2009年10月15日

●新帯研 第76回

イーフチェンコИвченкоの「1812年時代のロシア将校の日常生活」にはなかなか面白いことが書いてある。そのいくつかを紹介する。一つ目は、До свидания とпрощайは今と逆の意味で使われていたという。До свидаияは「あの世でまた会おう」ということで、もう再会できないかもしれないと考えたときに使われたという。二つ目は、ナポレオンを皮肉った詩である。
О! Как велика На-поле-он, 荒野の彼は難と偉大か?
И хитёр, и быстр, твёрд во брани, 戦では狡猾、俊敏、堅固。
Но дрогнул, как простёр лишь длани だが、掌を広げるだけで震え慄く、
Нему с штыком Бог-рати-он. その彼に銃剣いただく神助の彼が。
三つ目は、1812年ごろフランス軍はサーカスの芸人(曲芸の芸人)を使い、暗夜にロシア軍の猟兵連隊を襲撃し、連隊長であったコルフ少将を誘拐し、虜とした。まるで忍者物語である。
小学6年生のときに結構分厚い小学生向けの学科別百科事典というものをもらった。今でいう雑学的な知識の宝庫だった。数の単位も京以降最後の無量大数まできちんと説明してあった。高校3年生のときも郵便局のアルバイトの金で買ったのは新左翼名鑑(というような名の新左翼の各派閥について詳しく書かれた本)を買い、仲間内では革マルと中核派の違いなど得々と説明していた。そもそも体系的にまとめたものが好きなのだろう。今でも和露語彙集など自分用に作っている。もう6万語彙を超えた。この語彙集が著作のバックボーンになっている。長くやっておいて無駄なことはないとつくづく思う。今回の課題は、
Один мужик продаёт дом и говорит:
- Смотри, какой хороший дом. Река рядом. Знаешь, сколько он стоит!
Покупатель:
- Да-а! Дом хороший, река рядом...А если наводнение?
- Ну так, где дом, а где река...
設問)オチが分かるように訳せ。

Posted by SATOH at 2009年10月15日 14:32
コメント

よろしくお願いします
(訳)
家を販売している男が言います:
「いらっしゃいませ。すばらしい家ですよ、川がすぐ隣です。これが、おいくらだと思います?」
客:「ああ、家はいいね、川も隣だし・・・・でも、洪水になったら?」
「ええ、家は大丈夫ですが、川がどこかへ行ってしまいます・・・・」
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訳文についてですが、「川が隣」という言い方はどうでしょうか?「隣」は「横に相接した位置」と広辞苑にありますから、「川がすぐそば」ぐらいの方が日本語らしいと思います。オチは違うと思います。この小話自体がさほど面白いものではないということもありますが、私の訳は、
解説)ナポレオンを皮肉った詩の最後の行に出てくるのはボロヂノーの戦いで戦死した勇将バグラチオーンБагратионを指す。
訳)ある男家を売りに出します。そしてこう言いました。
「さあさあ、なんていい家なんだろう。川はすぐそばだ。あのな、いくらだと思う?」
買い手、
「そうだな、家はいいし、川もそばだし。でも洪水になったら?」
「そうね、家と思えば、あれ川が…」
解説)где ~, а где ~ 場所の列挙、対比、繰り返しのときに用いる表現「あるところには~が、あるところには~が」をかけたもの。洪水になって川に浮かんでいる(屋根が見えている)家というのを想像すればよい。それを風流と思うが、不運と思うかは買う人次第。

Posted by hatomame at 2009年10月20日 13:41
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