрикуという表現にも出くわす。これから考えると19世紀ごろまでвもнаも工場という単語にはどちらでもよかったということになる。無論現在ではнаを使わないと間違いとなるのは言うまでもない。
фабрикаというのはダーリДальによれば、Фабриками зовут такие заводы, где огонь (накалка, плавка, варка) не занимает первое место.(加熱、溶解、溶接など火を使うのがメインではない工場)ということになる。
2010年の「ユーラシア研究」11月号に技術ロシア語の類語の使い分けについてエッセー「一つが二つ、二つが一つ」を書いたのだが、紙面の関係上「工場」について露文を載せることが出来なかった。そこで、ここに参考のため書いておく。
(завод)
авиасборочный завод航空機組立工場、авиационный завод航空機工場、авиационный и танкостроительный завод航空機および戦車製造工場、автомобильный завод (= автозавод)自動車工場、авторемонтный завод自動車修理工場、автосборочные заводы自動車組立工場、алюминиевый заводアルミ工場、артиллерийский завод工廠、вагоностроительный завод車両製造工場、весовой завод秤工場、винокуренный завод酒造工場(蒸留酒の)、водочный заводウオッカ酒造、военной завод軍需工場、газовый заводガス工場、гвоздильный завод製造工場、завод автотракторного оборудованияトラクター機器工場、завод для рафинирования цинка亜鉛精製工場、завод по переработке птицы на мясокомбинате肉コンビナート鶏肉加工工場、завод по обогащению уранаウラン濃縮工場、завод по регенерации ядерного горючего核燃料再利用工場、завод мотоциклов (= мотоциклетный завод)オートバイ工場、завод с полным металлургическим циклом (доменное, стале-плавильное и прокатное производство)高炉一貫工場(高炉生産、製鋼および圧延)、завод электроаппаратуры電気製品工場、кирпичный заводレンガ工場、конксохимический заводコークス化学工場、комбикормовый завод 配合飼料工場компрессорный заводコンプレッサー工場、коньячый заводブランディー酒造、кроватный заводベッド工場、ледоделательный завод製氷工場、лесопильный завод製材工場、ликёрный заводリキュール酒造、ликёроводочный заводリキュールウオッカ酒造、литейный завод鋳物工場、маргариновый заводマーガリン工場、машиностроительный завод機械製造工場、медноплавильный завод銅精錬工場、металлургический завод冶金工場、моторный заводモーター工場、мыловаренный завод石鹸工場、оборонный завод国防関係の工場、опытный завод для производства углеродных нанотрубок диаметром до 10 нанометров с производительностью 1 т/год年産1トンの径10ナノメートル以下の炭素ナノチューブ製造実験プラント、оружейный завод武器工場、паровозовагоноремонтный завод機関車車両修理工場、патронно-дроболитейный завод弾薬工場、пивоваренный заводビール工場、пороховой завод火薬工場、приблорный завод計器工場、сахарный завод製糖工場、сборочный завод組立工場、смоляно-дегтярный завод樹脂タール工場、солеваренный завод製塩工場、стеклянный заводガラス工場、судостроительный завод造船所、телевизионный заводテレビ工場、тепловозостроительный завод気動車製造工場、тракторный заводトラクター工場、трубочный завод製管工場、турбинный заводタービン工場、фордовский заводフォードの工場、шинный заводタイヤ工場、шпалопропиточный завод枕木防腐処理工場、электроаппаратный завод電気機器工場、электромашиностроительный завод電機機械製造工場、электролизный завод電解工場
設問)「明日発つのとリェーナは電話した」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 2011年05月04日 08:29
コメント

さとう先生

Лена сказала по телефону о том, что уедет завтра.
勉強する機会を与えてくださってありがとうございます。宜しくお願い致します。
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正解です。ただかなりやや作った感じがするとは思いますが。お忙しい中お付き合いいただき本当に感謝しています。一人でも投稿者があるうちは(厭きられない内は当分)続けます。まあお一方にでも役に立ったと言っていただければ、このコーナーを立ち上げた価値はあると思います。私の回答は、
Звонила Лена, что уезжает завтра.
このзвонить/позвонить系の動詞(по-と言う接頭辞を動詞群の一つ)は前にも説明したように、不完了体がよく使われるため、完了体の用法にも不完了体が顔を出す使い方が多々ある。знакомиться/познакомитьсяもこのグループの動詞だが、パーティーなどで「ご紹介しましょう」などというときは、新規の事柄を扱うゆえにПознакомьтесь.というのが普通のはずだが、平気でЗнакомьтесьも出て来る。これは私が思うには着手の用法で、こういうパーティーでは紹介するのが当たり前だという考え方だろうと思う。
回答のуезжаетは不完了体現在の予定の用法であり、こういう風に過去形と現在形(意味は未来)が一つの文でいっぺんに出て来るものを相対時制と呼ぶ。英語と違いロシア語には日本語同様時制の一致はない。英語に自信はないが、強いて書けばLena called us that she was going to leave the next day.のように英語では時制を一致させる必要があるが、ロシア語には日本語同様ないという事である。


Posted by asuka at 2011年05月04日 23:26

Лена позвонила, что она отправляется(уезжает, улетает) завтра.
決まった近い将来なので不完了体現在にしました。
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正解です。経った今電話してきたという感じです。

Posted by ゴ at 2013年01月19日 23:42

こんにちは。どうしてчто以下が
不完了体になるのか説明いただけないでしょうか?よろしくお願いいたします。
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このуезжаетは不完了体の予定の用法です。詳しくは拙著『三訂和文露訳入門』の4-1-2項を参照いただければよいと思いますが、非常に近い未来(1時間後、明日、1週間後など話し手の感覚にもよりますが)において、過程の用法(現在進行形と考えてください)の延長上の用法ということで、動作がすでに予定に組み込まれているような動作を示します。ビジネス会話で使われるのは、

Я уезжаю в Москву завтра.(明日モスクワに行きます)

これは本人の希望というよりは、仕事の関係でそういう予定になっている感じです。自分の都合で行くなら、Я уеду в Мосву завтра.と完了体未来形を使ったほうが自然です。それといきなり、Я буду ехать в Москву завтра.とは使えません。これは私の考えではехатьにはпоехатьやуехатьと違って、始発начать ехатьの意味がないからだと考えます。
 この説明でもまだお分かりにならなければ、具体的にどこが分からないのかをより詳しく書いていただければ、できるだけ分かるようにご説明するつもりです。

「明日発つのとリェーナは電話した」Звонила Лена, что уезжает завтра.
の主文Звонила Ленаは過去形ですが、что以下は主文より未来を示していますから、予定の用法が来ているのです。ロシア語には日本語同様、英語の時制の一致はありません。出題の日本語を分かりやすく書くと、明日出発しますとリェーナは電話した。英語であれば多分、Lena called that she was leaving next day.というようになるのではないでしょうか?ただ英語は専門ではないので自信はありません。こういうのは相対時制といい、『三訂和文露訳入門』の9-2項で扱っています。

Posted by hiyokomaru at 2014年05月26日 11:31
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