2009年07月08日
●新帯研 第59回
ガイドや通訳のプロでも体の用法などあまり気にしない人は多い。確かに「いつも~である」というような場合は不完了体現在を、「~をした」という場合には完了体過去形を使えば問題ない場合が多いが、ロシア人からは意味は分かるもののなんとなく人工的なロシア語のような気がするという声も聞く。同じ繰り返しでも「~だったら~する」ような場合は完了体未来形を使うが、これを使いこなせるかどうかが自然なロシア語への第一歩であり、難しいのは意志も含めて未来形をどう訳すかで実力が分かる。そういう意味でアネクドートを使ってこのような体の用法を勉強するというのも一つの手ではある。起承転結が短く文脈がとらえやすいし、一般のロシア人観光客が多用する口語や俗語の勉強にもなるからである。
アネクドートは面白くないものが多い。理由はもともとオチが工夫されていないようなレベルの低いものが多いというほかに、オチを何かで読んだりしてすでに知っているからである。しかしロシア語のアネクドートはオチが分かっているが故に、文脈がわかりやすいという事で、理解しにくい文法事項の解説に使えるのではないかと思い、集めてみることにした次第。それからはや20年。読者諸氏も集めてはどうか?頭の中でイメージしやすいのではないかと思う。結果如何?今回の課題は、
День. Муж неожиданно возвращается домой из командировки. Жена лежит в постели. Чувствуя, что здесь что-то не так, он резко открывает дверцу шкафа. Там, держалась за перекладину, стоит голый мужик. Муж опешил:
- Ты что здесь делаешь?
- Трамвай жду.
- Ну, ты сказал!
- Ну, ты спросил!
設問)和訳せよ。
(訳) 昼間。夫が、急遽出張から帰ってきました。妻は、ベッドに入っています。どうも変だと思い、夫は洋服ダンスの扉を思い切り開けました。そこには、ハンガー掛けのバーにつかまって、裸の男が立っています。夫は面食らって
:「あんた、そこで何やってんだ?」
「市電を待ってる」
「何言ってんだ!」
「何聞いてんだ!(お前が聞くからだろ!)」
*アネクドートは、女性が話すこともあるのでしょうか?女性は聞いて楽しむ側?
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個人的にロシア人女性から小話を聞いたことは少ないですが、聞いたものはかなりきわどいものでした。一般的にロシア人も女性だけになれば、男性同様きわどいものがほとんどのようです。訳はその通りであまりおもしろいものではありませんが、電車の小話の古典です。私の訳は、
昼、夫がいきなり出張から帰宅しました。妻はベッドに寝ています。何か変だなと感じて、夫はぐいっと衣装ダンスのドアを開けました。そこにはハンガーのレールにつかまって裸の男が立っていました。夫はびっくり仰天して、
「こんなところで何をしているんだ?」
「電車を待っているんです」
「言うも言ったり」
「聞くも聞いたり」