2009年01月30日

●ロシア語独習者のための質問箱 第4回

和文露訳といっても作文だけではない。会話と作文に分かれ、ロシア語を勉強して習得できるのは会話力であって、文章力ではない。会話ができるからと言って上手な文章が綴れるかというとそうではないのは日本語の例で分かる通りである。ニュースのインタビューを聞いていると、聞き手はもちろん話し手の日本語は分かるものの、同じ日本人なのに、文法的にとかイントネーションで見ると、ずいぶん標準語とはかけ離れているものもある。ブログやサイトの文章もうまい、へたがある。外国人であるわれわれがロシア語の和文露訳をするときには、文章力までは求められていない。
 和文露訳の参考書やガイド試験などの作文問題にしても、「一般的に~となる」とか「いつも~である」というような文章が多く見られ、これは不完了体で済む文である。しかし、こういう文ばかりやっていては、不完了体の動詞と名詞などの語彙を覚えれば作文はできてしまうというような錯覚を生むことになろう。基本動詞(運動の動詞を含む)の体の用法をマスターする必要がある所以である。そうでないといつまでもロシア人から見れば、メリハリのない、感情に乏しい人工的なロシア語を聞かされる(読まされる)という批判を受けることになる。

(質問) by Takahashi
完了体と不完了体はねちっこくやっていくしかありませんね。今回は質問をさせていただきます。ロシア語を読んでいてときどき気になる表現に数字の読み方があります。東洋書店出版の「時事ロシア語」では読み方を示してくれる箇所もあり重宝しています。
例えば、
"Единая Россия" набрала 37,37% [тридцать семь целых тридцать семь сотых процентов]
голосов избирателей, "Справедливая Россия" - 21,9% [двадцать одну целую девять десятых процента] ・・・
<<
のような感じになっています。このような小数点を含む表現で、例えば、「У меня температура 37.5」などを読む場合は「У меня температура тридцать семь и пять (градусов)」と「и」でつないで読んでいるようです。上記の「37,37%」のような表現がかなり含まれている文章を、ひとつひとつ「целых~」を使ってすべてのロシア人がきちんと読んでいるとも思えません。何か簡略化した読み方があるようでしたら、教えていただけますか。よろしくお願いします。

回答: わざわざご質問ありがとうございます。確かに日常会話、商談、技術交渉で数字をロシア人が読む場合、37,5のような場合はтридцать семь с половинойが普通でしょうし、37,37のようなときは、тридцать семь и три семьというのをよく耳にします。格支配ですが、37,37 процентаと単数生格を取るのであって、37,37 процентовではありません。また37,5 процентаや37 1/2 процентаですが、с половинойと読むときは трицдацть семь с половиной процентовと複数生格になります。

Posted by SATOH at 2009年01月30日 17:23
コメント

こんばんは。
長くロシア語に携わっている方でも数詞(とくに個数詞斜格、少数)をまとめて勉強する機会はなかなかないようで、私も、説明のリクエストを受けることがよくあります。

ところで、最後のс половинойについてのご説明、これだけを読むともしかしたら誤解する方もいらっしゃるかも、と思いましたので、差し出がましいですが、少し補足いたします。

今は、語結合全体が文の中で主格として用いられている場合に話を限定しますが、с половинойが用いられている際、後続の名詞(ご説明ではпроцент)が単数生格か、複数生格かはメインの個数詞(трицдацть семь)によって決まります。трицдацть семь с половиной процентовとなるのは、「7」で終わっているからです。これが2-4で終わっているなら、単数生格です。

以下は、イズベスチヤからの例です。ご参考までに。

За 10 лет только два с половиной процента региональных законопроектов, поступивших в Госдуму, выдержали все необходимые процедуры и обрели статус законов.
http://www.izvestia.ru/russia/article42056/

Кроме того, содержание королевского дома было увеличено на три с половиной процента.
http://www.izvestia.ru/world/article12980/

Страна, которой четыре с половиной года руководил Михаил Горбачев, закрывший эру геронтологии в правительственной верхушке (от Сталина до
Андропова), действительно нуждалась в перестройке государственных, партийных, хозяйственных механизмов.
http://www.izvestia.ru/retro/article3122299/
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わざわざご丁寧にご指摘ありがとうございます。その通りです。с половинойの後の名詞の格はその前の整数に支配されます。

Posted by pon at 2009年01月30日 20:08

どうもありがとうございました。

「37,37 процентов」は私のタイプミスでした。
「時事ロシア語」では「процента」となっています。失礼しました。

Posted by takahashi at 2009年01月31日 10:09

ponさん、はじめまして、takahashiといいます。
今後もよろしくお願いします。

単数生格と複数生格の違いも意識していないといい加減に私などは読んでしまうところです。注意しないといけませんね。

ちょっと質問させていただきたいのですが、ponさんのコメントにあった「個数詞斜格」というのははじめて目にしました。これはどのようなものなのでしょうか。
教えていただければ幸いです。


Posted by takahashi at 2009年01月31日 12:06

takahashiさん、はじめまして。
斜格(косвенные падежи)とは主格以外の格のことです。つまり、格変化した個数詞のことです。普通、初等文法では、数詞は主格とそれに等しい対格しかやりませんので、その辺を一度まとめて説明して欲しい、というリクエストを受けることがあります。

Posted by pon at 2009年01月31日 23:36

ponさん、ありがとうございました。

Гостиница находится в двух километрах от центра города. の「двух」のようなパターンですね。
こういうところは曖昧です。常日頃意識していないときちんと使えないですね。

それにしても「斜格」とは面白い名称です。

Posted by takahashi at 2009年02月01日 13:56
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