2008年03月29日
●新帯研 第16回
和文露訳をする場合ロシア語としてスムーズかどうかというよりは、内容が原文に忠実かどうかが重要であるのに、日本語を知らないロシア人(知っているといっても程度問題で日常会話はともかく日本語を日本人並みに理解しているロシア人は少ないだろう)に、和文露訳したロシア語をチェックしてもらうと、たしかにロシア語らしくはなるだろうが、原文の意図通りかは大いに心もとない。この点を考慮して、ロシア人のいうことを鵜呑みにするのではなく、再度見直すくらいの気持ちが必要である。今回の課題は、
Штирлиц вышел из подъезда и натолкнулся на сук.
- Шли бы вы домой, девочки, - сказал он им, - война всё-таки.
設問)オチが分かるように和訳せよ。
日本語をほぼ日本人と同じようにしゃべることのできるロシア人にはあまり会ったことがありません(大人になってから学んだ人の中で)。もっとも私が知らないだけかもしれません。そこへいくと、中国人や韓国人の日本語会話は完璧に近い者がかなりいるので、やはり漢字圏内なのか、文法の類似なのかと驚いてしまいます。
語呂合わせ、毎回厳しいです。苦しい展開となりました。сук=木の大枝と、сука=めす犬(街でうろついているお姉さんたち)の複数生格とをかけていると考えて語呂を合わせようとしましたがやはり難しいのでこのへんでご勘弁下さい。この場合のсукиはпроституткаと考えてもいいのでしょうか。
シュチールリッツは玄関を出て棒につまづきました。
「ぼーっと立ってないで家に帰ったほうがいいよ、お姉さんたち、まだ戦争なんだから」
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オチの理解はその通りです。сукаの訳はアバズレ、売女(ばいだ)、スベタぐらいで蔑称です。「ぼー(棒)っと」で枝に近い感じが出ています。подъездは玄関というよりは大きな病院や大きな役所などにある車寄せです。私の訳は、
シュチールリッツが車寄せから出ると、(すぐ)すっべた。
「家に帰りなさいね」と彼は言って、「戦争なんだから」