2011年02月15日
●和文解釈入門 第4回
ドストエーフスキーの「罪と罰」の主人公ラスコーリニコフのモデルと言われ、プーシキンの「スペードの女王」の主人公ゲルマンの雰囲気を漂わせたと言われたのは、工兵大隊所属近衛兵准尉カルル・ランズベルクК. Х. Ландсбергだった。なかなかのハンサムだったが、顔は笑っても目は冷たいままだったとジャーナリストのドロシェービチは書いている。ランズベルクは1879年65歳の金貸しウラーソフおよびその下女(料理女)セミニードヴァ殺害の件で15年のサハリン流刑を申し渡された。当時の権力者トテリェーベン伯爵令嬢との婚約も決まったときに、借りた金の返済をしつこく迫ったウラーソフ(7等官)を殺したわけである。ランズベルクは1875年~76年のコーカンド汗の反乱鎮圧にも参加し、人を支配する側と支配される側に分け、自分は前者に属し、人を殺すことを別に何とも思っていなかったようである。流刑地のサハリンでも成功し、支配者としての生活を送った。
ベッドにはкровать とпостельがあるが、кроватьはベッドそのもので、постельは寝具спальные принадлежностиも含めての寝床である。ゆえにлежать в постели(ベッドで横になっている)とか、Вам кофе в постель?(コーヒーをベッドまでお持ちしましょうか?)という文では前置詞はвを取る(ただ病人が「床上げする」はподняться (встать) с постелиで、これは動詞の格支配が強いからだろう)。そしてОн умер на своей кровати.(かれは自分のベッドで死んだ)ではнаを取ることが理解されるだろう。
糞も日本語同様いろいろ使い分けがある。排泄物はиспряжнения, экскременты(ともに複数形で用いる)であり、(大)便はкалであり、какаはウンチ(幼児語)、鳥の糞はпомёт、犬などの(道にある)落し物はкучки, кучаで、牛の落し物はблины, лепёшкиという。語結合で見てみると、человеческий кал 人糞、лошадиный кал (испряжнения) 馬糞、собачий кал 犬の糞、птичий кал 鳥の糞、куриный помёт ニワトリの糞、голубиный помёт 鳩の糞、воробьиный помёт 雀の糞、коровий помёт 牛の糞、конский помёт馬の糞、свиные испряжнения 豚の排泄物、собачьи кучки 犬の落し物、котяхи 乾いた糞、коровьи лепёшки(кал) 牛などの落し物、аргал, кизяк 乾いた燃料用の糞、навоз 厩肥、стул 便通、「クソ(ッ)」という卑語ならговно, дерьмоなどである。また便の硬さはконсистенция калаで、下痢便はдрисня(卑語)。
設問)「明日モスクワに出張なんだ」をロシア語にせよ。
>寝具
постельは寝具一般なのですね。
うちはお布団ですので
Я сплю в постели.となりますね。
>排泄物いろいろ
失礼ながらミスタイプと思われます
испражнения
конёвый/конный
は辞書で確認できました。
коньとлошадьも
また雄雌の違いやろ…くらいに思っとったら
違うんですね!
лошадьは馬全般、
коньは特に軍馬や詩的な言い方
という違いがありそうです。
馬力はлошадиная силаなのですね。
問)「明日モスクワに出張なんだ」
Завтра я поеду в Москву в командировку.
・完了体現在で未来を表すことができる(どういう理由かは覚えていません…)
・新しく、かつ具体的な動作であるので完了体
・習慣的、一般的、時間の経過等を特定する語がないので完了体
・一番言いたいのは、明日発つということなのでпоехать(空路ならполететь)
という風に考えました。
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ご指摘のようにконёвойはконёвый (коневый)のタイプミスです。これは古い文献を使ったので、現在ならконскийトしたほうが良いようです。коннныйでもいいのですが、коннныйだと、もっと意味が広く「馬にひかせた」という意味にもあんります。一応直しておきました。回答のほうはこれはこれで正解(уедуでも可)ですが、なんとなくロシア人なら Завтра я лечу (уезжаю, улетаю) в командировку в Москву.と不完了体の現在形使うのが肩ひじ張らないような使い方だと思います。おっしゃるようにехатьは船でも使えるのですが、飛行機だけはだめなようです。ところがуехать/приехатьはひっ好機でも使います。その証拠に、日本にはロシア人は飛行機(まれに船)で来るのですが、приехать/уехатьを使っています。このように不完了体でも一部の動詞(日常よく使われる動詞が多く、拙著「ビジネスロシア語157ページに30ほど挙げておいた。これ以上あるかもしれない)は現在形で予定を示す。これは未来での実現がほぼ間違いないような、例えばビジネスでの出張の予定などはこれを使う事が多い。完了体の未来形(学者によっては現在形と称する人もいるし、ロシア人の学者の中には現在・未来形と称する人もいる)よりも未来での実現度が高いというニュアンスがある。ただ「明日」ぐらいではニュアンスの差はない。だから上記の文ではулечу, уезжаю, уедуでも意味は同じである。ехатьは飛行機以外の交通機関(船も含めて)使えるが、приехать, уехатьの場合は飛行機にも使える。このように一部の動詞とはいえ不完了体の現在形が未来の予定を示すのは、英語の現在進行形もそうだし、日本語の現在形が未来を示すことが出来るのと同じである。現在の延長上にある未来、つまり予定という事になる。文法の参考書では「これは一部の動詞で、例外だ」という事を強調しているが、露文解釈ではそうであっても、和文解釈ではそうではない。これに使われるのは定動詞、運動の動詞、обедать, отправлятьсяなど日常生活で広く使われる動詞なので、すべて覚えておけば和文解釈に威力を発揮する。