2009年09月02日
●新帯研 第70回
英語の技術用語はロシア語の技術用語と同じように対応すると無意識に考えている人は多い。カッターcutterのような簡単そうな用語でも、фреза(フライス), резак, нож, резец, режущий инструмент(日本語のバイトで、バイトはドイツ語由来で英語由来ではない), отрезной круг(circular sawの類)といろいろあり、具体的にどのようなものか分からなければ訳が決まらない。テーブルはстолだが、上にローラーがついていて、その上をパイプなどが移動するようなものはрольганг(roller table. roller conveyor)というし、ロールでも、ガイドロールはнаправляюшие роликиでよいが、圧延ロールはвалокという。ローラーはроликだが、道路工事で使うものはкатокというなどである。商社やメーカーでも英語ができて当たり前で、技術スペックや資料は英語が多いが、すぐロシア語になると考えている素人は多い。無論ロシアの翻訳会社でも技術をよく知っているところでも、図面を見ないと基本的な訳が決まらないはずなのに質問一つせず、やっつけ仕事でやり、それに対してロシア語が分からないからかそれで通っている。翻訳の資料とロシア人技術者が使う用語が全然違うということはよくあることである。ロシア語の資料がありますからと言われても、あまり役に立たないことが多い。
日本語も現場の専門用語では特に分からないことが多い。耐火煉瓦関係で、「いもにならないように羊羹を入れる」と言われて、これをすらすら訳せる人はまずいないだろう。「いも」といのは、レンガを積む時に目地шовが通る(何段かレンガを積む時に縦方向の煉瓦と煉瓦の継ぎ目が一直線になることで、こうなると圧力や熱(1200度)が目地を通るため耐久性に問題が出てくる。つまりレンガは各段が目地が互い違いになるように積むことになっているが炉の中は通常円形なのでこれが簡単ではない)」ことをいい、羊羹はレンガを縦方向に半分に割ることをいう。強いて訳せば、Посадить половинку кирпича, чтобы не было сплошных (прямых) швов.レンガを積むというのはукладывать кирпичだが、ロシア人の専門家はсажать (посадить) кирпичを使う。単語が分かっても、その基本的用途を理解していないと、通訳が自分の訳をチェックできず、次第に全体の訳が辻褄が合わなくなってくる。今回の課題は、
- Какой урожай будет в этом году?
- Средний: хуже, чем в прошлом году, но лучше, чем в будущем.
設問)訳せ。
注文していたロシア語基本熟語500がやっと届きました。新しい参考書を前にすると、何だかモチベーションが上がりますね。
ただ、CDが付いていないのがちょっと残念でした。
訳)
「今年の収穫はどんな具合になりそうかね?」
「平年並といったところですね。去年より落ち込んで、来年よりは上向くってな具合で。」
ソ連の真髄ここに有りという感じがしますね。
こういう国家が実在してたとは、下手な都市伝説よりよっぽど摩訶不思議な雰囲気があります。
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オチもその通りで訳もこなれていて私のより良い訳だと思います。私の訳は、
「今年の収穫はどうですか?」
「普通です。昨年より悪く、来年よりよいでしょう」