2008年04月11日
●新帯研 第18回
ロシア語を学ぶ目的をロシア人のように自然とロシア語が口をついて出てくるような境地を目指すという風にしてはいけない。赤ん坊のころからロシア人が周りにいてロシア語と日本語がバイリンガルであるというような特殊な環境の人は別にして、早くても20歳前後からロシア語の勉強を始めた人が大半だと思うが、目指すべきは理詰めに文法で、このような場合はこのような表現を使うのが自然であろうと悟得することにある。そうすれば、後進にも感覚ではなく、理詰めで(こういう徴候があればこういうロシア語表現を使うのだとか)、技能の伝承ができるということになる。時間を見つけて、取りあえずは、文法で一番難しいと筆者が思っている体の用法など、どちらの体を使うのか理詰めで考える癖をつけるとよい。つまり露文和訳は単語の意味が分かれば、想像力を働かして和文を作る事はそれほど難しくない。問題は逆の場合である。和文から露文を作るときに、完了体を使うのか、不完了体なのか、複数なのか単数なのかなど、文法がよく分かっていても難しいと思うことが多い。
Третья мировая война. Командир ракетного дивизиона докладывает по рации генералу:
- Товарищ генерал! Как вы и приказали, от города осталось ничего, передаю по буквам: николай, иван, харитон, ульяна, яков! Повторяю: ничего.
設問)オチが分かるように訳せ。
自然と口をついて出てくるロシア語の境地!一度経験してみたいものです。文法の必要性は最近徐々に感じるようになりつつありますが、まだまだ簡単な文法でもあやふやな所があるのが自分ながら心配です。
回答します。オチは”ни хуя” (хуйさえも残っていない)と電報方式のスペル確認で報告するところですか。第三次世界大戦なのにтоварищ が使われているのがおもしろいですね。от города осталось ничего (街は何もなくなった)のот городаは自分ではなかなか使えない表現だと思うので、今回は一つ新表現 get で得した気分です。
第三次世界大戦。ロケット大隊長が将軍に無線機で報告した。
「将軍閣下、貴下の命令に従い、街は跡形もなくなりました。スペルアウト致します:ニューヨーク・エヌ、アメリカ・エー、ニューヨーク・エヌ、アイスのアイ、メキシコ・エム、オオサカ・オー
(NANIMO)=ナ・ニ・も・ありません!繰り返します。何もありません」
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オチの理解はその通りです。この小話はソ連時代のなのでтоварищというのが出てもおかしくありません。「貴下」という日本語は同輩(以下)を指す言葉なので変えた方がいいと思います。敬語をつければ特に訳す必要はないと思います。ни хуя = ни чёрта = ни черта = ничегоについては、そういう解釈なのかどうかは知りません。ご理解のようにこのスペルアウトのところは卑語になっているので、「ナニ」とカッコをつけると私にはベストの訳のように思われます。私の訳は、
*дивизион – основное подразделение артиллерии и оакетных войск, обычно входящие в состав полка или бригады
ロケット大隊、ミサイル大隊
第三次世界大戦。ミサイル大隊指揮官が無線で将軍に報告しました。
「将軍閣下、ご命令の通り、その都市からは何も残りませんでした。アルファベットでご報告します。ニューヨーク、イングランド、イングランド、ニューヨーク、デンマーク、アメリカ、横浜、大阪。繰り返します。何にも」
「貴下」のご指摘ありがとうございました。ロシア語も日本語も難しい~~。