2009年07月04日

●新帯研 第57回

ロシアのプルジェヴァーリスキーПржевальскийという探検家(1839~1888)は、プルジェヴァーリスキー馬を発見したことで有名である。彼の探検記「ロブノールとチベットへの旅行」は1256ページと大部だが、時々面白い記述が見つかる。たとえばチベット旅行の途中、ハミの砂漠を横断していて、常に酷暑にさらされていると頭の毛やひげ異様に早く生え、同行していた若いコサック兵には突然口ひげとあごひげが生え出した。このときの日陰の温度は38.1℃で、日向では62.5℃に達したという。時には日陰ですら45℃を記録したことがあったとも書いている。暑さから身を守るため体毛は生えるが、寿命は間違いなく縮む。でも毛生え薬を使う代わりにゴビの砂漠でも行くのも一つの手か。砂漠は何もないというが、何もないところに何か生やしてくれるという可能性もあるらしい。こういうのを養毛剤のメーカーに教えるのもいいかもしれない。
 話は変わるが、どの世界にも業界用語というのがあり、ロシアの鉄道ではподсказатьをразъяснить, сообщить, направитьの意味で使うという。日本の鉄鋼関係のメーカーでも、「ご安全に」といえば、здравствуйтеということで、いつでも使える万能の挨拶である。これは北海道炭鉱汽船株式会社から入った表現だというのを聞いたことがある。今回の課題は、
Андровопу дали нобелевскую премию по физике – он доказал, что стук распространяется быстрее, чем звук.
設問)訳せ。オチを別に解説してもよい。

Posted by SATOH at 2009年07月04日 23:08
コメント

間違えていたらごめんなさい☆
(訳)ノック音は音声よりも速く伝わることを証明した功績により、アンドロポフ氏にノーベル物理学賞が授与された。

 今回も推測半分ですが:
、*ノック音=密告 ということで、元KGB議長のアンドロポフが、綱紀粛正のために警察力を駆使した(多分?)ことを指す。
 密告はこわいですね。無垢な善意だとなおさら・・・
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オチの理解は正しいです。密告に無垢な善意というのはないと思います。これまでの投稿を見る限りhatomameさんの訳は、文法の基礎がきちんとできていてきれいな日本語です。小話なので、通訳をする分には口頭でオチを説明できるからこれでいいようなものですが、やはり訳にもうひとひねり欲しいという感じはします。私の訳は、
アンドローポフにノーベル物理学賞が授与された。彼はタレこみが音速より早くノックアウトするということを証明した。(タレコミトントンが音よりも早く伝播するということを証明した)
解説)стук = донос。直訳では、
アンドローポフにノーベル物理学賞が授与された。彼はノックが音よりも早く伝播するということを証明した。

Posted by hatomame at 2009年07月06日 22:36

あたたかいアドバイス、ありがとうございます。小話は、当意即妙に訳さないと、おかしさが減ってしまいますね。時間がかかりそうですが、鋭意努力します。
 「密告」の件では、スターリン時代に両親を密告した英雄少女が思い出されました。でも、やはりいびつであって、無垢ではありませんね。前言撤回します。

Posted by hatomame at 2009年07月08日 09:49
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