2011年02月04日
●22間違いやすいロシア語
大宅壮一の「この目で見たソ連」(大宅壮一全集第21巻所載、蒼洋社、1981年)を読んでいたら、訪ソのときについたイントゥリーストの通訳について、「日本語を(ある程度)解するという事はプラスでもありマイナスでもある。日本人心理を知り過ぎているものは、半ば日本人化していて純粋のソ連人とはいえない。日本人の頭を盧過したソ連人に過ぎない」や「通訳というのは外国人との接触が職業化しているので、多分にその影響を受けていて厳密な意味でのソ連人ではなくなっているのかもしれない」とある。これをロシア語の通訳やガイドに置き換えれば、10年モスクワで暮らし、2年カザフスタンのアルマトゥイで駐在した。私も純粋な日本人とはいえないということになる。私の相手をするロシア人観光客は、そのような私を通じて初めて日本人を知ることになるので、可愛そうな気もするが、ロシア(語)を知らない「普通の」日本人とは直接会話が出来ないのだからやむを得ないとも言える。
ロシア語ではあまり兄とか弟とは言わないが、和文露訳では必要である。3人兄弟なら真ん中の兄弟はсредний братでいいはずだが、それ以上となるとどうなるのかと考えたことがある。最近末弟はсамый младший братといい、次弟はвторой младший братとあるのを本で読んだので、次兄はвторой старший братでよいと思う。
日本語とロシア語で似た響きの言葉で訳が異なるものを紹介しよう。ビスケットはпесочное печениеだが、бисквитは(ケーキなどの)スポンジ生地である。翡翠は英語ではjadeというが、古来において玉と呼ばれたのは軟玉(ネフライトнефрит)であり、清朝より硬玉 жадеит(ヒスイ輝石jadeite)が流通した。両者とも翡翠というが、現在宝石とされるのは硬玉のみである。