2007年05月27日
●帯研(第86回)
ロシア語を勉強するなら、取りあえずは会話力と聞き取り力をつけるのに全力を尽くすべきだ。話せる、聞き取れるようになって、次の段階である通訳の勉強をしたらよい。帯研の対象者である中級者とはということを私なりに解釈すると、ガイド試験にギリギリ受かるか、受験するぐらいの学力で、ロシア人に電話で用件は伝えられるが、向こうが何を言っているかはおよそ分かっても、100%は聞き取れないレベル、つまりプロとしてロシア語ではお金がもらえないレベルと思う。極端に言えば95%聞き取れても、後の5%や仮に1%でも肝心なところを聞き取れない人は雇う側が怖くて使えない、そういうレベルの人ということである。それに皆が通訳になる必要はないし、需要もない。通訳を使わずに自分でロシア語を活用する仕事につくのだというほうが通訳よりは面白いかもしれない。日本には知られていないロシア大衆文化の伝え手(担い手というよりは)として活躍してくれたほうが、日露の相互理解を進めるというという点で後進のためにはありがたいはずである。
設問1)бояться материとбояться мать、およびдожидаться учительницыとдожидаться учительницуで、正しいものを指摘せよ。
設問2)下の8つの句に意味の違いはあるか?あるとしたらどのような違いか?
у дома, при доме, около дома, возле дома, подле дома, перед домом, близ дома, вблизи дома
語学が上達するには努力が必要ですね。頭では分かっているつもりでもなかなか継続していくのが難しいです。
回答です。
1)すべて正しいようです。対格を取る場合は口語的な響きがあるようです。матьなどは格変化しない分、話すときも楽ですね。単語の読み方は言いやすいほうに変化していく場合がありますね。「こんにちは→こんちは→ちは」とか、英語のknowも以前はkの音を発音していたのですが、いいづらいため音が欠落したという話もあります。ロシア語の例は知りませんが。
2)基本的には同じ意味で、違いは近接の度合いのようです。у дома – при домеが近接性が強く、次にоколо, возле, подлеとなり、перед, близ, вблизиが近接性が弱いようです。уやприの頻度が高く、близ、вблизиはあまり使われないということだそうです。すべてРозентальの本にありました。こういう語法が説明されているのがいいですね。
ただ、уと приの違いはどうなのかわかりません。単語が違えば発話者の意識に何らかの変化があるはずですが、こういうところはロシア語になじんでいって語感をつけるしかないのでしょうか。
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まったくその通りです。新しい参考書読破の成果が出たのは喜ばしい限りです。 уとприでは、уのほうが口語的というか標準語的でよく使われると思います。私の回答も一応、
設問1)補語が対格のほうが口語的ニュアンスがある。
設問2) уとприが家に一番近い。その次がоколо, возле, подлеで、その次にперед, близ, вблизиとなる。ただблизやподлеはあまり使用されない。
уのほうが標準的なんですね。こういうのは経験知がものをいいますね。まだまだそういう感覚がありません。
今回はtakahashiさんの回答待ちでした。私の手持ちの文法書では歯が立たず。やっぱりРозентальはすごい文法書ですね。
設問2)の前置詞群、距離感の違いだけで、ほとんど同じ意味「近くに」でいいのですね。ただ、передの意味だけが気になっています。いままでпередは「~の前に」と機械的に覚えこんでいるので、なかなか気持ちの整理ができません。перед нами стоит домという場合は、まずは、自分たちの(後ろ側ではなく)正面に家があって、訳は「我々の前に」でも「我々の近くに」でもいいということでしょうか。
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説明が足りませんでしたが、無論 передは「~の前に」という基本的意味があって、付随的に(それゆえに)「近くに」という意味がくるということです。
ありがとうございました。ほっとしました。подлеやблизはほとんど見たことがなかったような気がします。