2010年02月23日
●新帯研 第101回
ドイツの外交官ゲルベルシュテインГерберштейн(1486~1566)はヴァシーリー3世治下のモスクワを2度(1517年と1526年)訪問した。そのときに大公(ツァーリを名乗るのは息子のイワン4世以降)であるワシーリー3世に謁見したわけだが、呼びかけのときにワシーリー3世の全肩書きを読み上げられるわけで、それにかなり時間がかかり、外国の使節は閉口したようである。16世紀末になると、最初の呼びかけのときだけ帝の全部の肩書が読み上げられ、二回目からは「帝と大公がおつかわしになるцарь и великий князь подаёт」と短くなった。大公がパンを外国の使節や臣下に下げ渡すときも同様で、このときの白パンは形状からカラーチのようである。パンを下げ渡すのは大公からの恩顧を示し、特に塩は最高の名誉とされた。宗教上肉の許される日には、一番目に出てくるのは焼き白鳥だった。あまりうまいものではなかったらしい。これを酢、塩、コショウ、酸乳(液状ヨーグルト)をつけて手で食べた。ナイフを出されたのは特別な貴賓のみで、後の人には手で食べれるようあらかじめいくつかに切って出された。西洋のようにソースとかサラダオイルのようなものは知られていなかったとゲルベルシュテインは書いている。この食事は長く、終わるのが午前1時ということもあった。政務はこの昼食前に終わらせる決まりなので、終わるまでは食事ができなかった。この食事のあとは政務はしなかったとある。
ちなみにイワン雷帝の書簡から肩書を抜き書きしてみる。
Великий государь, царь и великий князь Иван Васильевич всея Руси, Владимирский, Московский, Новгородский, царь Казанский и царь Астраханский, государь Псковский и великий князь Смоленский, Тверский, Югорский, Пермский, Вятский, Болгарский и иных, государь и великий князь Нижнего Новкорода, Черниговский, Рязанский, Полоцкий, Ростовский, Ярославский, Белозерский и отчинный государь и обладатель земли Лифляндской Немецкого чина, Удорский, Обдорский, Кондинский и всей Сибирской земли и Северной страны повелитель(全ルーシ、ウラジーミル、モスクワ、ノーヴゴロド大君主、帝にして大公イワン・ワシーリエヴィチは、カザン帝にしてアストラハン帝、プスコフ君主、スモレンスク、トヴェーリ、ユゴール、ペルミ、ヴャーツク、ボルガール他の大公にして、ニージュニー・ノーヴゴロドの君主にして大公、チェルニゴーフ、リャザン、ポーロツク、ロストフ、ヤロスラーヴリ、ベロゼール世襲領地の君主にして、リフリャンジアドイツ位の所有者にして、ウドール、オブドール、コンヂン、全シベリア領土および北方の統治者)今回の課題は、
В Шотлландии разводят лохнесских чудовищ в пропорции: два лоха на одну Нессии.
設問)訳せ。
よろしくお願い致します。
オランダでネッシーを養殖しているが、どんな割合でかというと、雌のネッシー一匹に雄サケ2匹。
オチがまったく分かりませんでした。
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Шотландияのтが抜けてしまいました。お詫びします。лохнесские(ネス湖の怪獣を英語で the Loch Ness monsterといい、lochはスコットランド語で湖)をлохとНессиに分解したシャレ。лох = потенциальный объект преступления, жертва криминальных действий; простак, слишком доверчивый, наивный человек, которого легко обманутьということで、「カモ、トーシロー」という感じです。私の訳は、
スコットランドではネス湖の怪物を養殖している。比率はネッシー1匹あたり二人のアッホー。
Голландииのタイプミスかと独り合点しておりました、失礼しました。しかしやはり、私は笑うよりは、「?」となってしまう小話でした。有り難うございました。