2008年02月19日
●新帯研 第7回
どんな簡単に見える参考書でも使い道はある。ロシア語の文例には和訳が施してあるのが普通だから、露文を見ずにその和訳から露訳してみる。全ての文例で同じような訳になればその参考書はその学習者にとって不要だということが分かる。学習者は参考書を露文解釈の面だけから判断していないだろうか?参考書として出版されるものは露文も吟味されているはずだ。一見簡単に見えるからといって、それで参考書を馬鹿にして放置しておくというのはまったくもったいない話だ。今回の課題は、
В кабину пилота врывается террорист:
- Летим в Швецию!
- Нет, в Кушку!
- Почему?!
- Спроси у той бабки с гранатомётом!
設問)和訳せよ。
参考書を一度やって終わりでは本当にもったいないですね。
<和訳です>
パイロットキャビンにテロリストが乱入した。
「スウェ―デンへ飛ぶんだ!」
「いや、クシカだ!」
「なぜ?」
「グレネード・ランチャーを持っているあの女に聞いてくれ!」
ハイジャック犯が行き先を告げたところ、すでに先客あり、しかもбабка(「ランボー女性版」)が先にグレネード・ランチャーを構えているという図ですね。
イスラムのテロリストに対する対策はどこでも難しいようです。女性や子供を使う自爆テロはイスラム圏の人からも批判が強いですね。
Кушкаはアフガンとの国境にあるトルクメニスタンの町のことでいいですか?
アフガン侵攻の際にはソ連軍が駐留したところのようです。
ちなみに、ロシアのテレビシリーズに「ロシア特殊部隊 スペツナズ レッドハイジャック」というのがあるようです(ということで観てません)が、これは珍銃ハンターには楽しいテレビシリーズみたいです。スペツナズとアフガンゲリラの戦いを描いたものらしいですが、AK74にグレネード・ランチャーをつけたものなどいろいろ出てくるようです。
--------------------------------------------
その通りです。そのテレビシリーズは知りません。見てみたいものです。私もソ連時代や革命前の武器には興味がありますから。地名についても力点が分かるように日本語表記すべきだと思います。私の訳と解説は、
操縦室にテロリストが乱入した。
「スウェーデンに飛べ」
「いや、クーシュカへだよ」
「なんで?」
「擲弾発射筒 (grenade launcher)を持ったあの女に聞けば」
解説)クーシュカはトルクメニスタンにある都市でソ連では最南端の都市といわれていた。
簡単な参考書から和文露訳ですか。
辞書にも応用できそうですね。パスポート露和辞典などはいい材料かもしれません。
(訳)
飛行機の操縦室へテロリストが押し入ります
「スウェーデンへ飛ぶんだ!」
「いいや、クーシカへ行く!」
「なんで?!」
「そこの擲弾筒もったばあさんに訊けよ!」
ウィキペディア(露)でクーシカを調べてみました(Серхетабат — Википедия)。
アフガニスタンとゆかりのありそうな町のようですので、飛行機を乗っ取ったものの、それはアフガン行きの(恐らくは無事に帰って来ることはできない)軍用機だった、というオチだと解釈しました。
そのウィキペディアの末尾には↓このような言い習わしが書いてあったのですが、どういう意味か分りませんでした。
С Кушкой связана существовавшая ранее ходовой в среде российских и советских офицеров пословица «Дальше Кушки не пошлют, меньше взвода не дадут».
-----------------------------------
Кушкаはソ連時代最南端の都市だったというのがソ連人の常識でした。そこから諺にあるように「クーシュカより先には(南へは)派遣されることはないし、小隊より小さな部隊単位は将校には任されることはない」ということになります。これよりちいさな分隊расчётは下士官に任されるものだからです。パスポート露和辞典の悪口は言いたくありませんが、まともにロシア語をやるつもりなら最低限でも研究社か岩波は必須です。これに露露辞典を備えておかないと中級から上へは進めないでしょう。
(申し訳ありません、また名無しで回答しておりました)
クーシカにまつわる諺の解説、ありがとうございます。オチとは特に関係ないんですね…
この町はどれくらい南なんやろ、と調べてみますと、何と!
京都市や琵琶湖とほぼ同緯度
ソ連は南北にも大きな国だったんですね。
>パスポート露和辞典
普段使いは研究社、岩波です、念のため。
パスポートはあるつてからもらったものの、ほとんど出番がありません。あれに乗っている単語だけでどれくらい文章が書けるものか、いつか試してみたいものです(そんな時間があれば、ですが)。